タイプ!? イケメンお兄さん現る!?
ルデス・シティーを見おわった一行は次の街へと足を運ぶ。
その途中で出会ったのは――なんとラギウスのお兄さん!?
ハチャメチャ・ストーリーが大分定着してきた蒼留です!
小説書くのって疲れますよね! え? 疲れない? そんなぁ
「……どうしよっかぁ……」
ルキが呟く。
ここは、ルデス・シティーの真ん中の方にある食堂。さして広くもないが、普通の食事ならこれぐらいで充分である。
この街に来て早7日。ルキたちは街中のほとんどを見おわってしまっていた。
「――そぉねえ……」
ミリアもため息をつく。ラギウスはやれやれという表情だ。
「――別に、この街にいる理由がないのならさっさと別の街へ行かないか? その方がいいと思うぞ」
「それもそうだけどぉ……。この街なら食事も美味しいし魔法の品の店も発達してるしさぁ……」
ミリアはこの街に愛着が湧いてしまっているようだ。
しかし――
「……次のリト共和国では色々な食べ物の名物があるらしいぞ。――特に鍋は絶品らしい」
ラギウスのこの一言で、その愛着はいともあっさり消え去った。
クルウェーーーーーーーーーーー
どこかで奇妙な鳴き声のトリが飛んでいる。
あの後街を出た一行は、ポプランの森へと到着した。――この辺りは森が多いのだ。
「おっなっべ♡ おっなっべ♡」
上機嫌なミリアはスキップをしながら歩いている。
「ミリア。あんたドジなんだから転ぶよ?」
ルキが注意してもミリアはまだスキップをしている。どうやら浮かれすぎてルキの声も耳に届いていないようだ。
「――深い森だな。……名前の割に」
ラギウスがボソッと呟く。『ポプラン』とは呪文詠唱の際に用いる単語の一種で、“光”や“正の感情”を表す時に必要となるものだ。正式には発音も『ポプラン』では無いのだが、魔法を使わないような一般市民にはこう聞こえるらしい。
「そうみたいだね。――これは野宿になるかもなぁ……」
ルキが嫌そうに言う。彼女は野宿自体はそこまで嫌いではないが、土の上に寝る、という行為が嫌なのであった。『だって虫がいるんだよ?』と、虫嫌いなルキならではの理由だ。
陽も傾き始めたころ、一行は少し開けた場所に出た。ラギウスが剣の稽古をしていた場所よりも広めだ。
「あー。今日はここで野宿になっちゃうかもねぇ~」
手近な岩に、ルキはペタンと座る。――もちろん虫がいない事を確認した上で。
「――かもな」
とラギウス。
ルキたちが休憩も兼ねて話していると――
がさりっ
横の茂みが動いた。誰かが木の間を歩いてくる。
「誰っ!?」
「氷結球っっ!!」
その茂みに向かってラギウスが呪文を放つ。
手ごたえは、無い。
がさり
茂みから出てきた人が口を開く。
「危ないですねえ。人に向かって呪文は放つものじゃありませんよぉ?」
その声を聞いて――
ラギウスの動きが凍りつく。信じられないといった表情だ。
「誰? 知り合い?」
ルキが話しかけると、ラギウスは苦虫を噛み潰したような表情で頷く。
茂みから出てきた――声からすると男のようだが――、人はかぶっていたフードを外す。
あっ とルキとミリアは息をのんだ。
その男の髪は――
ラギウスと同じ色をしていた。
「え、まさか……」
ルキは驚きを隠せない。
「……ああ」
ラギウスは答える。
「俺の――兄さんだ」
確かに言われてみれば、顔だって似ている。美形――というかはっきり言ってカッコいい。
彼は朗らかな笑みをルキとミリアに向ける。
「初めまして。ラギウスの兄、エルロスと申します。ラグがなにかとお世話になってるのでは?」
「え、う、わ……」
「大丈夫ですよ! どちらかというと逆ですし」
挙動不審になっているルキを遮り、ミリアが言う。
「そうですか、それは良かった」
エルロスは笑みを絶やさない。
ラグとは正反対のタイプだな――とミリアは思う。どちらかと言えば彼女はこちらの方が好みだったりする。
「それで、もしよろしければ――」
エルロスはそこで、2人の表情をうかがうように言葉を切る。
ラギウスはムスッとした顔でそっぽを向いている。
「――ご一緒させていただいても、宜しいでしょうか?」
ルキとミリアはキョトンとエルロスを見た。彼の顔は笑顔のままだ。
ラギウスの方もうんざりしたようにエルロスを見る。
「……もちろん!」
ミリアがいう。ルキの方も、仲間が増えるなら大歓迎といった感じだ。
――かくて――
なぜかまた、ルキの仲間が増えたのであった。
今回は前回よりも短めにしました。
変な話ですがまだまだ続きますので、これからも皆さんに読んでいただければと思っております。