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猫又(おじょう)さんお待ちなさい

「う〜、恐いですニャ、恐ろしいですニャ、ここはにゃンですかニャ、まったくもって化け物屋敷ですか? ですニャ?」などと自覚のないことをのたまう綾音の後ろに音もなく人影が立つ。


「また、あなたですか、葉月はづきはお仕置きを期待して見過ごしますし わたくしとて、…先刻は小難と見逃しましたが、…主様しゅさまの平穏を乱すというならば、見過ごすわけにはまいりません」こわごわと振り向くと、瞳を固く閉じた緋袴の巫女が、そう言いざま、星明かりを落とした小太刀を構える。

 

「……、にゃ、にゃ〜! 三十六計にげるにしかず、ですにゃ!! にゃにゃにゃっ!! にゃんで逃げられないですにゃ、にゃんで目の前にいるですにゃ?」逃げようとする綾音の先々にまるでねらい澄ましたかのように神凪が佇む。


「簡易結界、ですが …やはり杞憂でしたか、使うまでもなかったようですね、しかし悪い芽は早めに摘んでおけとも申しますし、申し訳ありませんが、大人しく死ぬ、抵抗して死ぬ、お好きな方をお選びくださいませ、主様ひとさまを狙うからには当然、その覚悟が無いとはいわせませぬ」


「……、にゃ、にゃぁぁぁ〜! ごめんなさいですにゃ、もうしませんですにゃ、お助けですにゃ〜〜〜〜〜〜」身体を丸め、ひたすら謝罪ごめんなさいする綾音かのじょの元に躊躇いなく刃が振り下ろされるが、想像した惨劇は起こらなかった。


「大丈夫かね、お嬢さん、まったく、危ないところであった」その白刃の下をくぐり抜け綾音かのじょを救ったのは、柔道部主将、いや、”神無ちゃんを救う会”会長の加納かのう 虎次郎こじろうであった。


 男は、彼女を抱き上げ、神凪を哀れみに満ちた目で見て言う。

「あの男に騙されているとはいえ、そこまでの暴行、見過ごすわけにはいかぬな」その姿は、彼のもともとの精悍さ溢れる容貌もあいまって、まるで映画の一風景ワンシーンのように様になっていた、が、彼が柔道着せんとうふくの上に着る法被はっぴの背に書かれた”神無ちゃんLOVE”の文字がその全てを台無しにしていた。


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