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勇者な俺と魔王な彼女  作者: ロドニー
兵士編
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16話 「渡り合う力」

「トウマいきなり走り出してどこに行ってたのよ……」


と、文句を言うリンを筆頭に並んで俺を待っていた様子の御一行様。仲間意識が随分と高い御様子で。俺なら無視して探索を始めているだろう。


「うんこだようんこ。腹が痛くてなうんこしたくなったんだうんこ」


「貴様なんて下品な!!下半身からの物といえ!!」


「オナニーかしょんべんの可能性も浮上したな」


「貴様はどこまで下品なんだ!!!」


「ぶ…ぶれないねトウマくん……」


「聞いた私がバカだったわ……というかあんたその子背負ったまま出したの!?」


「降ろしたに決まってんだろ」


「流石にモラルはあったわね……」


「さっきまでのこいつの発言にそんなものがあったのか!?」


「さて問題だぜ?俺は今までうんこ、と何回言ったでしょうか」


「知るか!!!」


「四じゃないの?」


「ざんねーん、正解は今のを含めて五回でしたー」


「その顔むかつくんだけど…」


「本当にトウマくんはぶれないな……」


「貴様、その頬の傷はどうした?」


「ああ、少ししゃがんだ時に瓦礫で頬を切っちまったんだ」


「私が治癒をしよう。他の者は探索を開始してくれ!決して一人で行動をしないように!」


アリスが隊長らしく、俺たちにそう指示を出す。確かにあんな奴らが相手となるならこいつらでは分が悪い。


リンとラハール、そしてリューシュがいなくなるとアリスは魔法を発動しながら俺に質問する。


「一人倒したのだな」


「でしょうね」


アリスとフウはどれだけ惚けても騙せそうにない。


「ああ多分お前らと戦えば少し分が悪いぜ。あいつら、いやまだ一人だが完全に殺気だってやがる。恐らく少し躊躇えば殺されるぜ?」


まぁ、俺が負ける通りはあいつ程度ならあり得ないが。


「治癒完了っと」


「ありがとよ」


俺は斬られた頬を直に触れるがそこには傷跡の感覚はなく、先程まで流れていた血が付着した。


「私の魔法は傷口を塞ぐ魔法だから流れた物は戻せないの」


「それが制約、お前の魔法の効果だな」


「そうよ」


「まぁ燃費も悪くなさそうだし、いいんじゃね?」


俺は回復に関してはわからないので率直な意見を述べておく。


「トウマ、なるべく私の名前は伏せてくれない?もしかすると私を…」


「ああ」


俺は事情を知っているので静かにそのフウの願いに頷いた。





リンを筆頭にその隣をラハールそしてリューシュが歩いていた。


暗黒街と呼ばれるだけあって名前ゆえか街灯が光っている場所も何処か薄暗い。


「やっぱりみんなと行動したいよ…」


「貴様それでも男か!!泣き言を言ってる余裕などあるか!!男なら堂々と先頭を歩け!」


「そんなこと言っても……」


「ええい!!ヘタレるんじゃない!!」


「釣れたわ」


と、先頭を歩いていたリンが歩みを止める。


何故ならそのリンたちの前には二人の男が立ち塞がるように立っていたからである。雰囲気は少し若そうに見え、体はその場所に似合わない体を持っていた。一人は恐ろしいほどの巨大な図体を持っており、もう一人は流れるような細い屈強な体。


リンは知っていた。


裏世界に秩序はなく、力が全てだと言う事を。恐らく、その風貌が意味するのは裏世界で生き抜いたことを意味するのだろう。


「ようお嬢さん。俺たちと遊ばない?」


「げへへ。お嬢さんの処女奪って上げるよ」


「思考はやっぱり下種ね」


「貴様!!リンの始めては僕だ!!」


「黙りなさい!!」


リンは反射的にラハールの股間を蹴り上げる。


「ぬぉおおおお!!!!」


ラハールが地面をのたうち回る。


「まぁいいや。力づくで奪わせてもらうぜ」


「悪いが二人でヤるぜ?悪く思うなよぉ」


リューシュは路地に隠れていた。そしてラハールは股間の強打でノックアウト。


「あんたたち二人で私に勝てると思ってんの?」


「てめぇえ!!俺を舐めるんじゃねぇ!!」


男がリンに向かってその屈強の体を持ってタックル仕掛ける。男は体に似合わない速さでリンは思わずタイミングを計り間違え咄嗟に左へ飛んだ。


飛んだ先には屈強な体つきの男が待ち構えていた。


「くっ!!」


「捕まえた」


リンは脇を腕で固定されあっさりと拘束される。あの巨大な男とは違い冷静だったようだ。


「何が二人で勝てるの?だ!俺たちの相手じゃねぇ」


「中々俺好みな胸をしてるじゃないか」


屈強な体を持った男が躊躇いなくそのリンの発展途上の胸を触る。


「俺は大きい方が好きだな」


と、巨漢な男がリンの胸に触れようとした瞬間だった。


「ぐっ!?」


巨漢の男の体が吹き飛ぶ。


そして、それと同時に地面に着地する人影が一つ。


それは怒りに震えた表情をしていたラハールだった。


「なっ!?」


「汚い手でミオンに触れるなっ!!」


「ちっ!!この軟弱兵士がぁああ!!!」


「ふっ!!」


ラハールは冷静に屈強な男から放たれた蹴りを少し足を屈伸し、紙一重で避ける。そして油断し隙だらけになった頬に渾身の一撃を決め地面に叩き付けるように殴る。


「かはっ!!!」


屈強な男は吐血しながら地面に強く体を打ち付けバウンドしその場に倒れる。少し痙攣を起こしたからか立ち上がる様子はなかった。


「てめぇ!!舐めやがって!!」


男のタックルがラハールに向かって既に放たれていた。恐らく、ラハール一人ではその攻撃を受けていただろう。


「頭に血が登り過ぎね。見た目通りの脳味噌筋肉ってとこかしら」


「なっ!?」


空中でスケートのように舞っていたリンの華麗な蹴りが巨漢な男の顎に決まる。


「あ……がっ……」


そして巨漢の男はその場に崩れ落ちる。


「リン無事か!!」


「そこのやせ細った男に少し胸を触られたくらいかしらね」


「貴様ぁああ!!!僕でも触れたことない未知なる部分を!!」


ラハールは男を殴りまくった。


この二人、トウマと比べれば遥かに格下なだけであり、格闘術や魔力は今のこの世界において強者の部類である事は誰も知ることはないだろう。


「リューシュ!!二人を連れていくのを手伝え!!」


と、路地裏にいたはずのリューシュにラハールが声を掛けるが返事はない。


「なに…?」


ラハールがリューシュが隠れていたはずの路地裏に向かうが……。


そこには誰もいなかった。





「困るんだよ」


「ぎゃぁああああ!!!」


男の腹がリューシュの持っていた黒い剣のような形をしていた物体に切り裂かれる。


「僕たちの計画に支障が出たら」


「やめっ!!」


そう悲痛な表情をしていた男の体を縦に切断する。


「どう責任を取るつもりなんだい?」


「ああああああ!!!」


斜めにずれ落ちる一人の男。


「それにしても久々に人の血を見たよ」


リューシュは足場に広がった血だまりを見ながら高揚した表情で不気味な笑みを浮かべながら頬についた血を舐めた。

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