表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
43/70

目を入れてはならぬ

 さて。

 あるところに、何事にもきっちりしたい小僧がおりました。万事綺麗にしたい小僧は寺を毎日隅々すみずみまで掃除しておりました。

 ところで寺には立派な屏風びょうぶがあって、そこには実に見事な龍が描かれておりました。しかしながら唯一、龍には目が入れられておりませんでした。小僧はどうしてもそこが気になって、何度も和尚に目を入れるよう頼み込むのですが、和尚は決まって「決してあの龍に目を入れてはならない」と強く言うのでした。

 ある日、和尚が法事でしばらく留守にすることになりました。寺には小僧がひとりだけです。これが好機だと小僧は喜び、和尚が外出するのを待つと早速墨と筆を持って屏風に向かいました。

 改めて見ると実に立派な屏風です。描かれた龍は瑞々みずみずしく、猛々たけだけしく、今にも屏風を飛び出して踊り出しそうですらあります。きっと名のある名匠めいしょうの筆によるものであるに違いありません。だからこそ、より一層目が入っていないことがえられないのです。

 しばし見惚みとれていた小僧は、意を決して墨をしっかりとしみ込ませた筆で、やあ・・とばかりに龍に瞳を入れました。

 するとどういうことでしょう、目が入った途端に絵の龍がうねり出し、ごうっと屏風から飛び出してきたかと思うと、暴風と雲を巻いてあっと言う間に空高く何処ともなく吹き去っていってしまいました。圧倒された小僧は為すすべなく見送るほかありませんでした。

 数日後、小僧は帰ってきた和尚に、だからあれほど言っていたのにとこっぴどく叱られてしまいましたとさ。


画竜点睛、ですね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ