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片荷の労い
さて。
あるところに、長介という下男がおりました。長介は長らく働いておりましたが、このたび暇を出され実家に帰ることになりました。主人は長介を労って、馬と一俵の米俵を与えました。しかし長介は内心で、
「今までの奉公に馬と米一俵じゃ割に合わないな」
と考えておりました。
そこでいざ帰る段になって、長介が馬の片側に米俵を括りつけると荷重の平均がとれない馬はふらふらとしてしまいます。それでも長介が「ほら進め! 進め!」と馬の尻を叩くので、馬は悲鳴を上げました。
「おいおい、そんなに乱暴にするもんじゃないよ」
見かねた主人が長介を止めると、米俵をもう一俵馬に与え、左右の平均をとらせました。それでようやく、馬はまっすぐに歩けるようになりました。
しめしめ、と長介はほくほく顔で帰ったということです。




