竹輪はお魚
さて。
あるところに、るんちゃんという物知りな女の子と、ひぃくんという単純な男の子がおりました。
るんちゃんがひぃくんに言います。
「ねえねえ知ってる? 竹輪が何でできてるのか」
「知ってるぞ。バカにするなよ」ひぃくんは胸をはりました。「いつもいつもおれをバカにするけど、それくらいは知ってるんだからな。じょーしきだよ、じょーしき」
「へえ。それじゃあ、答えてよ。竹輪は何でできてるの?」
「お魚だよ」
おお、とるんちゃんは驚きました。珍しく正解です。るんちゃんは思わず拍手してあげました。
「凄いね。これは知ってたんだ」
「おうよ。この間、じっちゃんが海に行って釣ってきたんだからな」
「……え?」
るんちゃんは手を止めました。雲行きが怪しいです。
「つ、釣ったの?」
「そうだよ。おれも釣ったし」
ひぃくんはもうひっくり返りそうなくらいに胸を張っています。「凄いだろ」
「す、凄い、ねー……」まさかと思いながら、るんちゃんは訊いてみます。「ねえ、竹輪ってどんな魚なのかな?」
「何だ、知らないのかよ」いよいよ得意げに、ひぃくんは言います。「竹輪は竹輪だよ。あれが泳いでんだよ。深海魚なんだぜー」
「へ、へえ……」
あまりに自信たっぷりなひぃくんに、るんちゃんは半笑いです。でも面白いので訂正はしません。
竹輪はスケトウダラの練り物でしたとさ。




