インコとスズメ
さて。
あるところに、人に飼われているインコがおりました。インコは大変利口で、籠から外に出ると危険であることを承知しており、与えられる餌に満足して暮らしておりました。
籠のかけてある位置からは、窓の外がよく見えました。窓の外には塀がありました。塀にはよく様々な鳥たちが羽を休めに来ました。特にスズメが多く群をなして留まりに来ました。
あるとき、インコの飼い主がその窓を閉め忘れ、開けたまま外出してしまいました。出ようと思えばインコは籠の戸も開けて窓から外へ出ることも可能でしたが、勿論そんなことはしませんでした。
ころころと、スズメたちの声が聞こえます。そのスズメたちに、インコはふと話しかけました。
「お前たちは大変だな。野生っていうのは餌もいつも自分で探さなきゃいけないし、天敵もたくさんいるし、生きて行くの大変だろう! それに比べればおれなんて、餌も毎日出てくるし、敵なんてどこにもないし、安全で、生きやすいったらないぜ!」
大きく胸を張って、インコはそう言いました。それに対して、スズメたちは少しの間顔を見合わせた後、口を揃えて言いました。
「でもあんたは、風に乗って飛ぶ気持ちよさも、雨に羽が濡れる感覚も、朝日も日没も見たことがないんだろ? そんな狭い中で閉じこもってただ生きて行くだけで、楽しいの?」
インコは何も答えられませんでしたとさ。