アクシデンタリー!? 成り行きでなった仲間!
もう途中から疲れちゃいました。
こじつけが多すぎますね;
すいません;;
「結構貯まったわね~♡ まさかあなたがあんなに勝つとは、正直思いもしなかったわ♡」
宿屋の部屋の中で、で三つ編みの少女が言う。
「偉くご機嫌のようだね。こっちは三十人もの男共と戦ってくたくただっつーのに」
言葉とは裏腹に、黒髪の少女が楽しそうに言う。
「ふふふ♡ だってぇ、金貨二袋も貯まるだなんて思ってなかったんだものぉ。
見直したわ、ルキ♡」
そう、二人はルキとミリア。あの街中で“腕相撲大会”なんぞを開いていた、あの二人である。
あの後ルキは、更に十人もの男たちと戦って、見事勝ちを収めたのだ。随分と無茶をやったものだが、それも自分の実力を考えた上でのことであった。現に今、ルキはほとんど体力を消耗していない。この人並み外れた力も、祖母であるリィナから受け継いだものだった。
「見直した、ねぇ? っつーことは今まであたしのこと随分悪く思ってたってことかなぁ?? ん?」
凄むルキに対して、ミリアは笑って返す。
「いやあねえ。ちょぉっとただの馬鹿力な人だな、とは思っ……うふふあっれぇ、どぉしたのルキ? 目が怖いわよ……ってごめんなさい嘘です冗談だからその構えた手をおろしてっ」
「……ったく。まったくもって残念だな。もうちょっと気づくのが遅かったらその小生意気な口、二度と聞けないようにしてやったのに」
心底残念そうに手をおろすルキ。一見仲が悪そうに見えなくもないが、これでも二人は心の底からお互いを信頼し合っていた。そう、旅の仲間であるだけではない。親友なのだ。
「相変わらず気が短いわねー。そんなだから“破壊者”だなんて呼ばれるのよ? もう少し女の子らしくしないと」
「うるっさいなぁ、そっちだって、その口の悪さ、いい加減直さないと、嫁の貰い手がつかないぞ?」
「余計なお世話よっ! 私は、白馬に乗った王子様じゃないとお嫁に行かないって、小さい頃に決めたのよ!」
彼女、ミリアにはこの年頃にありがちな夢見がちな所もあった。しかし、うって変わってルキの方は、
「バーカ。そんな非現実なこと起こるわけないだろ? 特にその性格じゃあね。
あたしは、普通に仕事して稼いで、お互いのことを理解しあえる人なら誰でもいいけど」
「――じゃあ、ブッサイクとかハゲとかでも?」
「――ぐっ、それは……」
言葉に詰まるルキ。現実的なことを言う彼女でも、理想というものはあるようだった。
「ほらね? やっぱり白馬の王子様が一番じゃない。
……って、もうこんな時間!?」
いわれて目を向けると、柱にかかった時計はもう、十一の刻を指していた。
「やだぁ、夜更かしは美容の大敵なのよ! それじゃオヤスミ!」
ミリアはそういうと自分のベッドへ入り、寝てしまった。
「もー、ミリアが寝たらすることないじゃん。――まあいっか、明日は出発だしあたしも寝よっと」
そういって、ふわぁとあくびをし、ルキも眠りについた。二人の枕辺には、月明かりが優しくおりていた。
*
チチチッチチチチチチチッ
小鳥の声で目が覚めた。時計に目をやると、丁度朝ごはんの時刻くらいだ。
背伸びをし、ルキは食堂のある1階へおりていった。
「お。おはよールキ! よく眠れた?」
テーブルには、もうモーニングセットを2人前ほどたいらげたミリアの姿があった。
「あんたねぇ、よく朝っぱらからそんなに食べれるねぇ」
ルキは呆れるやら感心するやらで席に着き、おばちゃんにサンドイッチを注文した。彼女はそこまで大食いではないのだ。
「ふっふっふ~。朝にちゃあんとエネルギーをチャージしておかないともたないじゃないの」
「とかいって、昼も夜もたくさん食べるんだから……。結局大食いなだけでしょ?」
「大食いじゃないわ。育ち盛りなだけよ」
口を動かしながらも、なおも食べる手を休めないミリア。そんな彼女のテーブルには、もうモーニングセットの皿が4枚ほど積まれていた。
「育ちざかりったって……
――おお! おいしそぉ~~~!」
ルキのテーブルに、出来立てのサンドイッチがおかれた。ハムとレタスの具がこぼれ出るほど詰まってる。
「この宿屋の名物だよ! 名付けて、マルロイ・サンドイッチ! たくさん食べてってね!」
おばちゃんはそういって不器用なウインクをした。
「は~い! ん〜! 美味し~っ! この下でとろけそうなハムと、甘みのあるシャキシャキレタスが絶妙だよ!」
二人は美味しい朝食を食べ終わると、宿屋を後にした。
街を出て北へ行くこと数時間、お昼の時刻になったぐらいに、二人はドゥリオの森に着いた。ここは、綺麗な湖や川が多いことで有名だ。
「おおー。ここがあの、ドゥリオの森ね! 心なしか、空気も美味しいわ!」
「自然が多いところ……いいね。昔よく遊んでたココモル森みたい!」
「あ、確かに。 でもあそことはまた違った感じよね~」
森の中に入って少し歩くと、すぐそこにはもう綺麗な川が流れていた。川の中を泳ぐ魚も、キラキラと陽を受けて光っている。
「ピクニックには丁度良さそうなところだわ。でも、もう少し奥に入ってみましょうか。どうせ抜けなくちゃならない所だし」
さらに進むとまた、大きめの湖があった。周りが木に囲まれていて、お話の中に出てきそう……。ミリアはそう思った。
――突然――
ひゅっ
『!?』
空気をさくような音が聞こえてきた。木の向こう側だ。覗いてみるとそこは少し開けたようになっていて、野宿の跡がある。
そんな情景が見て取れた時、ミリアがクイクイとルキの服の裾を引っぱった。
(ちょっと、あれ!)
小声で言うミリアの指す方に目をやると――
――人が居た。
年は10代後半から20歳くらい。背はすらりと高く、引き締まった体をしたかなりの美青年だ。どうやら剣の稽古をしているらしかった。
しかし、2人をもっと驚かせたのは、その髪だった。
男にしては長めの髪は、一言では表し難い、なんとも神秘的な銀色をしていた。その髪を後ろでまとめているのだが、それは陽の光を受けて神々しく輝いていたのだ。
また瞳も、髪と同じように銀色をしており、美しいとしか言いようがなかった。
2人は思わず息をついた。するとその男もこちらに気付いたらしく、顔を向けて言った。
「何の用だ。そこで何をしている」
2人はびくうっと飛び上がると、恐る恐るでていった。
男はその瞳でこちらをじっと見た。
「き、気を悪くしたならごめんなさいっ。そこを通りかかったら丁度その剣の音が聞こえて……それで覗いてみただけなんですっ」
ミリアは頭を下げて言った。男はなおもこちらを見ていたが、そのうち目をそらした。
「あ、あの……」
ルキは男に話しかけてみた。
「その銀髪、とても綺麗ですね! みとれちゃいました、あたし」
男はやはり目をそらしたまま言った。
「俺はあまり好きじゃないがな」
「え……えっと。あなたも旅をしているんですか? どこに?」
「別に特に行くあてはない。そんなこと聞いてどうする?」
ルキは言葉に詰まってしまった。彼女はあまり話術は得意ではないのだ。その後を引き継ぐようにミリアが答えた。
「えっと、とりあえずそこのルデス・シティーまでいってみようかな、と!
ど、どうです? 一緒に行きません?」
男は驚いたように2人を見た。そしてやがてふっと笑った。
「俺なんかと一緒に行ってどうする? ……別に構わんがな」
予想外の展開に2人はしばらく硬直してしまった。そんな2人の反応を楽しむように男は続けた。むろん冗談だったのであろう。
「で、仲間になるんなら自己紹介をせにゃならんぞ?」
「あなたの名前は?」
「人に名前を聞くときには……だろ?」
あ、そうか。とルキは自分の名前、そしてミリアの名前を教えた。すると男はまた、驚いたように2人を見た。まさか本当に名乗るとは考えていなかったのだ。しかし言われた以上は自分も名乗らなくてはならない。
「…………ラギウスだ」
そんなこんなで、3人は一緒に旅をすることになってしまったのだった。
三人称、むずかしいですね;




