第9話 トラップ鑑定でお宝ゲット⁈
毎週金曜で更新の予定です。少しゆっくりにはなりますが、よろしくお願いします!
未熟な点も多く、文章や設定に至らないところがあるかもしれませんが、温かい目で見守っていただけると幸いです。
《鑑定士スキルがレベル4に上がりました》
《新スキル:トラップ発動予知》
(……まただ。耳じゃなく、頭の奥に響いてる……?)
リオは小さく首を傾げながら、慎重に隠し部屋の中へと足を踏み入れた。
闇に沈む空間の奥で、ひときわ強く光を放つ物がある。
「宝箱……!」
思わず声が漏れた。けれど、その瞬間――鋭い警告の感覚が脳裏を突き抜けた。
(待って……! このまま進めば――床が崩れる⁈)
脳裏に鮮明な光景が流れ込む。
――正面から進めば床板が沈み、頭上から矢の雨が降り注ぎ、最後には足元が崩れて奈落へ真っ逆さま。
背後から回ろうとしても、床一面に仕掛けられた魔法陣が炎を噴き上げ、壁の隙間からは毒針や鋭い回転刃が待ち受けていた。
つまり――辺り一面が死地。
宝箱は幾重もの罠に守られ、普通の探索者なら決して辿り着けない。
(……なぜか“感じる”んだよね。安全な進み方が……)
リオは息をのんで、すぐさま声を張った。
「ダリルさん、止まってください!
……このままだと危険です。
進めば床が崩れる!」
「……何?」
ダリルは訝しげに目を細め、しゃがみ込んで床を観察する。
やがて、低くうなるように漏らした。
「……確かに……よく見ると、そこら中の床に罠があるな……!」
目の前の光景に、ダリルの胸中に得体の知れないざわつきが広がる。
(こいつ……本当にただの新人なのか?)
二人は互いに言葉少なに、息を殺しながらゆっくりと歩き始めていた。
気付けば、いつの間にかリオが先に立ち、慎重に通路を進んでいる。
「ダリルさん、そこの床に気を付けてください。」
「えっ⁈ ……すまねぇ」
リオの導きに従い、一つひとつの罠をかわしながら進む。
(新人の鑑定士が……こんな複雑な罠を察知できるか⁈)
やがて――張り詰めた空気の先に、光が待っていた。
「……着いた」
ついに、宝箱の前へと辿り着いたのだ。
「……開けます」
リオは両手をかけ、ゆっくりと蓋を押し上げた。
軋む音が響き、淡い光が部屋いっぱいに広がる。
その中には――豪奢な意匠を施された短剣と、竜族の紋章のような宝石を嵌め込んだペンダントが納められていた。
「すごい……! この短剣、料理にも使えそうですね!」
「いや、それは絶対に料理に使うもんじゃないぞ……たぶん……いや、絶対違うな」
ダリルは呆れつつも、視線は鋭さを失わない。
(あれは……伝説のフェンリルの牙で出来た“フェンリルソード”……?
まさか、こんな場所でドロップするはずがないが……)
自然と視線はペンダントへ移る。
中央の宝石は、まるで生きた竜の眼光のように鈍く光を放っていた。
「すごく綺麗ですね……。
お守りみたいです」
リオは無邪気に拾い上げ、ためらうことなく首にかけてしまった。
「――リオっ!? 馬鹿!
呪いがあるかもしれんだろ!
確かにお前は鑑定士だが……だからといって、安易に身につけるな!」
ダリルの声音は低く険しい。
その眉間には深い影が落ちていた。
(……このペンダント……僕を呼んでいる……?)
胸元の宝石を見つめながら、リオは小さく微笑む。
ダリルの不安げな視線に気づく様子もなく。
――こうしてリオは、初めてのダンジョンで、ダリルの心配をよそに、様々な〈罠〉を見抜き、秘宝を手にし、新しいスキルを覚えたのだった。




