豪雪と謎の男
「いきます!ホーリーゾーン!!」
フィリアが叫んだ瞬間
幅の広い魔導式が空に出現した。
第4話 豪雪と謎の男
フィリアは技を叫んだあと
右手を上にあげて光をためていた。
「そろそろいきますよ!!」
そう言ってフィリアが手を振りかざすと
魔導式から無数の光線が降ってきた。
グランは降ってくる光線を避けながら
フィリアに攻撃するがまるで当たらない。
「これがお前の新技か!フィリア!!」
「ええ。グランが居なくなってから練習したのです。
この術式から逃げることは不可能。
無限に光線を出し続けることができるのです。」
フィリアが得意気に言うと
グランは笑いながら動き始めた。
「確かにこの技は強いが
この技にも決定的な弱点がある。」
グランは笑顔で光線をギリギリで交わしていく。
「この術式は確かに無限に攻撃できるかもしれない。
ただし無限に打つには大きな消費を伴う。」
フィリアは不思議そうな顔をしながら
グランを追い詰めていく。が
グランは笑顔で光線を避けていく。
「さぁて?いつになったら切れるのかな?
まだかなぁ??51本目。」
その本数をグランが口にした瞬間
フィリアは一瞬顔が青褪めた。
そしてフィリアは本数を数えてみた。
今はまだ48本。あと3発撃てば隙ができてしまう!
グラン、、あなたまさか。
49
この一瞬を狙うつもりでいるの!?
50
そんなの無理よ!私の方が速い!!
51
グランが宣告した本数になったと同時に
フィリアの術式が一瞬で崩壊した。いや
ー破壊されたんだー
フィリアはゆらゆらと地面に降りてくる。
すると
「私の負けですグラン。私だけではなく
あなたも強くなっているのですもんね。」
熱くなっていたフィリアが落ち着きを取り戻し
いつもの明るい表情でグランに手を差し伸べた。
グランは何か言いたげな表情をしながら
握手を交わした。
するとアダムが横から
俺のこと忘れてない?とでも言いたげな口をしながら
でてきた。
「んじゃあ次は俺とジラードだな。」と言うと
「俺今から出かけてくるわ」とグランがさらりと
言い放った。
するとジラードが驚いた顔をして
「何か用事なのか?」と聞いた。
グランは少し言いにくげな顔をしながら
ただの仕事だよ。と答えその場を去っていった。
その頃
北にある極寒の監獄と呼ばれているミルディンでは
ある事件が起きていた。
「連絡する!連絡する!ミルディン南部で
新たな怪物が人々を襲っている!
直ちに雨雲隊は支部に戻り急行せよ!!」
雪山で怪物が人々を襲っているという話だ。
「全く。最近はえらく新種が多いもんだな」
などと言いつつ支部に戻っているのは
砲撃の魔術師 ライ。雨雲隊の中でも
遠距離を好む魔術師でその腕は確かである。
「そんなこといわないのライ。
私達でさっさと片付けましょう。」
自信ありげに走っているのは
困惑の魔術師 ドロシー。
閃光技や遠距離技を得意とし
幻影に似た力を操っている。
「無駄口を叩くのは後にしろ。
新種を殺してから話をしていろ。そしたら文句は言わない。」
ライとドロシーに冷静に怒っているのは
選ばれし7人の一人。
氷結の魔導術師 ガゼル・ウィルド。
周りを一瞬で氷へと変化させてから
相手を凍死させるのが得意だ。
ついさっき出てきたように
ミストラル本部の他にも東西南北に
支部というものが置かれてある。
さらに本部では6つのトップチームがある。
その内の一つである雨雲隊は現在
ミルディンにて修行を積んでいた。
そして吹雪の中
雨雲隊は怪物に接触することができる位置にきた。
その怪物は全長4mはある。
体からはやけに大きな力が感じられた。
「うわ、でっか!ガゼル、この怪物は??」
ライはこの怪物を見るのは初めてのようだった。
「こいつは超級危険種のアッドロームだ。
名前は知っているが俺はこいつの中身をしらない。
どんな攻撃をするのか予想すらできない。
気をつけろライ、ドロシー」
「だったら私がまずあいつの注意を引くわ!!」
真っ先に飛び出していったのはドロシーだ。
「さて!遊ぼっか怪物さん!!
閃光魔法 ライラリア!!」
ドロシーが叫ぶと周りが光で埋め尽くされた。
おそらくアッドロームの目を潰し
動けなくしてから攻撃をしようとしたのだろう。
次の瞬間、ドロシーはアッドロームに吹き飛ばされた。
「ドロシー!!」
慌てて叫んだガゼルだったが
ドロシーは反応しない。
あまりにもダメージがでかすぎた。
「だったら俺が!」とライが踊りでる。が
ガゼルはライを止めた。
「ライは下がっていろ。俺だけで十分だ。」
そういうとライは後ろに下がり
ドロシーの援護に入った。
そんな中ガゼルはアッドロームと正面衝突していた。
「氷結魔導、チェンジ・ザ・アイス」
そう呟くとガゼルに当たっている吹雪が
凍り始めアッドロームに襲いかかる。
だがアッドロームは傷を負っても
すぐに回復を始めてしまっていた。
ー不吉な色の光を放ちながらー
「くっ。もう回復し始めたか。だったら!」
今度は周りの空気を使い
アッドロームの全身を凍らせ始めた。
そしてその氷をアッドロームの身体とともに
思いっきり砕いた。
アッドロームの身体はもうこなごなで
まともな身体など残っていない。
「任務完了。ライ、ドロシー、支部に帰るぞ。」
そう言って帰ろうとしていた
その時だった。
後ろからアッドロームが再生しながら
ガゼルに襲いかかってきた。
首を掴まれながら
思いっきりガゼルは投げ飛ばされた。
「くっ、、そ、、。」
アッドロームは加減なしにガゼルを追い詰める。
アッドロームがガゼルに対して
最後の攻撃をしようとした瞬間
何者かが横から入ってきて
アッドロームを真っ二つにしてしまった。
無造作にだ。
「ふぅー。これが石か、、探したぜ。」
その男は躊躇いもなく
アッドロームに埋まっていた
赤に染まった石をぶちとった。
するとアッドロームは音を立てずに
跡形もなく消えてしまった。
もはやガゼルは呆気にとられた顔で
男を見つめていた。
「今の技は、、無気力パレット、?
グラン、、なのか?」
そう聞くと男は驚いた顔で
ガゼルと目を合わせてこう言った。
「君、グランを知っているのかい?」