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勇者な俺と魔王な彼女  作者: ロドニー
兵士試験編
1/33

0話 「むかしむかし」

とりあえずあらすじは思いついたので……

長期連載するかは不明です><


「終わりだ……」


そう呟くクリフトの瞳は絶望に染まっていた。その理由は至極簡単である。目の前の現状を簡単に述べてしまうなら世界の終わりだろう。


そう言わざるを得ないほどの魔力が、少女の周りに集っていた。その魔力は俺たちの持つ聖とは真逆の邪であり、善とは真逆の悪であり、正の反対である負だった。


見ているだけで吐き気がするほどのその憎悪の魔力の根源の理由を俺は知っていた。


「何をする気なんだ、トウマ」


「いや、まぁ世界滅亡を救おうかなって思っただけだ」


「トウマお前……」


「まぁ、お前らと勇者一行するのも楽しかったぜ、ここで俺たちの戦いは……冒険は終わりといこう」


「トウマ……待って!!」


「じゃあな」


俺はそう言って目の前の少女に向かって突っ込む。その少女こそ世界を滅ぼす一手を持っている魔王だ。魔王の周囲に近づけば近づくほど悍ましい魔力が肌身で感じ取れる。


が、それこそ常人には悍ましいが俺にとっては耐えられないものではないのも事実だった。


俺は一直線に絶望する少女に向かって走る。そしてその少女をそっと、優しく包み込む。


「お前はずっと独りで寂しかったんだよな。……俺と一緒だったんだな……。お前のその憎悪が消えるまでずっと一緒にいてやるよ」


俺は耳元でそう魔王に呟いた。


それと同時に俺は絶対封印魔法・正の鎖バジュラを発動する。俺の全身から溢れだす光の魔法は呪いの光。


こいつの憎悪が消えるまで溶ける事のない永遠の封印魔法。その封印結界の中で俺と魔王は死ぬ事はできない。ただただ結界で無為を過ごす。


「はっ、ホントはお前だけに使うつもりだったんだぜ?紳士な俺に感謝しな」


そう言って、俺と魔王は俺の体から溢れだす光に呑み込まれ、この世界から消えた。



こうして、勇者と魔王の戦いはピリオドを迎える。





時は流れる。勇者が魔王を討伐した事が言い伝えとなり、昔話となり、絵本になるほど。残酷に時間は流れ続けた。


だが、それはトウマたちには理解しえない。それほどまで結界の中では感覚が可笑しくなる。


封印結界の中で会話は可能だ、だが魔王は一向に口を開かない。だからこそ、トウマはただ眠るだけだった。目覚めても眠る。封印結界の中では時間は流れず外に干渉は不可能だ。


そう、幾年の月日が流れたある日だった。


「世界」


「あ?」


「希望」


「?」


魔王は突然、何の前触れもなしに言葉を漏らした。すると封印結界に亀裂が奔る。亀裂は数秒経つと形を保てなくなった。


そして結界が全壊した。


二人の人間が荒ぶる大地に立ち尽くす。


そして、物語はここから始まる。

明日できれば更新します!

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