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竜宮城の御馳走

 さて。

 あるところに、冴えない猟師がおりました。いつもは山で動物や野草を収穫して生活しているのですが、長年同じようなものばかり食べているとさすがに飽きてしまいます。たまには魚でも食べたいと思い、珍しく海岸へ来ておりました。

 ふらふらと浜辺を歩いていると、何やら子供たちの歓声が聞こえてきました。見てみれば、子供が三人ほどで輪になって、亀をいじめて遊んでいます。これはいけない、と猟師はその中に割って入り、子供たちを追い払うと、憐れな亀を海へ返してやりました。

 後日、また猟師が浜辺をあるいていると、海から猟師を呼ぶ声が聞こえました。見ると、先日の亀が打ち上げられています。またか、と思って海へ返してやろうとすると、亀は違うと言いました。

「先日助けていただいた御礼に、竜宮城の姫様があなた様へ御馳走を用意しております」亀は自分の背に乗るよう示しました。「どうぞお越しください」

 これはいい、と猟師はすぐに亀の背に飛び乗りました。竜宮城でのもてなしとなれば、きっと新鮮な海の幸をたくさん味わえるに違いありません。亀を助けてみるものだ、と猟師はほくほく顔です。

 猟師が竜宮城に着くと、既に宴会の準備は整っておりました。出迎えをしてくれた乙姫様も大層美しく、宴会場も見たことがないくらい華やかです。ますます猟師は気を良くしながら席に着きました。

「ようこそお越しくださいました」乙姫様は猟師に言いました。「本日はあなた様のために、この竜宮城でも滅多に食べられない御馳走を御用意しております。どうぞ御堪能くださいまし」

 竜宮城ですらなかなかお目に掛かれない御馳走ともなれば、一体どれほどの珍味が出されてくるのでしょう。古今東西の豪奢で珍しい品々が並ぶに違いありません。猟師はこの上なく胸を高鳴らせて運ばれてくる料理を待ちます。

 着飾った女官たちの手によって、次々に料理が並べられていきます。来た来た、と猟師はわくわくしながらそれらへ身を乗り出します。高級そうで大きなお皿に見目麗しく並べられているのは、木の芽、茸、筍、ぼたん、さくら、もみじ……どれも、猟師が普段から食べているものばかりです。不思議に思って猟師が乙姫様を見ると、数々の山の幸を前にして乙姫様は実に嬉しそうです。

「さあ、召し上がれ。これが竜宮城でも滅多に食べられない御馳走です」

 そう言って、しきりに猟師に箸をすすめるのでした。

 そりゃあ、海の中では山の幸は滅多に食べられない御馳走ですよね。


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