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【完結】大天使と最強捜査官のクリスマス戦線 〜セレニスに集う者たち、愛か使命か〜  作者: 久茉莉himari


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【10】サンタ刑事と大天使の恋は、理にかなわない

クリスマスマーケット中央のイルミネーションの灯りに、一人の女性が人々の視線を釘付けにしていた。


黒とゴールドを基調としたNYスタイルのラメワンピース。

肩には毛皮のコート、足元には12センチヒール。

耳元で輝くのは、大ぶりのダイヤのピアス。


――そう、ナディア・ウォーカー所長だ。


その洗練された美しさは、この庶民的なマーケットではあまりにも場違いで、

通りすがる人々が次々と足を止め、ざわめきが広がっていく。


そして、時計の針が18時を指した瞬間――

彼が現れた。


ハロルド・ベック刑事。


彼は行き交う市民たちに笑顔で声を掛けられ、

その一人ひとりに律儀に挨拶を返しながら、ナディアのもとへと歩み寄っていく。


その姿は――

真っ赤と深緑の太いボーダーが入った、クリスマスカラーのセーター。

胸元では金糸のサンタクロースの刺繍が、ライトに照らされてきらりと光っていた。


ナディアは思わず目を見開いた。


――素敵!!

私のサンタさんッ……!!

認めるわ……!

私、恋してる……!!


頬を紅潮させて見つめるナディアに、ベックはいつもの朗らかな笑顔で言った。


「ウォーカー所長、早かったですね!

これ、マシュマロ入りのココアです。身体を温めてください!」


「まあ……ご親切に。頂きますわ」


優雅にカップを受け取るその指先が、かすかに震えている。

熱いココアの湯気が頬をなでるたび、胸の高鳴りは抑えきれなくなっていく。


――ああ、これはただの化学反応ではない。

これが“恋”という現象なのね……!


ナディア・ウォーカー所長の理性は、

雪降る夜に、静かに溶けていった――。





一方そのころ――。

クリスマスマーケットの入り口には、二つの対照的な影があった。


ひとりは全身黒ずくめ、いつものように高級感と胡散臭さを両立させた男――地獄の王ルチアーノ。

そしてその隣に立つのは、ロクシー監修による“冬の紳士コーディネート”を完璧に着こなしたルシアンだった。


若葉色のセーターは、彼のヘイゼルグリーンの瞳をいっそう際立たせ、

デニムと真っ白なマフラーというシンプルな装いにも関わらず、

すれ違う人々が思わず振り返るほどの存在感を放っている。


ルチアーノが誇らしげに胸を張り、スッとクレジットカードを差し出した。


「ルシアン、ここからは別行動だ!

お前の感性でクリスマスの飾りを見つけろ!

俺様のブラックカードを貸してやる!」


「ありがとう、ルチアーノ。理解した。」


ルシアンは静かにカードを受け取ると、迷いのない足取りでマーケットの雑踏へと消えていった。


人々の間を抜けるたび、冬の灯りが彼の輪郭を柔らかく照らし出す。

澄んだ夜の空気の中、その姿はまるで――天使が人間の世界を歩いているようだった。


その背中を見送りながら、ルチアーノは拳を握りしめてガッツポーズを取る。


「よしっ!! これでルシアンの恋愛センスも完璧だ!!

ロクシー先生の脚本、第3弾も大成功間違いなしだな! ラブ❤️」


――セレニスの夜、恋と策謀と奇跡がまたひとつ動き出す。





そして、クリスマスマーケットの南側では――

ロクシーとアンジュが、クリスマスの雰囲気を満喫しながら食べ歩きに勤しんでいた。


「うまっ! このティラミスマサラダ……神の味だな❤️」


「アンジュちゃん、ほんと甘党だよね〜!

でもそんなにカロリー高いの食べても太らないんだもん、うらやましい〜!」


そう言いつつ、ロクシーも二つ目のイチゴチョコレート味チュロスを頬張る。


すると、ロクシーが何気なく言った。


「アンジュちゃん! あっちに“ふわとろ生クリーム掛けチョコレートデニッシュ”があるから買ってくるね!

行列できてるから、クリスマスの小物でも見てて! これ、私のカード!

好きなだけお買い物してて!」


アンジュが感激して目を見開く。


「なんと!!

ロクシーは本当にやさしい人間だな!

よし! 私がクリスマスに相応しい小物を選ぼう!」


ロクシーは笑顔で手を振りながら、雑踏の中へと消えていった――。





ロクシーが人混みの中へ消えたあと、

アンジュはふわふわの白いケープを揺らしながら、

ドーナツを片手に露店のガラス細工を眺めていた。


雪が光を反射して、アンジュの金髪が柔らかく輝く。

その姿を――少し離れた場所から、ひとりの男が見つめていた。


ルシアン。


胸の奥が、静かにざわめいた。


「……アンジュさま……」

誰にも聞こえないほどの声で、思わずその名を呼ぶ。


そして次の瞬間、

その唇から、抑えきれない本音が零れ落ちた。


「なんと……美しい……」


白い息が夜空に溶ける。

その瞳には、もう“任務”も“脚本”も存在しなかった。

ただ、初めて見る恋の光景だけがあった。





そして――

集音マイクとビデオカメラを手に、ロクシーとルチアーノは物陰で息を潜めていた。


「ロクシー先生っ!! こ、これは……大成功ではありませんか!?」


ロクシーはフフフと余裕の笑みを浮かべる。


「まあね。

でも、ここからが本番よ。

ルシアン――ちゃんと次の展開、頭に叩き込んでるでしょうね?」


「勿論でありますッ!!」


ルチアーノは感極まってマイクを落としそうになりながら、

レンズ越しに二人を見つめた。


ルシアンとアンジュ。

ゆっくりと近づく距離。


ルチアーノの瞳はハート型になり、

ロクシーは鋭い眼差しでその瞬間を逃さなかった――。

ここまでお読み下さり、ありがとうございます(^^)

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