〜出会い1〜
私達の出会いは、ナオキ16才、私(マイ子)14才。普通の中学生なら、まず出会うことはないだろう。偶然にも、私の家は、ナオキの通う高校の近くにあったため、出会うことが出来たのかもしれない。
私は中学までは、バスで通っていた。ナオキも、その日はバスで通って来ていた。方向の違うバスが擦れ違う日に、会える時だった。初めは、チラッと見る程度だった。何回か擦れ違うたびに、ダンダンとニコッとほんの少しだけ出来るようになっていた。声をかけるのは、いつもナオキの方からだった。
「今帰り?」
「塾行ってんの?何処まで?」
「部活は何やっての?」
「高校は何処行くの?」
色々聞かれたが…私は擦れ違う人に、まだ名前も知らない人と気軽に喋れる訳もなくただ頷くか、クビを振るかの答えしか出来なかった。
イイなぁ〜って思うけれど、中学生の私には日々を過ごすだけで、精一杯だ。好きとか感じている時間はなかった。イヤ…今思えばきっと感じていた。だけど、中学生の私が高校生の男の子を好きになったって…
高校生が中学生を好きになるわけがないと、感じたから、気付かないフりをした。
高校受験を間近に控えたある日…
「オレの高校来るよね?」
私は何も答えなかった。何故なら、当り前に言うイイ方が好きではなかった。それに私の気持ちまで、見透かされたようなイイ方がとてもイヤだった。私が当然のようにナオキの通う高校に来ると見透かすイイ方がイヤだった。
そして…私は中学を卒業した。高校はナオキと同じトコロだ。
色々理由はあるけど…ナオキがいると言うだけで安易に選んだ訳ではなかった。
見透かされたりしたけど…安易な理由かもしれない。もしかしたらナオキは…
そんな考えはあったかもしれない。