白か黒か、
一人がこういった「幸運をもたらす白い鳥を見た」
同じく一人がこういった「不運をもたらす黒い鳥を見た」
そしてこの世界は始まる
その二人の言葉で世界は白い世界と黒い世界に二分された
それはもうきれいさっぱりと
幸運をもたらす白い鳥を見た、とSNSにあがる
それはみるみる広まり大衆はそれを真実と叫んだ
時を同じくして不運をもたらす黒い鳥を見た、とSNSにあがる
それもまた真実と叫ぶ人たちが現れる
それは同じ鳥であった、違うのは見えていた色
幸運の兆しに喜ぶ者と不運の兆しを憂う者
自らの幸運を不運という者への嫌悪、不運を幸運という者への厭悪
相反するものを時を同じくして見たということが拡散し気づけば人は二分していた
だが、だれもその世界の間を越えようとはしない
越えてくるのは石と罵声ぐらいか
向こうはこちらの世界と反対のことを是としている
どちらか一方から発言があれば、それに対して必ず衝突が起こる
朝食はパンかご飯かの論議から始まり、例を挙げだしたらきりがないほどに
右か左か、勝ちか負けか、損か得か、上か下か、そして最後には正義か悪か
その世界に異を唱えれば敵とみなされるのだ
白に異を唱えれば黒なのか、黒に異を唱えれば白なのか
この世界はそんなにも明暗分かれた世界だろうか
その鳥は灰色の鳥だと気づいたとき
二分されていた世界は一つになり
新たな異を創り、そして世界は二分する




