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夏の娘、冬の娘
さて。
あるところに、新たに王に即位した男がおりました。これを祝って、隣国の王が男に、盛りを司る夏の娘、眠りを司る冬の娘のふたりを嫁として贈りました。男はこれをとても喜びましたが、夏の娘がとても美しかったのに対し、冬の娘があまり見栄えの良くなかったために、夏の娘だけを嫁に迎え、冬の娘の方は隣国の王に送り返してしまいました。
返された冬の娘を見て、隣国の王はため息をつきました。
「やれやれ。夏の実りは冬の沈黙があってこそ。ふたりの娘がそろっていれば永遠の繁栄が約束されたのに、冬だけを送り返してくるとは残念だ」
隣国の王が憂えた通り、男の国は一時だけとても栄えましたが、すぐに勢いを失ってあっと言う間に滅びてしまいましたとさ。
モデルは木花之佐久夜毘売と石長比売の神話ですね。




