食べて食べて食べる
さて。
あるところに、日がな一日寝ころんで、一切仕事はすることなく、しかし人一倍飯を食うという男がおりました。男はいつもただ食べるだけだったので、村人たちはほとほと愛想を尽かし、やっかまれておりました。
あるとき、この村を大名行列が通り抜けた際、子供がその前を横切ったことが殿様の怒りに触れてしまいました。村人総出で土下座しましたが、殿様は怒り心頭、問答無用で皆殺しにしようとしましたが、家臣のひとりの耳打ちで相好を崩しました。
家臣たちに途方もない大きさの鍋を用意させながら、殿様は言い渡します。
「この大鍋いっぱいに作った粥を、たったひとりで食べ切ることができたなら、お前たちの命を見逃してやるばかりでなく、報奨もくれてやろう。だがもし食べ切ることができなければ、お前たちは皆殺しだ」
大鍋は力士が優に二十人は収まるほどの大きさで、火にかけるのも一苦労なほどです。こんな量の粥だなんて、とても食べ切れるはずがありません。
そこへ名乗り出たのが大食らいの男です。
彼は煮え立つ粥を前にして、自分の身の丈ほどある大匙を構えると、勇猛果敢に食らいつきました。その勢いたるや、大名行列だけでなく、村人たちも目を見張るほど。粥が冷える間もなく、みるみるうちに食い尽くした男は、とうとう鍋底の一滴まで飲み干すと、大匙を放り出してうとうとと眠り始めてしまいましたとさ。
モチーフはケルト神話よりダグダ




