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のんびり回る異世界道中  作者: 雪だるま
3/3

三階層:冒険者の現実とブラジャー

冒険者の現実とブラジャー





「んあ。もう朝か」


自然と目が覚める。

一応目覚ましはかけといたがその必要はなかったようだ。

現在6時。

本日の選別テストは8時からだから、飯食って準備するって感じで丁度いいだろう。


起き上がって、チート学生服を着込む。

一応パジャマにしてる服もチートを仕込んでいる。

自動回復促進のおかげか、体の疲れはない。


「さて、顔でも洗いにいきますか」


飯の前に顔でも洗っていくかと思い、部屋をでる。

目指すは昨日の中庭だ。

朝っぱらから水浴びで全裸になってるやつはいないだろうという思惑もあった。


「あら、おはようございます」


だが、そこにはローリッヒが全裸で水浴びをしていた。


「ああ、おはよう。しかし、なんで朝から? 昨日の夜も水浴びしてたよな?」

「いつもの鍛錬ですわ。貴族ではありますが、ここでは腕一本で生きていくつもりですから、鍛錬は欠かさないようにしてるんですわ。それで汗をかいたので……」


井戸の横には木剣が立てかけられている。

なるほど。


「でも今日は少し張り切りすぎましたわ。選別テストがあるのでしっかり体を解してたらというわけです」

「そうか。お互いがんばろうな」

「ええ、同じクラスになれるといいですわね」


そう言って俺は井戸から水を汲み顔をあらう。

すっきりするな。


「ふう、よろしければ食事をご一緒しても?」


振り返ると服を着たローリッヒがいた。


「ん、いいぞ。特に約束があるわけでもないし」

「ふふっ、あっさり受け入れてくれるんですわね。他は腰が引けて断られましたのよ?」

「そりゃな、得体がしれない貴族…いや権力者は緊張するだろ。そっちだって王族がいきなり一緒に食事どう? っていわれるとあれだろ?」

「それはそうですわね。では、なぜタイキは気にしないのですか?」

「別に、俺は姿かたちで人を判断しないだけだよ。話を聞いて吟味する。ローリッヒの考え方は好感がもてるしな」

「ありがとう。わたくしもタイキには好感をもってますわよ」

「そりゃどうも」


二人で食堂に向かう。


「あ、タイキさん、ローリッヒさん」


途中でユーリィと出くわして、食堂へ行く。




「……ですよね」

「そうですわね。ユーリィの言ってる事はよくわかりますわ。擦れて痛いですわよね」

「はい、かといって包帯でグルグルで巻くのもこの大きさだと……」

「逆に圧迫してきついんですわよね」


食事が終わって、空いた時間でそのまま雑談になっているのだが胸の話はやめてくれ。

男の俺が入りずらい。

昨日や今日の食堂へ来て確信したが、この二人が特に大きいだけで他は普通だ。


「なにかいい方法知りませんかタイキさん?」

「そうですわね。タイキさんは何か知りませんか?」

「いや、ブラジャーとかつけろよ」

「「ぶらじゃー?」」


あ、しまった普通に返してしまった。

確か地球でも古代ローマ時代には下着の原型らしいものはあったらしいが、実際、記録は希薄だ。

しっかり下着が出てきたのはルネッサンス時代だっけ?

しかも王族とか貴族のみ。

それまでは、現在の下着に相当するものはなく、腰巻き、またズボンをはいているなら、下着ははかないというのが普通だったらしい。

まあ、考えれば袴の下にふんどしつけてたら、トイレするときやりにくいよな。

トランクスとかブリーフならともかく。


「なんですのそのぶらじゃーとは?」

「それをつければ擦れなくて済むんですか?」

「ああ、えーと」

「そこまで言ってやめるのはやめてくださいな」

「そうですよ」


俺からすればセクハラ発言なのだが、彼女達にとってはこれからの死活問題か。


「あーすまん。俺の所じゃ女性専用で着るものでな。俺から発言するのはどうかと思っただけだよ」

「ああ、そういう事ですか」

「どういうことですか?」

「そうですわね。ユーリィ、タイキがいきなりスカートの話をしたらどう思いますか?」

「ええ!? スカートって女性が穿くものですよ? 誰かにプレゼントですか? そうじゃないと怪しいです」

「と、ユーリィが感じたように変な目で見られると思ってタイキは口ごもったわけです」

「ああ、なるほど」


ナイスローリッヒ、俺が説明する手間がはぶけた。


「さて、ぶらじゃーの事を説明してもらいましょうか? 私達が求めたんです。これでタイキを責めたり、怪しんだりしませんわ」

「はい、大丈夫です。安心してぶらじゃーの話をしてください」


駄目か、結局説明をするハメになった。



「なるほど、胸の大きさに合わせた拘束帯ですか」

「それだと、圧迫感も包帯で抑えるよりいいですね」


二人は俺の説明を聞いてふむふむと頷いている。


「今日終わったら服屋にでもいって作ってもらいましょうか」

「そうですね」


二人とも早急にどうにかするべきと思ったのだろう。

結構大事な事だったみたいだな。


「ではタイキも付き合ってください」

「なんで?」

「え、タイキさんしかぶらじゃーを知らないんですよ?」


ああ、そう言う話になるのね。


「もしかして、ぶらじゃーもってるんですか?」

「あら、それなら譲っていただけますか? 田舎から来たなら、民芸品を売る為に持っていても不思議じゃないですし、私達が買いますわよ?」


うっひゃーそう言う解釈しちゃう!?

でも筋通ってるよ。

びっくり。


「いや、もって……。ああ、あったわ」


ゲームにな。

何でかブルマとか危ない水着とかネタ装備があるよな。

しっかり魔改造してるが。

ん、ちょっとまて、男の俺より女性の方が下着>服>鎧>アクセサリーで超強化できねえか?

いや、男物の下着もゲームにはあるけど、ふんどしとか完全な嫌がらせしかねーしな。


「それなら決まりですわね」

「タイキさんあとで宜しくお願いします」


あらら、下着売ること約束になっちまった。

でもまて、そう言うネタアイテムは在庫そんなにないぞ。

ドロップ狙うのは無謀すぎる……。

魔改造を渡すか?

いや、そりゃまずい。

俺のチートアイテムがばれることになりかねない。

でも、彼女達が着けてくれるなら、いろいろ実証実験ができる。

下着に限らず武器とか防具、アクセサリーとかで。

実際ばれてもここからとんずらすればいいだけだし、チートの能力を把握する事の価値のほうが大きいだろう。


しかし、なんだかな。

こういう冒険者って男が沢山あつまって、財宝とか探すのが普通なんじゃないかね?

周りを見てもなぜかそれなりに女性がいる。

いや、下手すると半数以上女性じゃないのかこれ?

なんでこんな事になってんだ?


そのあとは軽く雑談をしながら選別テストの時間までまった。




「さて、これから諸君の選別テストを行う。まずは筆記テストだ」


へえ、ここら辺はしっかりしてるのか、識字率は低いと思っていた。


「文字が書けないやつは言え。別部屋で代わりに書いてやる。が答えがあっていてもランクは少しさがる。なぜそんな事をするのか、と疑問に思う奴もいるだろう。だが、冒険者とは自分で依頼を読み、契約をし、お金を稼ぐのだ。文字の読み書きができなくてはすぐに騙されたり、トラブルの元となる。必須というわけではないが、この冒険者学園に来たからには、しっかり覚えてもらう。いいな」


あ、そういう事ですが。

でも納得だ。

依頼が読めないとか致命的すぎるわ。

文字も書けないとこちらから証明書や契約書を作ることもできない。


で、この威圧的な指導を行っているのは何と女性だ。

それなりに歳を重ねているみたいだが、まだまだ俺からすれば美人に入るぐらいの人だ。

何故かしらんが、肌の露出の多い防具をつけている。

体には傷跡が無数にある。

冒険者をやってたんだなーって人。


「と、自己紹介が遅れたな。私はこの学園で戦技教官をやっている。セレーナだ。また諸君等と会うことになるだろう。では頑張りたまえ」


そうセレーナ教官は教室を出ていき、代わりに他の教官が入ってきてテスト用紙を配り始める。


紙をこんな風に使えるってことは、それなりに紙業が確立されてるのか。

さて、歴史なんかやられたら全滅必至だ。

とりあえず計算と、文法系はなんとかしたいな。

なぜかこの世界の文字は読めるし書ける。


で、配られたテストの内容を流し見して噴き出した。


全部で20問。

一教科ではなく、全部まとめて。

計算も文法も色々混ざってる。

おいおい。

しかも計算に至っては四則計算までかよ!!

微分積分ぐらいくるかと身構えてたよ。


しかも歴史関連は無し。

なんでやねん。


スラスラと解いて、17問目でペンが止まる。


何だこれ?


・戦闘時に一人が動けない負傷を負った。そして貴方では到底太刀打ちできない魔物がいる。仲間を見捨てれば助かるだろう。そんな時はどうする?


道徳の授業か?

いや、これは判断能力を見る為のテストか。

どういった理由で見捨てるか見捨てないかをしっかり書くべきって感じか。

詳細が不明すぎるしな。


では……カリカリっと。




「タイキは随分と早く寝ていたわね? 諦めたのかしら?」

「結構難しかったですよね」


テスト後そんな声をかけられる。

ええー、これは無いわ。

でもこの世界の教養レベルが分かったし、なんて言えばいいんだ?

楽勝だったよ?

難しくて?

いやいや、どっちもアレだわ。


「あー、なんとなく空欄は無いようにしただけさ」

「なるほど。最後まであがいたのね」

「大事だと思います」


万歳灰色回答!!


「さて、諸君。筆記試験ご苦労だったな。校庭にいくからついてこい。これから戦闘試験を開始する」


セレーナ教官がそう言って、俺達を校庭へ連れ出す。


「校庭では見ての通り、戦技訓練を行える。一応あちらに屋内訓練場があるが、外の方が広いからあまり使われないな。雨の日にでも利用するといい」


あれが屋内訓練場か、掘立小屋みたいな感じだな。

あれなら外の方がいいかもな。


そしてセレーナ教官はなにか布がかぶせてあるところで止まった。

中は訓練用の武器か?


「ここで戦技試験を開始しようと思うが、その前にこっちをみろ」


そういって、二つある内の一つをめくる。


ざわっ


周りが浮足立つ。

それもそのはず。


「いいかよく見ておけ。これが冒険者の末路の一つだ」


中には血まみれで体のいたるところが欠損した男らしき遺体が一つ。

もう一つは女性で、全裸で股を大きく開いて液体を大量に溢れさせて絶命している。

腕もあらぬ方向に曲がっているから、抵抗でもして折られたのか。


「こいつらはそれなりのコンビだった。恋仲でもあったらしい。だが、ここにある未踏破ダンジョンで命を落とした。訓練ダンジョンも毎年一人二人死人が出る。男は痛みの果てに、女は恥辱の果てに死ぬことになる。よく覚えておけ。これで辞めたいと思うなら2か月ずっと引きこもってろ。そうすれば来月の評価が得られなくて退学となる。お金をもらっている身だから、今月だけはココにいられる。他の道を探すならそのうちにな」


そういって、教官は遺体に再び布をかぶせる。

そして、他の教官かはしらないが、その遺体を運ぶ。

なるほど、わざと見せたな。


「では戦技試験を開始する。そこの武器を選んでこっちにこい。まずは……」


そう言って、手にした紙を見て名前を呼ぶ。


「キール。キール!! いないのか!?」

「は、はい!!」

「さっさと武器を選べ。試験はこの時点から始まっているぞ。遺体ごときで動揺するな!! 敵は待ってくれないぞ!!」


可哀想に、一番始めのキール君南無。


ものの見事にボコボコにされた。


「よし、キールの評価は終わる。しかし、キール落ち込むな。お前はあの状況でも、しっかり剣を握り私に斬りかかってきた。お前は伸びる。がんばれ」

「はい!!」


痛そうな痣をものともせず返事をするキール君。

いや、まああれぐらいの評価プラスがないとやってられないよね。


「さて、キールを笑っていた奴らはキール以上の動きを期待していいな?」


セレーナ教官の眼光が鋭くなる。

笑ってみていた奴は顔が引きつってるわ。



それから、可哀想にボコボコ劇が繰り広げられる。

そして、ローリッヒの出番がくる。


「ほう。クワイア公爵の娘か」

「ええ、ですが三女ですので自分の力で生きることにしましたの」

「ふむ、その心意気は買おう。手加減を期待するなよ?」

「勿論ですわ」


それから今までとは段違いの攻防が行われていく。

剣を振りながらのシールドバッシュの連携をみせるローリッヒ。

それを剣一本と体術で軽くいないしていくセレーナ教官。

だが、徐々にローリッヒの息があがっていく。


「ふうっ、行きます!!」

「こい!!」


ローリッヒは最後の一撃と決めて、セレーナ教官はそれをくみ取って、激突する。


ガランッ


ローリッヒの盾が落ちる。


「くあっ……」


そしてガクンと体が崩れる。

セレーナ教官はそれをしっかり受け止める。


「見事だぞローリッヒ。まだまだ甘いところはあるが、その心根はちゃんとしたナイトだった」

「あり、がとうございます」

「そこで座ってろ。回復魔術をかけてやってくれ」


そう言うと、回復役の教官が出てきてヒールと言ってローリッヒを回復させる。

いや、実際回復したことないから効いてるかわからないけど。


「次は……ほう。お前かタイキ」

「へ? どこかで会いましたっけ?」


自分は木剣をとってセレーナ教官の前に立ったがそんな言葉をかけられる。


「いや、記録を見る限りすでに剣士のレベル15。さらに実践経験もありと書いてある。なのにわざわざこちらに来たのか不思議でな」

「見ての通り田舎者なんで、どうしていいかわからないんですよ。で、都合よく冒険者学園があるって聞いたんで。戦闘も偶然ですよ? あれが初めてですし」

「それで、一対八を制したと? 何をした?」

「二匹逃げられましたし、いい師匠の助言あってですよ」


田中先輩という化け物がな。


「師匠ね……。まあいい。お前もローリッヒ同様、他とは違う扱いをしてやろう」

「それは勘弁願いたいんですが」

「無理だな。先ほどから殺気を当てても草の様にゆらりと自然体だ。委縮もしない。さあ、全力を出してもらおうか」


そう言うなりセレーナ教官が一足飛びで斬りかかってきた。

でも俺はなぜがゆっくり見えて、あっさり最小限の動きでかわす。

あー、スキル補正か。

なんか見るのもめんどくさいぐらいついてたしな。

剣も昨日振ったけど、なぜが両手剣を片手で振れるし怖かったわ。


「ほう、これを躱すか。だがその躱し方はよくないぞ!!」


そう言ってすぐに剣を横に薙ぐ。

でもかがんで躱します。

いや、これはパターンだしな。


「なに!?」


そしてとりあえず、剣をセレーナ教官の前に軽く突き出す。

無論当てるつもりはない、寸止めだ。

横に剣を振り切って、硬直してるからやりやすいわ。


だか教官はすぐさま転がって距離をとる。

おお、すげー。

無理やりというか振り切った勢いを使って離脱した。


「なぜ剣を止めた? 振り切っていれば当たったはずだ」

「えー、その。女性だし、顔は不味いかなって?」


正直それで試験終了と思っていました。


「甘いな。お前は力がありすぎる。それが弱点だ。やれる時はしっかりやれ。そしてさっきのは私としては屈辱だ。つづけるぞ!!」


えー。

教官は思いっきり突っ込んで、ローリッヒの時とは段違いの速度で斬りこんで連撃を入れてくる。


「わたたっ」


いきなり速度が上がって驚いたが何とかなるな。


「これも防ぐか。しかし勝てた時に勝利をもぎ取らないとこうなると覚えておけ!!」


剣のあと時間差で足が出てくる。

キックか?

足払いやな。

お約束すぎるわ。

見え透いてるわ。

田中先輩ならもっとえげつないぞ。


だから足に教官の蹴りが迫った時、軽く足を上げて踏みしめた。


バギッ!!


嫌な音がする。

あーあー、やっぱ折れたか。


「ぐうっっつ!!」


簡単に言うと、教官の蹴りを踏みつぶして折った。

迂闊に体術は繰り出すもんじゃないよ。

狙われたら終わりだから。

何の為に剣をとか武器を使うと思ってんねん。


「一対一で体術は拳の殴り合いでもない限りやめた方がいいですよ? こうなりますから。基本体術はやるなら確実に仕留めることを前提にやるべきです。足払いはまあ、仕留めることにはなりそうですが、ちょっと及第点は上げられないですね。もうちょっと考えてください。何のために武器持ってんですか?」


これは田中先輩に言われたことだ。

田中先輩は圧倒的だったので、小技に頼ったが、逆に体を痛めて不利になった。

というより、なんでこんなこと先輩とやったんだろうな。

下手に教えてくれって言ったのが間違いだったか。


「あと、これは戦技試験でしょ? 戦力評価じゃないんだから、教官のいう現実の戦いとは違います。こんな事で頭に血が上るのはやめてくださいな。他にも試験受ける人がいるんですから。と、骨折って治るんですかね?」


顔を上げない教官をみて、とりあえず棒立ちしている回復役に声をかける。


「あ、ああ。骨折ぐらいなら何とかなる」


慌ててセレーナ教官にハイヒールをかける。

光が収まると、セレーナ教官が立ち上がる。


「タイキ、お前は本当にここに何をしにきた?」

「だから冒険者の勉強。腕っぷしだけじゃダメって言ったのは教官だろ」


いい加減しつこいので言葉使いが荒くなる。


「ほらさっさと仕事しろ。他が待ってるぞ」

「……次」


そうやって渋々試験を再開する。

動きのキレは悪くなっていたが、それでも新人達には手も足も出なかった。


因みにユーリィは戦闘は得意ではないらしく、短刀で教官に斬りかかったが、はじき返されて気絶した。




「タイキって凄かったのね」

「凄かったですよ。教官を倒しちゃうなんて」


お昼。

食事をしながら二人から褒められる。

これからブラジャーとかアイテム袋を買いにいくので、邪険にするわけにもいかない。

というか、目立たないって決めたのに、目立っちまった。

仕方ないじゃん、弱かったんだから!!


「でも、明日筆記テストの結果で幻滅されないといいですわね」

「ああ、そうですね。タイキさん早いうちに諦めてましたから」


しまったー!!

これで筆記が満点でしたーとか、注目の的じゃん!!

ひぃぃいい!!

のんびりチート隠匿生活が。


やっちまったモノは仕方ないか。

とりあえず約束を果たすとするか。


今日は試験だけで他の予定はない。

なので、ブラジャーの約束を果たす事になる。




「ちょっと待っててくれ。隣の部屋に置いてるんだ」

「わかりましたわ」

「うん待ってるよ」


外で待っててほしかったが、ただ下着を持ってくるのに、外で待たせる理由もない。

危険だが、隣の部屋でチートスキルを使って出すことにする。

というかサイズってどうやるんだ?

俺が出したときは俺のサイズぴったりだったけど。


「私と一緒の部屋ですね」

「それはそうでしょう。わたくしの部屋も同じ作りですよ」


そんな雑談が隣の部屋から聞こえる。

ええい、パパッとしないと怪しまれる。

まずはローリッヒの誘う下着だ!!

そして可愛い下着をユーリィに!!

適当に念じてコマンドを押したら、なんとその通りかは知らんが、サイズに差がでて下着が出て来た。

コマンドで外に出す癖に、ここら辺は適当だな。


「と、待たせた」

「いえ、そこまで待ってませんわ」

「タイキさんが持ってるのがぶらじゃー?」

「ああ、これがローリッヒ、こっちがユーリィのぶんな」

「凄いですわね。この刺繍、すばらしいですわ。飾ってもおかしくないですわ」

「こっちも可愛いね」


えー、下着なんて飾るなよ。

いや、下着展覧会とかあるなら飾るだろうが。


「でどうやってつけますの?」

「どうするのタイキさん?」

「え?」

「ちょっと脱ぎますから、つけてくださいますか?」

「まっててください」


あー、そうなるよね。

ブラジャーなんて知らないのに、つけられるわけないか。

もう、なにかどうでも良くなってきたわ。



「それでこうやってと、胸はその二つのくぼみに合わせる様に。肩のひもで調節して……」

「こうするのですね?」

「タイキさーん、難しいです。おっぱいが上手くはいらないです」

「そっちに行くから」


二人の乳を普通に触って、なんとかブラジャーをつけさせる。

もう、疲れがたまるわ。

色んな意味で。


当の二人はその場で飛んだり、動いてブラジャーの性能を確かめている。


「すごいですわ。擦れない」

「うん、揺れすぎて痛かったけど、それもないよ」


うん、喜んでくれるならいいんだ。


「タイキ、ブラジャーはいいのですが、このもう一つはなんですか?」

「うん、これなに?」


お互いに、パンツをもって首を傾げる。

そっちもですか。


「それは下に穿くやつ」

「スカートあるのに下を穿くのですか?」

「なんでです?」


あー、そうだよな。

下着なんてつけないのが普通なんだよな。

なんて説明するか……。




「なるほど。つけてみたらなんとなく言ってる事がわかります」

「うん。これでスカートが破れても恥ずかしくないね」

「そうですわね。趣向も凝らしていますし、問題はありませんわね。しかし、普段隠しているならここまで綺麗にする必要はないのでは?」


うわ、説得は出来たが今度はデザインに言及してきたよ。

おれは新商品をプレゼンする商社マンじゃねーよ。


「それはお互いを見れば気が付くんじゃないか?」

「ユーリィを?」

「ローリッヒさんを?」


そして二人はお互いの下着姿を見る。


「可愛いですわね」

「綺麗ですね」

「そう、それが狙いでもある。局部を保護するのと、もう一つは女性の魅力を上げる為の物だ。女性同士でそう思ったんだ。特別な相手にその下着姿をみせたら喜んでくれると思うだろう?」

「納得ですわ」

「はい」

「それを見せるってことは相手にOKって示す様なもんだからな。俺の所ではそうなってた」

「あら、それではわたくしはタイキを誘惑してるのかしら?」

「あううっ!? 私もですか!?」

「いや、それの付け方説明とかだから今回は無しだろ」

「あら残念。タイキ程の腕なら誘惑しててでも一緒のパーティーにいて欲しいのですが」

「そんな事言わなくても、パーティーなら組んでいいぞ?」

「本当ですか!!」

「まあ、知り合いも他にいないしな。ローリッヒもユーリィを入れていいならいいぞ」

「あら、ユーリィとは昨日からパーティー組むことが決まってますのよ」

「そうだったのか」

「あとは、誰を入れようか悩んでいましたが。今日の戦技試験といい、私達の裸を見ても襲わない精神といい。優良物件ですわね。他の男ときたら胸を見ていやらしんですよ」

「そうですね。流石にあの目で見ている男の人をいれるのは……」

「わからんぞ、近いうちに襲うかもしれんぞ?」

「それならどうぞきてくださいな。それを逆手に脅してずっと私達のパーティー組んでもらいますから」

「うえええ、襲うんですかタイキさん!?」


これなら間違いはおこらなそうだな。

のんびりチートを調べることができそうだ。



「次はアイテム袋を買いに行きたいんだがいいか?」

「ええ、ユーリィから話は聞いています。私も欲しいですし一緒にいきますわ」

「えっと、私は財布が厳しいので大きめの鞄にしときます」


結局アイテム袋の買い物も三人で行くことになった。



「おお、タイキ君じゃないか」

「お、ドラッドのおっさんじゃないか。ってことはここはおっさんの店か?」

「そうだぞ。っと、そっちにいるのはユーリィじゃないか。ああそう言えば冒険者学校に行ったって聞いたな。大変だったな。で、そっちのお嬢さんは初めてですな。ここの店主ドラッドです」

「どうもドラッドさん」

「どうもお世話になりますわ」


二人がドラッドさんに挨拶をする。


「で、見た感じ冒険者パーティーって所ですか。何か入用で?」

「ああ、アイテム袋が欲しくてな。在庫ある?」

「なるほど。冒険者ならではですな。待っててください」


そう言ってドラッドさんは奥へ引っ込んでしまう。


「あ、私…鞄」

「ああ、言いそびれたな。まあ仕方ない」

「ふむ。タイキ少しよろしですか?」

「なんだ?」

「わたくしたちにくれた下着ですが、よろしければドラッドの店主に情報を渡してよろしいでしょうか?」

「どうしてまた?」

「いえ、これでユーリィ分のお金ぐらい稼げるのではと」

「ええ!? ダメですよローリッヒさん。タイキさんの所の民芸品を真似するなんて」

「でも、下着が広がらないと、タイキがずっと紹介する羽目になりますわよ?」


それは勘弁してくれ。


「多くの女性からつけ方を教ええないといけませんわね。私達もできるだけ協力しますが、いつでも一緒というわけではありませんし……どう思いますかユーリィさん?」

「タイキさんドラッドさんに下着の情報を売りましょう!! 大丈夫です。それで私の分のアイテム袋を買ってなんて言いませんから!!」

「……ああ。それは構わないけど、そう言う交渉はしたことがなくて……」

「大丈夫です。私がしますから!!」


なぜかユーリィが息巻いている。


「お待たせしました。これが……」

「おじさんちょっといいですか!!」

「おおっ!? どうしたんだユーリィ!?」

「ちょっと買ってほしい商売情報があるんですよ!!」


そんな感じで、ユーリィの勢いにおされ、そのまま下着の説明。

流石にローリッヒは脱がなかったが、ユーリィがドラッドの奥さんに下着姿を見せて、予備で渡した下着をドラッドさんにローリッヒが渡し。

説明をして、ドラッドさんが売れると判断して。

この情報料としてなんと金貨10枚を渡してくれた。

なんでも貴族様用と一般用で分ければすぐに採算が取れるらしい。


お礼として、ユーリィにアイテム袋を買ってやった。

本人はなかなか受け取ろうとしなかったけど、俺とローリッヒの説得で何とか受け取ってくれた。



「しかし、思った以上のお金になりましたわね」

「ああ、ユーリィのおかげだな」

「あのっ、そんなんじゃ……。タイキさんが他の人にブラジャーつけて欲しくなくて……」

「だな。その心使いもありがたいよ」

「……はぁ。もう少し気が回ると思ったのですが。厳しそうですね」


何をどうしろと!!

たった二日でそんな事をするのは不味いと思いますよ。

まだまだ、これからなんだから少し待ってくれませんかね。


その日はそれから雑談をして、食事をし、部屋へと戻っていった。



「ふう、今日も色々あったけどアイテム袋が手にはいったからよしとするか」


寝る前にアイテム袋を見る。

取り出したアイテムの山は全て中に入れることに成功した。

これで俺が間抜けでない限り、アイテムが無くなる心配はない。

明日からの訓練頑張ろう。

そう思ってベットに転がったのだが……。



「タイキいますか? 今日は水浴びしましょう」

「体を拭くだけはふけつですよ!!」


その声に仕方なく起き上がって、彼女達の前で裸になることになった。

流石に男の部分は反応しているので、隠そうとしたのだが、タオルを奪われ、ガン見された。

なにが嬉しいのか。

二人とも頬が緩んでいた。

まあ、俺も彼女達の裸を見てるし仕方ないか。



「明日の発表はどうなることやら」



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