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【完結】大天使と最強捜査官のクリスマス戦線 〜セレニスに集う者たち、愛か使命か〜  作者: 久茉莉himari


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17/19

【17】聖夜を待たず、恋は終わりを告げる。〜告白なき抱擁と、ロクシーと悪魔の涙〜

クリスマス一色に染まったリオとアーチボルトのヴィラ。


巨大なツリーは午後の柔らかな光と爽やかなそよ風を受け、

今夜の聖なる夜を静かに待っていた。


だが――そのメインリビングでは。


「大天使ミカエルが来た!? 戦闘に行く!?

能天使の命令とか……マジで詰んでるじゃん! ビール!」


「ハイッ!」


ルチアーノが冷蔵庫へダッシュし、

勢いよく取り出した瓶ビールをロクシーの前に差し出す。


それは、カナダのフライング・モンキーズ社が誇る――

『アルファ・フォニケーション(IBU値2500)』。

世界一苦いと言われる、伝説のビールだった。


ロクシーはラベルを一瞥すると、

ためらうことなく瓶を掲げ、クビッとあおる。


「ぷはっ……! 苦っっ!! でも最高!!」


彼女が喉を鳴らすたびに、

その場の空気がまるで戦場前夜のようにピリついていく。


そんな中、おずおずと声を上げたのはリオだった。


「えっと……アンジュちゃんは、どうしてるのかな……? なーんて……!」


ロクシーがギロッとリオを睨む。


「アンジュちゃんは“昼食後のお昼寝中”!

だから私があんたのヴィラにいるの! 分からない!?」


「ハイッ!」


リオは勢いよく返事をすると、

そのままそそくさとインフィニティプールへと逃げて行った。


ロクシーは深くため息をつくと、

瓶の残りを一気に飲み干して、テーブルにドンと置いた。


「……もう、こうなったら仕方ない!

おやつの時間に合わせる!!」


「お、おやつ……!!」


ルチアーノの喉がゴクリと鳴った。


その音が、まるで作戦開始の号砲のように響いた。


――セレニス・ベイ、聖なる午後。

ロクシー先生の“おやつ作戦”が、今、幕を開ける。





アンジュはお昼寝から目を覚ますと、

インフィニティプールでひと泳ぎし、シャワーを浴びた。


金色の髪が陽の光を受けてきらめく。

ドライヤーの風にそよぐその髪を整えていると、

部屋の扉がノックされ、ロクシーが顔を覗かせた。


「アンジュちゃん!

今夜のパーティーに備えて、ドレスを着て髪も結ってみない?

全体のバランスを見ておきたいの!」


アンジュが嬉しそうに笑う。


「ロクシーは流石だな! 常に用心深い! 賢明だ!

よし、“ドレスアップ”というのをしてみよう!」


ロクシーがほっと息を吐き、

メイクアップのプロを部屋に招き入れる。


数十分後――。


髪を結い上げ、真紅のシフォンのドレスを纏ったアンジュは、

まるで光そのもののように美しかった。


アクセサリーなど一切つけていないのに、

その存在自体が宝石のように輝いている。


ロクシーも、あまりの美貌に息を呑んだ。

そっと指をさす。


アンジュがその方向に視線をやると――

プールサイドのテーブルに、

正式なアフタヌーンティーが完璧に整えられていた。


アンジュがにっこりと笑う。


「美味しそうではないか! あれは今日のおやつか?

ロクシー、一緒に食べよう!」


その無垢な笑顔を見ていると――

なぜかロクシーは泣きそうになった。


胸の奥が温かく、痛いほどに締めつけられる。


「……うん、そうね。

でも私もドレスの支度をしてくるから、アンジュちゃんはお先にどうぞ!」


「そうか! ロクシーのドレス姿も楽しみだ!」


アンジュは無邪気にそう言って、

プールサイドへと歩いていった。


午後三時。


柔らかな陽光が水面に反射し、

アフタヌーンティーの銀食器がきらめく。


アンジュがサンドイッチを頬張りながら、紅茶を啜っていると――

背後から静かな声がした。


「アンジュさま。」


アンジュが振り向く。

そこには、純白のタキシードに身を包んだルシアンが立っていた。


青の瞳が大きく見開かれる。


「ルシアン! 素晴らしいぞ!

大天使に相応しい正装だ!」


ルシアンは無言で一礼すると、

ベルベットの小箱を二つ、テーブルに置いた。


そして静かに言った。


「失礼いたします。」


彼はアンジュの耳元に手を伸ばし、

ブルーダイヤモンドで縁取られた真珠のイヤリングをそっとつけた。

続けて、対になった真珠と十字架のネックレスを首にかける。


光が揺れ、アンジュの頬が淡く染まった。


「素晴らしく美しいな……!

ルシアン、これは何だ!?」


「私からの、クリスマスプレゼントでございます。」


「なんと!」


アンジュは驚いたあと、

嬉しそうににっこりと笑った。


「私からもお前にプレゼントがあるのだ!」


そう言って、小走りで部屋へと戻る。


やがて息を切らせて戻ってきたアンジュの手にも、

小さなベルベットの箱があった。


アンジュは白く細い指で、その蓋をゆっくりと開ける。


「私もジュエリーショップで、お前にクリスマスプレゼントを買っておいたのだ!」


それは――プラチナのロザリオ。


アンジュはそっと背伸びをして、

ルシアンの首にそれをかけてやる。


そして真正面からルシアンを見つめ、

美しい微笑を浮かべた。


「ルシアン、似合っておるぞ。

メリー・クリスマス!」


ルシアンの胸の奥で、

何かが静かに弾けた。


彼はそっと腕を伸ばし、

アンジュを抱き寄せる。


アンジュのイヤリングとネックレスが、

淡い光を弾いて揺れた。


「アンジュさま……どうかこれからもお幸せに。

私は――聖なる務めに参ります。」


「……ルシアン?」


アンジュがその名を呼び終えるよりも早く――

ルシアンの姿は、光と共に消え去った。


残されたのは、

真珠のように揺れる水面の輝きだけだった。

ここまでお読み下さり、ありがとうございます(^^)

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