短編13
「ねえ、愛って何なのかな……?」
「よりによって俺に聞く!?」
「だって彼氏でしょ」
「彼氏に愛を聞くな!!」
「え、私の事愛してないの?」
別れてやろうかこいつ。
「いや、それ以前にお前は俺を愛してないのか不安だ」
……。
…………。
ゴホンゴホン。
「モチロンアイシテルワダーリン」
「……すげー別れたいって思ったの俺だけ!?俺だけなのか!?」
「酷い男」
「お前に言われたくないわ!」
……うん、まあ、そうだろうなぁ。
「だってさぁ、不安になんない?」
「何に?」
「普段私は好きって言い合うじゃない?」
「……まあ、言うほど言い合ってはないけどな。それで?」
「それで私はあんたを好きって思う」
「おー」
「でも好きって思ってさ。その後に何を?って思うのよ」
「何を?」
「漠然とあんたを好きって言うけど、理由が見つからない」
「理由?」
「そう。理由」
理由が分からないということは、怖い。
好きなのに、その気持ちが不安になる。
不安で不安でたまらなくなる。
今こうして彼と話してる時も不安。
「はあん。なるほどねー」
「……軽く考えないで」
私は本当に悩んでるのだ。
あなたのことで悩んでる。
だから、そんな風にながさないでほしい。
「ほれっ」
私がそんな事を思っていると、彼は急に私の体を抱きしめた。
可愛く言えばハグをした。
いや、可愛く言う必要性は全くないか。
「えっ!?」
思わず驚く私。
まさかハグられるとは思わなかった。
ちょっ!
えぇ!?
「好きだよ」
「へっ!?」
訳が分からない。
訳が分からない!
何!?
何々!?
どうした!?
彼氏どうした!?
「好きだよ」
「何!?急にどうしたの!?」
繰り返し言われても全く分からない。
それどころか動揺倍増である。
「これなら好きって分かるかなって思って。分かった?」
「……解決してないもん」
「うそぉ!」
「だって私が不安なんだもん。愛されるのが不安なんじゃなくて愛するのが不安なの」
「だからさ」
「へ!?」
我ながら驚いてばっかりである。
「今俺がこうやってハグっててさ。お前、嫌?」
「嫌だったら嫌がるわばーか」
ばーか。
「じゃあそれが答えなんじゃね?」
「何でそうなる」
「だってさ」
彼は続けて言う。
「好きとか、分かんねえなら考えんな。考えたって分かんねえよ。でも今お前が、少しでもその不安を忘れて安心出来るなら、それでよくないか?」
「……」
「安心出来る、それじゃ駄目か?」
「……」
「そういう恋愛のあり方もあんじゃねえのハニー」
彼は楽しそうに笑った。
しかしハニーって……。
「……ハニーって言うな恥ずかしい」
「お前が先にダーリンって言ったんだろうが」
……そうでした。
「ま、俺たちは俺たちなりの愛を探していこうや」
「臭い事言うな」
私は笑う彼を見て、彼でよかったと思った。
何がよかったのかは分からない。
分からないなら、これから考えよう。
彼と一緒に考えよう。
「さて、ハニー馬鹿な質問は終わりかい?」
「うるさいダーリン」
「ダーリン、中々悪くない響きだな」
「絶対呼ばないけど」
「えぇ!?」
「呼ばなーい」
彼は残念そうに言う。
私は笑った。
そうです
終わりがよわいことで有名な三木です。
また 今回も終わりがよわい
来年の目標はカッコよく終わらせる
これで決まり
この作品を読んでくださった方々に最大級の感謝を
そして良いお年を!