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猫女房

 さて。

 あるところに、とても貧しい百姓がおりました。百姓はあまりに貧しいので嫁を取ることもできず、ひとりで寂しく暮らしておりました。

 あるとき、村の長者のもとで飼われていた猫が、粗相をした罪で捨てられていたのを見つけました。猫の一匹くらいは飼えよう、せめて寂しい日々に活気を得ようと思い、百姓はその猫を拾って帰りました。猫はすぐに居付き、百姓にも懐いたので、百姓も猫を可愛がっておりました。

 とある晩のこと、囲炉裏いろりそばで眠る猫を眺めながら、百姓がぽつりとつぶやきました。

「毎日の仕事は辛く、身体も弱くなっていって、生活は日々苦しくなるばかりだ。せめてこの猫が、小麦をいてくれでもしたら、少しは生活も楽になるのになあ」

 勿論もちろん、百姓のつぶやきは益体やくたいもないもので、そんなつぶやきはすぐに忘れて百姓は眠りました。

 翌日、仕事を終えた百姓が家に帰ると、見知らぬ美しい女が小麦を挽き、その粉で団子を作っています。ぶったまげた百姓でしたが、そんな百姓を見て女はにっこりと笑いました。

「私はあなた様に助けていただいた猫に御座います。長者に捨てられて身寄りもなく、あとは野垂のたれ死ぬだけだった私を助け、可愛がってくださった恩を何としてもお返ししたいと神々にお祈りしておりましたところ、とうとう念願叶い、こうして報いることができるようになった次第に御座います」

 女の言葉に、ははあ、と百姓は感じ入り、ともに神々に感謝しました。

 のちにこの女を嫁とした百姓は、ゆたかにこそなりませんでしたが、幸せに暮らしましたとさ。


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