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理性は沈黙し、愛が奏でる。〜天と地のクリスマス・ソナタ〜  作者: 久茉莉himari


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【1】わしをアーチーと呼ぶな!〜聖夜のヴィラと兄貴愛〜

クリスマスのセレニス州へ神の命により降り立った大天使ガブリエル――アンジュ。


同行するのは完璧な段取りを整えた女子友ロクシー、そしてその背後で暗躍する地獄の王ルチアーノ。


一方、S.A.G.E.は偽造紙幣事件の捜査で大混乱。

イーサンの“国家レベルのノア保護”。

美とIQと、秘密と新たな恋が激突するセレニスのクリスマスはすでに騒がしい。


そんな中、ルシアンはアンジュへ"心"を贈るため、練習していた。


だが、そこに大天使ミカエル降臨――。

聖なる夜、尊い願いすら思い通りにはならない。


消えたルシアンの思いが奏でられた時、運命が変わる――。

笑って泣けるクリスマスの物語。

あなたの大切な人は誰ですか?

12月クリスマスが近い、セレニス空港。


荷物を受け取ったリオ・レヴァンとアーチボルト・ヘンダーソンが正面玄関を出た途端、待っていたようにスーツ姿の男が駆け寄ってきた。


リオも顔なじみのスポンサーの広報担当だ。


「レヴァン様、お車のご用意は整っております!」


男は満面の笑みでキーを差し出す。その視線の先に――


真紅のランボルギーニ・アヴェンタドールSVJが、燦然と停まっていた。





セレニス・ベイの海沿いの高速道路。


太陽を浴び、ランボルギーニは水面をすべるように疾走する。


ハンドルを握るリオはご機嫌だった。


「ねえねえ、アーチー!

これなら兄貴も気に入ってくれるよね!? ね!?」


「わしをアーチーと呼ぶな!」


助手席のアーチボルトは即座に一喝し、スマホを突きつける。


「リオ、お前なあ……。野球帽にサングラス、白Tにハーフパンツで『変装』したつもりか!?

もうSNSは“大学アメフト界のスター、リオ・レヴァン、セレニス・ベイに降臨”で埋まっとるぞ!」


リオはあっけらかんと笑った。


「おっかしいなあ。

普通、帽子とサングラス掛ければバレないよね?

それに白Tとハーフパンツにスニーカーだよ? 何で分かるんだろ?」


「だからーっ!!」


アーチボルトは頭を抱える。


「親バカみたいで言いたくはないが……お前は超絶イケメンなんだよ!

しかも鍛え抜かれた肉体!

周りが気づかんわけがなかろう!

空港でもスマホに囲まれとっただろ!?」


「ふぅーん……。

でもさ、兄貴がファーストクラス嫌がったのって何で?

あの兄貴がエコノミーで一足先に行くなんて、可哀想だよ!ねえ、アーチー!」


「だからー!!」


アーチボルトは頭を抱え直す。


「ノアはイーサンに一秒でも早く会いたくて、一番早い便を選んだんじゃ!

合理的なんだ、ただそれだけ!」


「なるほど〜。つまり美しすぎる兄貴はIQ178の天才で、しかも合理的……流石だなあ♡

そう言えばさ、今回アーチーが高級ヴィラを借りてくれたじゃん?

兄貴も絶対クリスマス・パーティーに来てくれるよね!

兄貴の正装楽しみだなあ〜!あ!この前兄貴がさあ――」


リオの「兄貴自慢」が止まらない。


その声を聞き流しながら、アーチボルトは髭を満足げに撫でていた。


そう。前回のバカンスが徒労に終わったのは、自分の節約癖のせい――。


イレイナに「アンタの節約癖のせい」とズバッと突きつけられたのも、地味にプライドを傷つけていた。


だからこそ今回は――散財すると決めた。


まずはロクシーに連絡し、セレニス州に入っても大丈夫か確認した。


前回の一件で、自分たちは図らずも「犯罪者」扱いになっていたからだ。


調査料一万ドルは痛かったが、ロクシーの答えは明快だった。


「限りなく似た犯罪者が自滅したから大丈夫」


アーチボルトは心の中で勝ち誇った。


――わしって賢い!

セレニス州は悪魔も天使も魔女も、イレイナ以外は力を発揮できない。

つまり世界一安全な州ということじゃ!


フフフとほくそ笑んだアーチボルト。


だが、到着したヴィラを見て腰を抜かしかけた。


ランボルギーニを海沿いに停めた瞬間、支配人とスタッフが一斉に深々とお辞儀をする。


目の前に広がるのは、白亜の大邸宅。


波音と風に揺れる真っ白なカーテン。


夕陽を映して輝くインフィニティプール。


「……こ、これ全部……」


思わず声を詰まらせるアーチボルトに、支配人は涼しい顔で答えた。


「はい。ヴィラ一棟、すべてヘンダーソン様のご用意でございます」


「……ふ、ふむ。まあ……これくらい、わしにとっては朝飯前じゃ」


リオはというと、青い海を背に両腕を広げ、飛び跳ねていた。


「すっげーーー!!アーチー!!

兄貴とここで写真撮ったら、一生モンだよ!!」


「わしをアーチーと呼ぶな!」


「だってさ、このプール!このカバナ!映えすぎるっ!

兄貴だって、ここに泊まりたいって言うかもよ!」


「ノアが泊まるわけなかろう!

イーサンに会いたくて、わざわざエコノミーの飛行機に飛び乗ったのを忘れたか!?」


「えー……でもさ!兄貴だって俺とここで――」


「黙れリオ!

わしはワインセラーとUMA探索用の望遠鏡を確認せねばならん!」


「頑張って!俺は兄貴にビデオ電話掛ける」


海風に揺れるヤシの木の下、リオとアーチボルトの掛け合いがヴィラの庭に響き渡った。

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