表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
35/70

馬車賃を安く

 さて。

 あるところに、長介というバカな男がおりました。この日、長介は法事で町まで行っておりましたが、帰りは馬車で帰ることになりました。馬車に乗ることなんて滅多にありませんから、長介は考えます。

折角せっかく馬車に乗れるんだから、目一杯乗ってやらないと損しちゃうな」

 帰り支度を済ませると、長介は早速馬車に乗り込み、自分の家の場所を告げました。馬車は動き始めます。

「ところで」道中、長介は御者ぎょしゃに訊きました。「なるべく安く乗りたいから、村の入り口でおろしてもらおうか、それとも家の前で下してもらおうか考えているんだけど、どちらの方が安いだろうね」

 御者は答えました。

「どちらも変わりませんよ。その距離なら、村を通り過ぎて森に入るくらいまで全部同じ料金です」

 何だって、それはいけない、と長介は考えました。それでは馬車賃を損しているじゃないか。料金分はきっちり乗らないと。

 馬車が長介の家の前に着き、止まろうとしたところで長介は御者に言いました。

「まだだ、まだ先へ行ってくれ。この料金で行ける限界まで行ってくれ」

 御者は怪訝けげんに思いましたが、言われたとおりに料金分だけ目一杯進めて、森の中まで来てからようやく馬車を止めました。

 料金を支払って、長介は馬車を満喫まんきつしたような顔をして来た道を戻っていきます。

「ここから家へ歩いて帰るんじゃあ、町から歩いて帰るのより遠いんだけどな」

 悠々ゆうゆうと歩いていく長介の背を見ながら、御者はそんなことを思っておりましたとさ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ