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勇者な俺と魔王な彼女  作者: ロドニー
兵士試験編
4/33

3話 「第一試験」

※6/11

 改稿作業完了

「トウマ勇者になるのが夢なら絶対に人は殺しちゃだめだよ?まぁもういっぱい殺しちゃってるけど……」


「わかってんだよ!!夢だってんだろ!?いちいちうるせぇーんだよ!!殺すぞ」


「だから殺しちゃダメだって……もう、トウマちょっと睨むと怖いんだからそんな顔しちゃダメだよ?」


「生粋のイケメン、そう言え。なんだよ、俺にメロメロかよ」


「ないない、トウマみたいな不良になんか惚れない惚れない」


「けっ、てめぇーみたいなブサイクに俺も興味ねぇーよ」


「ホント口悪いな」


「他人を敬うなんてできるかよ。同じ人間だろ」


「年上に敬語は基本だよ?勇者になるのが夢ならこれくらいできないと!」


「そんな基本はないだろ、この世界に。というかこの世界にいる俺が勇者に何て……」


そう、この腐りきった錆びれた世界に。そんな尊敬はない。そんな夢を持つことや叶える資格はない。ただ、生きて死ぬ。それだけの世界。


ただそれだけ。死ねば終わる、それだけは絶対に嫌だった。死ねば全てが終わる。

それだけは悔しくてたまらない、そう思う。


そして、目の前に立っている桃色の髪をした少女はこんな血汚れた世界を、そんな世界を美しいと言った。その理由がどうしてかわからないけど気になった。だから一緒にいた。ずっとここでこの世界で一緒にいれると思っていた。


「お願いします!!殺さないでぇ!!お願いだからぁあああ!!!」


数える事が不可能なほどの死体が転がっている。辺りは血の海と化し、そんな血の海の中で立っているのは俺だけだ。そして、生きているのは俺と俺に殺されようとしている男のみ。


俺は男の願いを聞くことなくその首をへし折り、その場にあったナイフで何度も何度も体や頭を突き刺す。そして、辺りを見渡しもう一度、世界に絶望した。


ああ……。


桃色の髪をした少女が腹部から血を流し倒れている。もう息はない。


ああ……。


俺が弱いから、俺が強くないから、俺がバカだから、俺が守り切れなかったから。


大切な物ってのは失ってから気付くもんだと誰かが言った。その通りだった。


その時からだった。


自分は弱い、まだ強くなろう、と、心から誓い。己の限界を磨き上げたのは。



「だから眠るのは嫌なんだ」


「トウマ、冷や汗」


「ちっ、確か今日だったな」


「私はそうと認識してる」


「じゃあちょっくら兵士になるとするか」


俺は登り始めた日に向かって歩き出した。後ろには子供姿の魔王が付いてくる。


王国の中央はむさ苦しい男で溢れ返っていた。これが兵士を志願する人の数か。ざっと200人程度と言ったところか?


まぁ絶滅しかけてる人の数に照らし合わせてみると、志願者は多いのかもしれない。先程から女も数人見かける。


「静まれぇええええ!!!」


一人の巨漢な男の怒号でお祭り騒ぎだった場が静まり返る。時間がわからないので騒がしくなってから適当に朝早く来たが、どうやら中々いい時間だったようだな。


ちなみに魔王は俺の背中で眠っている。眠いなら家で寝とけバカ野郎。さっきから周囲が俺を変な目で見てるだろ。


助かったことは兵士になる際は無駄な詮索がされない事。強さだけを取っているらしく、履歴書的なあれは必要ないらしい。まぁ、アルバイトじゃないしな。


こちらとしては好都合に過ぎない……。


「それでは兵士試験を開始する!!第一に二人組を組むのだ!!!」


「おい魔王起きろ。お前は容姿的に兵士にはなれないから」


「ぐーぐー」


「起きろってんだろ!?犯すぞ!!?」


ざわざわ……。


しまったぁあああ……。いつものノリでしてしまったぁああ……。


これでは見た目イケメンから中身ロリコンにキャラが定着してしまう。


「めんどくせぇ、てめぇ俺と組みやがれ」


「ひぃ!?僕ですか!?」


「誰ともなってねぇーんだろ?さっさと来い」


ちなみに俺の周囲にいた奴らはすぐさま俺と距離を置いてくれた。犯すなんて叫ぶんじゃなかった。


「わ……わかりましたぁ!!」


俺が話しかけたのは少し気弱そうな少年だった。たまたま、その場から離れるタイミングをミスったようだが……。というか二人組なんて組んで殴り合いでもすんのか?ちなみに魔王はまだ寝ている。


「今、組めなかったものは失格とする!!」


鬼かよ!?


「それでは次だ!!今から30人つまり15組になるまでここで殴り合え」


「なに!?」


「ひぃいい!!」


こいつと戦うんじゃなくてこいつとチームだと!?こいつ戦闘力5だろ!?


「どちらか片方でも気絶した者は失格とする!!魔法円でお前たちの生命力は記憶したから言い逃れはできんぞ!!それでは始め!!!」


そんなおっさんの怒号と同時に先程まで綺麗だった王国の中央都で殴り合いが始まる。乱闘なんてレベルじゃない。


ただ大喧嘩だった。


そんな喧嘩の最中、俺に向けられる複数の敵意。


「おいこっちに来い!」


「ふぇえ!?」


俺はそいつの腕を引いてこっちに寄せる。


「ちっ!!」


「生憎気配には敏感でね!!」


「くっ!」


「二人でやるぞ!!」


「ああ!!」


二人組の大男がチームを組んでいるのか協力して俺を潰しに来る。


「よっと……」


俺はそれを殺さない程度に二人同時に気絶させる。その間、約3秒ほどだろう。


「なんだもう少しやると思ったがその程度かよ」


こいつらの力量を平均にするなら四割くらいで試験には生き残れそうだ。というかなんで俺は戦う際、毎回魔王をバックに背負っているんだ。俺のキャッチコピーにでもする気か?


「お相手願いたい」


「ん?」


そう俺に話しかけてきたのは一人の少女だった。こんな乱闘でそんな決闘みたいに申されてもなぁ……。だけどさっきの二人よりはやりそうだ。いい闘争心だ。焦りがなく自然な気配。


ちなみに向けられていた複数の敵意はこの二人を数秒で倒すと淡い物になった。そりゃあ自分より強い奴とは戦いたくないよな。


「初手はやるよ」


「お言葉に甘えて……!」


藍色の瞳をした少女の白い髪が朝の日差しに照らされ新雪のような白さを放つ。


「はぁあああああ!!!」


瞬間的に俺の眼前に現れる少女から繰り出される正拳突き。


俺はそれを真正面から受けてやる。


「はっ!!」


その痛みに感傷的になる暇はなく、淀みなく追撃が隙ない動作で加えられる。それは回し蹴りだ。その蹴りが顔に決まる。そこに手加減の文字ははない、ノータイムで殺しに来ている部分はいいだが――――。


威力はまた別だ。


「いい拳してるじゃねぇーか」


「!?」


俺はその少女から繰り出されるであろう三度目の攻撃である裏拳を左手で受け止める。


「この腕を砕く事は造作もないんだぜ?」


「~~っ!!!」


俺はその少女の手を握りつぶす勢いで握りしめる。


「ミオンに汚い手で触れるなっ!!」


「あ?」


俺は真後ろから繰り出された飛び蹴りを少女事左手で抱えて右に飛び避ける。


「その手を離せ!!!!」


「ふんっ!!」


「ガッ!?」


狂犬のように噛みついてきた男に反射的に蹴りを決める。殺さないようにある程度は抑えたが……。


「そこまでぇええええええ!!!」


おっさんの怒号が鳴り響く。


気が付けば周辺に立っている人影は数えるほどになっていた。


「今、立っている者はこちらへ来なさい。それと看護婦さんたちは倒れている者の治療をそれと隊長をお呼びに……」


俺は掴んでいた左手を離す。もう、戦う理由はない。少女からの敵意もなくなっていた。


「あなた……名前を教えてもらえる?」


「教える義理はない」


「あのあの!!僕たちチームですよね?名前教えてもらえませんか?」


俺は改めてどうしてこんな奴と組んでしまったのか、あさはかな自分が嫌になった。というか途中からこいつ何してたのか知らないんだけど……。


「トウマだ…」


「トウマさんですか!僕はリューシュです!」


「私はリン、そこでもがき苦しんでいるのは友人のラハールよ」


「あがっ!!あががが!!」


「ああ……」


苦しそうなラハールを見て少し罪悪感を感じてしまうのは何故だろう?


とりあえず、俺は魔王を背負ったまま四人で(五人)王国の城へと入って行った。

※6/11

 改稿作業完了

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