ラララ、ラララのラー
「平和の担い手だよ。人形使い」男が言葉を発した瞬間、空気が変わる。
「…戦闘空間か、準備は万端というわけか」
「その通り、しばし合わない内に身内が増えたようだが、貴様さえ排除すれば問題は無い、それでは、この前の雪辱をはらさせてもらおうか、人形遣い!!」
「主様、ご下命を、この一身を持って当たるが、我が幸い」
「が〜ん、ですニャ、が〜んですニャ、やっぱり、期待などされていなかったんですにゃ、やっぱりわたしはミソっカスだったんですにゃ」緊張した空気の中置いてきぼりを食らった綾音が、虎さんの腕の中で項垂れる。
「…玩具の兵隊」言葉に応えて、小さな戦闘人形が、敵に群がる。が、その全てが届く前に空で叩き落とされる。
「何度も同じ手を喰うと思うかね」余裕釈とした様相で男が振り返る。
「さしたる手品ではない、少し反射速度をいじっただけだ、ただ少々尋常ではない手段を使ったがね」微妙にまなじりをつり上げた男に、妖気をまとった男が種あかしを告げる。
「語るに墜ちたか、妖異狩り」
「毒を持って毒を制すると、つまりそういうことだよ、源十郎」
「ならば、遠慮はいらないな」
「望むところだな、…吸血鬼は、この昼日中には出てこられまい、ゾンビは戦闘には向かぬし、新月の人狼は無力、主戦力たる神無はメンテナンス中、さて、どうするね」
無言で視線を交錯させる、主と敵の間に緋袴の巫女が立ち塞がる。
「ふむ、神凪と言ったかその人形は、朔夜の完成形とみるが、対策ならば、すでに」言う空間に銃弾の嵐が四方八方から吹き荒れる。
開眼した神凪が、それを絶対防御の結界で主他を背にかばう。
「こう、防御防御対象が多すぎると、無盾はつかえないか」
「主様、ただ一言私に御命じくださいませ、主様だけには傷一つ負わせませぬ」
「そうもいかんさ、寝覚めが悪いしな」
「むぅ、貴様が殺されるのは勝手だが、罪の無い一般市民を巻き込むな、とはいえ、何か手はあるのか源十郎、緊急時だ、協力してやらんことも無い」
「が〜ん、ですニャ、が〜んですニャ、やっぱり、期待もなにもされていなかったですにゃ、ミソっカス、ミソッカスですにゃ」
「主様、神裂があれば、このような失態など犯さなかったものを、申し訳ございませぬ」
「……まぁ、言っても仕方がない、……そういえば杜若 綾音といったか、この妖猫」
「…確かにその娘は杜若の化け猫だが、何を期待しているか知らぬが、無駄だぞ、そいつは正真正銘最低ランクの妖猫だ」




