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【完結】大天使と最強捜査官のクリスマス戦線 〜セレニスに集う者たち、愛か使命か〜  作者: 久茉莉himari


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11/19

【11】理性は凍り、恋は解ける。〜純白のマフラー、ホットワインとホラーの夜〜

「……アンジュさま」 


密やかな声に、アンジュが振り返った。

ふわふわの純白のケープが、冬の風を受けてやわらかく揺れる。


「おう! ルシアンではないか! お前も買い物か?」


「……ええ。

自分の感性でクリスマスの飾りを選ぼうと」


「それは良い心がけだ!」

アンジュがにっこりと笑う。

「それと、朝食をありがとう! 美味かったぞ!」


その瞬間――ふわりと粉雪が舞い落ちた。

真冬の青空のように澄み切ったアンジュのブルーの瞳が、きらりと輝く。


「ルシアン! 雪だ!

雪が降るのを見るのは、何百年ぶりだろう……! 神に感謝を!」


「――そうですね」


ルシアンは静かに答えると、そっと自分のマフラーを外し、アンジュの首に巻きつけた。

その仕草は、慎ましくもどこか神聖だった。


「ルシアン? 何をしておる?」


「あなた様は、今は人間の身。

風邪を引いてはなりません」


アンジュは一瞬目を丸くすると、微笑みを浮かべてケープを脱ぎ、背伸びをしてルシアンの肩に掛けた。


「これでおあいこだな! お前も風邪を引くな!」


「……はい」


――アンジュは知らない。

そのたった一言に、ルシアンのすべての想いが込められていることを。





集音マイクとビデオカメラを屋外テーブルに置き、

エッグノッグをグビグビと煽るルチアーノとロクシー。


「……はぁ……やられたわ……!」

ロクシーがため息まじりに呟く。

「まさかルシアンがあんなにロマンチックなことをするなんて……!!」


ルチアーノも目頭を押さえながら頷いた。

「ですよね……!! ロクシー先生!!

脚本では“甘いカフェオレを渡して、二人で雪景色を見る”だけの予定だったのに……!!

それに俺様の天気予報、完璧的中ッ!! ラブ❤️」


ロクシーは肩をすくめ、グラスをくるくる回す。

「……悔しいけど、あんたの天気予報のお陰ね……! だけどなぁ……」


「だけど、とは!?」

ルチアーノがピシッと背筋を伸ばす。


ロクシーが真剣な眼差しで、彼を見据えた。

「クリスマス・イブは明後日よ。

しかも――アンジュちゃんは完全に“無意識”じゃない?

恋とか全然考えてないの。

このまま二人きりにしても……これ以上、進展するかなあ?」


「ロクシー先生!!」

ルチアーノが立ち上がり、拳を握りしめた。


「そこです!! ロクシー先生の腕の見せどころ!!

どうかルシアンの初恋を……クリスマス・イブに成就させてくださいッ!!」


ロクシーがゆっくりと立ち上がり、夜空を見上げてニヤリと笑った。


「――任せなさい!」


テーブルの上の雪が、ふわりと舞い上がる。

セレニスに、再び“恋の演出家”が動き出す――。





ホットワインを手に、粉雪を眺めるナディアとベック。

イルミネーションの光が、ワイングラスの縁で小さく瞬く。


ベックが申し訳なさそうに言った。

「ウォーカー所長、もう少し早い時間に待ち合わせをすべきでしたね。

粉雪といえども、足元が滑りやすいですから」


――や・さ・し・い!!

私の馬鹿! なぜ長靴で来なかったの!?

ナディアは心の中で自分を叱りつけた。


「でも……クリスマスを感じられて、気分転換できましたわ」

「そうですか!」

ベックの笑顔が、イルミネーションよりも明るく光る。


「実は私も偽造紙幣の捜査で神経をすり減らしておりまして……。

警察側の代表として一人で参加しているので。

それで……お恥ずかしい話なんですが、昨夜はホラー映画を観て夜明かししてしまったんです」


ナディアの瞳がナイフのように鋭く光る。

「そんな夜もありますわ。……それで、どんな映画を?」


「ウォーカー所長はご存知ないかな〜。

“死霊館シリーズ”なんです」


――持ってる!!

特製アナベル人形を寝室に飾ってる!!

ナディアは叫びを、ワインと一緒にごくんと飲み込んだ。


「私も観たことがありますわ。

ベックさんの感想をお聞きしても?」


「ええ!」

ニコニコ顔で巨体を揺らしながら、ベックは熱く語り出す。


「まず、あのアナベル人形を集めている妊婦さんですが……明らかに他の二つの人形が小さくありませんか?

そこはサイズを揃えるべきかな〜と!」


――分かるーーー!!

アナベルの主張が激しすぎる問題!!


「それからアナベル人形が閉じ込められているガラスケースですが……。

あれ、何製なんですかね?

封印の意図は分かりますが、悪霊を閉じ込めるなら鉄のほうが良い気がして……」


――それな!!

しかも鍵が一個しかないのよ!!

娘が簡単に開けちゃうのよ……ッ!!


ナディアがそっとグラスを傾け、美しく微笑んだ。

「ベック刑事……とても興味深いお話をありがとうございます。

それで……ファーストネームでお呼びしてもよろしいかしら?

どうか私も“ナディア”とお呼びください」


ベックがボボボッと顔を真っ赤に染めた。

「は、はいっ! もちろんです! ナ、ナディア……!」


ナディアが柔らかく微笑む。

「ええ、ハロルド……。

それで、“死霊館”の感想……続きを聞かせてくださる?」


粉雪の舞う夜。

ホットワインと共に、ホラー映画の考察が二人を静かに包み込んでいった――。

ここまでお読み下さり、ありがとうございます(^^)

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