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餅焼き
さて。
あるところに、夫婦がおりました。このうち嫁には全く愛想がなく、夫に対しても冷たく接するので、夫は嫁にやきもちを妬かせてやろうと思い、女遊びに出掛けるふりをしました。嫁はその隙に秘蔵の菓子を食おうと思い、湯で餡をとき、汁粉を作り始めました。
さてもういいだろうと夫が戻って来て、こっそりと戸口に立つと嫁が背を向けて何かしています。それを見てしめしめと思い、「しっかりと妬いているか」と訊きました。嫁は「やいている」と答えました。それに気をよくした夫はもっとやきもちを妬かせてやろうと再び女遊びに出かけました。その間に、嫁は念入りに焼いた餅で汁粉を作り、ひとりで美味しく食べましたとさ。




