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楽して生きたいカラス

 さて。

 あるところに、とても怠け者のカラスがおりました。何をするにも面倒で仕方のないカラスは、ぼんやりと枝にまりながらいつもむっつりと考えていました。

 すなわち、楽をして生きるにはどうしたらよいか?

 カラスの生活は大変です。毎朝毎晩、常に食べるものを探して飛び回り続けなければなりません。ときには仲間から奪い、ときに仲間に奪われます。生きることにかけては仲間などいません。皆が敵です。どんなものでも食べられるカラスにとっては全てのカラスが敵なのです。

 しかしそれならば、とこの怠け者のカラスは考えました。競争相手の少ない食べ物に集中すれば、もっと楽に食べ物にありつけるのではないだろうか?

 例えば、そう、カワセミなんてどうだろう。彼らは水の中にすっと潜り、巧みに小魚を捕まえてみせます。そんなことのできる鳥はカワセミをおいて他にいません。つまり、このカラスも同じように小魚を主食にすれば、競争相手はカワセミだけになり、難度はぐっと低くなるのではないでしょうか。

 そこまで考えてから、いやいや、とカラスは首を振りました。そもそもカラスにはカワセミのような芸当はできませんし、小魚で腹を満たすことは簡単ではないでしょう。きっと今まで以上に頑張って捕まえなくてはなりません。それでは本末転倒です。

 ではキツツキはどうでしょう。彼らはコンコンと木をつついて穴を開け、中に潜む虫を捕まえています。そんなことのできる鳥はキツツキをおいて他にいません。つまり、このカラスも同じように木をつついて穴を開け、中に潜む虫を主食とすれば、競争相手はキツツキだけになり、ぐっと楽に生きていけるのではないでしょうか。

 そこまで考えてから、いやいや、とカラスは首を振りました。そもそもカラスにはキツツキのような鋭く尖ったくちばしがありませんし、やはりそんな虫ばかりを食べていてはなかなか腹は満たせないでしょう、森中の木を穴だらけにしなくてはいけません。それでは本末転倒です。

 ならば、ワシなんてどうでしょう。ワシは鳥たちの頂点に君臨する鳥です。彼らのように悠然ゆうぜんと生きていれば、あるいは優雅に生きていくことが可能かもしれません。

 が、やっぱりカラスはすぐに首を振りました。カラスはカラスであり、ワシではありません。彼らの生き方を真似してみたところで、やはりカラスはカラス相応そうおうの生き方しかできないでしょう。

 結局のところ、自分は自分らしく生きるしかないのだな。

 カラスは今日もまたそうやって、昨日と同じように結論付けてため息をつきましたとさ。


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