表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
追放された魔女の私、奴隷の堕天使を買ったら無双し放題だった  作者: 紫煌 みこと
第2章 堕天使の復讐 女神へのざまぁ
11/14

第11話「ミラル、堕天使が指名手配される」



 ……暗黒に包まれた森の中を、2人の男女が移動している。


「おい、奴はいないのか?」

「……今のところ見当たりませんね」

「……チッ! どこへ行きやがった。早く見つけ出さねぇと、俺たちが処罰されるんだぞ!」

「レナス様も理不尽ですよね。自分で追放したのに、そいつを捜し出せだなんて」


 月明かりが眩しい夜だった。

 2人の背中から生えた真っ白な翼が、青白い光に照らされている。


「あまり俺たちも目立ちすぎるとまずいからな……。どう捜そうか」

「人間たちを利用してはどうですか? 彼らは、金への欲が意地汚い生物ですよ」

「……あぁ、奴らを使うか。懸賞金を用意すれば、こいつをさっさと吊るし上げてくれるだろう」


 そう言いながら男は、手に持っていた小さな紙を睨みつける。

 ――黒い翼を持つ銀髪の青年が、その紙には描かれていた。




「リタ、あいつらぶっ飛ばして!!」

「無論だ」


 閃光が迸る魔法陣が生まれ、雷が次々と野に落ちた。

 調子に乗っていた盗賊たちは、唖然とした表情をしながら逃げていく。


「……なんなんだあの堕天使はぁっ!」

「堕天使を従えている魔女も意味わかんねぇぞ!」

「……逃げろっ! 覚えていやがれクソアマ!」


 は? おいおいおい、最後に叫んだ奴、誰がクソアマだって?


「リタ、あいつだけ個人的にボコしてくれないかな」

「……やだ、めんどくさい」

「はああああ!?」


 リタは羽を広げながら肩をすくめ、自由自在に飛び回っている。

 ……はぁ。段々と命令違反が多くなってきたよ、この人……


 魔女であり、リタの主人である私――ミラルは、大袈裟にため息をついた。




 私とリタが旅を始めて、だいたい1ヶ月くらいが経った。

 今は少しずつ天の国の情報を集めて、リタが天界に戻れる方法を探っている最中だ。

 だがこれが難しいもので……。教会に聞いても、「天の国は神聖な領域ですので、人がかかわるのはおやめなさい」と言われるだけだった。

 地方の研究者も、天界には興味がない模様。なかなか有益な情報は掴めないのだった。


「リタぁ……もう一か月も旅しているけど、全然情報がないよぉ」

「俺に文句を言われても困る。情報集めはお前がしているんだろ」

「そうだけどさ……! あぁもー! みんな天の国のこと知らなすぎでしょー!」


 ……ん? ていうか天の国のこと、リタに聞けばよくね?


「……なんなの? 私は馬鹿なの!?」

「急にどうした」

「リタから天の国について聞けばよかったよ! ねぇ、あなたは知らないの? 天界に戻れる方法」

「……知らないな。下界と天の国を行き来する方法は、上位天使じょういてんししか知らないんだ」

「上位天使?」


 初めて聞く言葉だ。

 なんだろう、天使の中にも階級とかがあるのかな?


「上位天使の方が、神様からの信頼が厚い。次期の神の候補となっている有力者だからだ。俺のような下位天使は、神様に嫌われるとこうなるからな」

「……でも今まで、堕天使が降ってきた事例なんて聞いたことないわよ。みんなおとぎ話くらいでしか知らないんじゃないの」

「殆どの天使は、神様の前では猫を被る。俺だって逆らったんじゃない。過去に存在した堕天使なんて、今から何百年も前の話だ」


 リタが苦笑した。


「それに天使っていうのは、死んだら跡形も残らず消えてしまう存在だ。今までの堕天使は地上に堕ちた後、人間に見つかることもなく事故死していったのだろう。俺が死ななかったのは、ハンターに捕まったから……っていうのは、酷い皮肉だ」


 そういえば、リタだって悪いことをしたわけじゃないのよね……。なのに地上に堕とされて、こんな目に遭っている。きっと過去の堕天使たちも、神の理不尽で……


 だとすると、余計に神を許せない。どんな奴か知らないけど、会ったらタダじゃおかないですからね!


「だったらなおさらよ! そのウザい神様、私たちでボコボコにしましょ!?」

「……神様を倒すのか? ただ天界に戻るだけじゃなくて?」

「そんなの無理に決まってるでしょ、理不尽であなたを追放した神様なんて、やり返しても問題ないでしょ」

「……相手が神様となると、話が変わってくるな」


 いや、それはわかってるのよ、リタ。

 天使が神様を倒すとか、落ち着いて考えればぶっ飛んだ話。

 ……でもそれで言えば、私があの状況からロストにやり返すのだって、驚くような出来事だったのだから。リタも勇気を出すべきだ!



「じゃあまずは、天界に戻るためにその……上位天使って奴を探すべきかしら。都合よく地上に現れたりしたら――」

「……ミラル、あれを見てくれ」

「え?」


 リタが空を見つめ、体を硬直させている。

 私も同じように振り返ると――信じられない光景があった。


 空の上に浮かぶ雲から、大量の白いものが落ちてきていた。

 それは雨でも、雪でもない。

 紙だ。数えきれない紙がバラバラと、空から降り注いでいるのだ。


「なっ……なにあれ!? 紙!? なんで!?」

「……まさか、天の国から降ってきているのか……?」


 リタもゴクリと唾を呑み、唖然とした顔で落ちてくる紙を見ていた。

 紙が降ってくるとか……前代未聞の天変地異でも起きてるの?


 ――紙の一枚が、私の足元に落ちてくる。

 なんだろう、これ。何か書かれてる。

 私は拾い上げ、紙の表面を確認してみた。


「……」

「ミラル、それは何だ」

「……リタの……指名手配書?」

「……あ?」


 リタが、間の抜けた声を漏らした。


 だって、本当なのだ。

 私が手に取った紙には――黒い翼と銀髪を持ったリタが描かれ、金貨1000枚という懸賞金がかけられていた。


『この者を見つけて捕らえ、北の地にある荒廃した教会へ連れてくること』


 紙の下部には、そう書かれていた。



「……」

「……なにこれ。まさか、全部?」


 近くに落ちた他の紙も見てみたが、すべて同じ内容だった。


「どういうこと……!?」

「……これは、天の国が出した手配書だな」

「えっ!?」

「なぜか知らんが、俺を捕らえたいらしい」


 なんでなのよっ!? リタを追放したのは、天界側でしょ!?

 なぜ今になって、リタを捜しているのか――


「……というか、めちゃくちゃ手配書が落ちてったわよね。ここにいるとヤバくない?」

「……そうだな」

「誰か来る前に、とりあえず逃げましょ!?」


 最悪。リタを天の国に戻させるために旅をしていたのに、まさかのリタが指名手配されるという。これじゃあ天界に戻ることすら危険じゃない……!


 ひとまず、この場に留まっていれば、金に目が眩んだ連中が現れるかもしれない。

 今はリタを連れて、安全な場所に隠れることに専念しよう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ