優しい神様の話
さて。
あるところに、神様がおりました。神様はひとりぼっちで、神様の他には何もありませんでした。だから神様は、いつも寂しい思いをしているのでした。
そこであるとき、神様はいいことを思いつきました。「そうだ、友達を作ろう」
思い立ったらすぐ実行です。何と言っても神様ですから、できないことはありません。
「まずは世界を創ろう」神様は考えました。「友達を作っても、世界がなければ友達と遊ぶことができないからね」
神様は自分の身体を使って、世界を創り上げました。けれども、これでも全然足りません。
「箱だけあっても仕方がない、陸、海、空を創らないと」
神様は自分の右腕、右脚、左脚を使って、それぞれ陸、海、空を創りました。けれども、これでもやはり足りません。
「入れ物ができたんだから、中を充実させないとね。いろんな生き物を創ろう」
神様は自分の左の手指、声、右目を使って、それぞれ陸の生き物、海の生き物、空の生き物を創りました。けれども、これでもまだ足りません。
「いろんな生き物はできたけれど、まだ友達になってくれる生き物がいないよね。最後に人間を創ろう。世界を賑やかにしよう」
神様は自分の頭を使って、人間を創りました。けれども、これでも何かが足りません。
世界はとても賑やかになりましたが、まだ何かが欠けています。そうだ、と神様は思い当たりました。
「皆に心を与えよう。考える力を、意志を与えよう。皆が楽しく暮らしていけるように」
神様は自分の心を使って、全ての生き物に心を与えました。
かくして世界は完成し、誰も寂しい者はいなくなりました。ただ、神様の姿だけがありませんでした。




