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勇者な俺と魔王な彼女  作者: ロドニー
兵士編
14/33

13話 「始まりのニュース」

俺は今、奇妙な映像が映った箱を見ていた。


ここは兵士舎の食堂だ。少し黴臭い匂いが漂っているが、まぁそれは年期がいいとプラスに受け取っておこう。それよりも今はあの奇妙な箱。


とても小さく、薄い。だが、中には人間が映し出されている。魔法かと最初は疑ったが魔力をまるで感じられない。一体全体あれはなんなんだ。


「魔王、あれはなんだ」


「わからない。だけど人が入ってる。魔力はない、でも物理的に不可能な現象。正体不明」


「おいリューシュあれはなんだ」


「トウマくん!?凄く怖いよ!!?」


「さっさと答えやがれ!あの箱は何だ!!」


「ふん、そんな漫画みたいな台詞がまさか現実で聞けるとは思わなかったよ」


と、鼻で笑いながら俺の隣に座る……誰だっけ?


「ラハールだ!!」


こいつ、俺より心読み取る技術凄くね?


「あれはテレビよ。今の時代じゃどの家にも置いてあるのが当然の代物」


と、ラハールの対向に座るリン。


というか何でこいつらは当然のように俺の近くに寄ってくるんだ。


だが、嫌な気分ではなかった。少し歯がゆいが過去にも同じような想いをした事を思い出すと俺は思わず笑ってしまいそうになる。


感傷的になれるほど、俺の心は柔ではない。


「このニュース……」


「うぉ!?てめぇーは気配を消して俺の隣に座るんじゃねぇ!!」


俺の隣にはいつの間にかフウが座り込んでいた。魔法を使っているのか使っていないのかわからないがやはり気配なく隣にいられるとイラつくとか以前にビックリする。


「私ってほら……神出鬼没キャラじゃない?」


「その割にはいい頻度で出てきやがるな」


「まぁまぁ、それよりもこのニュース」


「ニュースってなんやねん」


「なんでカンサイベンやねん」


カンサイベンって何なんだ!!


俺は闇に堕ちていきそうな思考を繋ぎとめて話を進めさせる。


箱の人が丁寧な敬語で言葉を淡々と読み上げていく。俺たちはその声に耳を傾ける。


『先日、とある一軒家から一家族の死体が見つかりました。全ての死体が拷問を受けたような目を向けられないような状態だったそうです』


「なんだこれ?空想論か?」


「恐らくこの人ドヤ顔で語りたい」


「だな」


俺と魔王がそんな会話をしている中、俺たち以外の全員が俺たちに冷たい目線を向けていた。


せやから、ニュースってなんやねん……。


『一軒家の農場に人が通ったような穴があったそうです。この穴は裏世界の方に続いており、自警団と王国兵士隊の双方は裏世界の人間の手口だと予測をしております。裏世界の人間がもしかするといるかもしれませんので皆さんはお気を付けください、以上本日のニュース担当ハライでした』


「裏世界の人間……」


その単語にフウは首に手を当て考え込む。そういや、こいつも一応は裏世界の人間なんだよな。思い当たる節があるのだろうか?


「ミオン僕から離れるなよ!!」


「あんた部隊違うでしょう…」


「リンちゃん僕を守って!!」


「情けなすぎるわ!!」


俺は思わず弱音で懇願したリューシュに突っ込んでしまった。


「だって僕弱いし……」


確かに、こいつからは何の力も感じない。一言で表すならカスだ。


そんな会話をしていると突然聞いたことのない声が辺りに響き渡る。


「全ての部隊兵士は一階の中央広間に集合する事を命じる」


男の冷えたような声がその一言を述べると響き渡った声は消えた。


「今のは一体なんなんだ……」


「行きましょトウマ」


「ああ」


俺はフウと並んで中央広間に向かう兵士の列を歩いていった。

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