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第22話 交錯する運命、見えた真実

【金曜更新】

本日もご愛読ありがとうございます!


もし少しでも楽しんでいただけましたら、いいねボタンでの応援をよろしくお願いします!


今後の展開にご期待ください!

ダンジョン探索を終え、夕闇に包まれたギルドに戻ってきたリオ、ミナ、ルーナ、ダリルの四人。


入口をくぐると、カウンターの奥でエミリアが優しく微笑み、出迎えてくれた。


「おかえりなさい、皆さん。ダンジョン探索の報告をお願いできますか?」


「はい! 無事に地下五階のボスも倒してきました!」


ミナが胸を張って答えると、リオも笑顔でうなずいた。


だが、そのとき――


ギルドの奥の扉がゆっくりと開き、バルドとリズが姿を現した。


リズはどこか元気を失っており、前にダラリと下げた両手はタオルでそっと覆われていた。

その下には、手首を縛る縄が隠されているのが、かすかにわかる。


「バルドさん……それに……あれはリズさん?」


リオが小さくつぶやく。

視線を向けると、リズの表情は強張り、俯いたままだ。


ピコン――。


すれ違いざま、“宿命の鏡”によってレベルアップした《命運スキル》が静かに発動した。


……脳裏にいくつもの映像が焼き付く。


――リズが震える手で、苦しそうにバルドへ毒を盛る場面。

――街の中心にある古びた教会の地下室。椅子に縛られた年配の女性の影。

――薄暗い礼拝堂の奥、隠し扉の先に続く地下の回廊。


(あれは……リズさんのお母さん⁈ ――教会に監禁されている⁈)


思わず足が止まる。

リオの瞳がリズを射抜く。


リズは怯えたように目を伏せている。


バルドはゆっくりと首を横に振り、ため息を漏らしながら報告書をエミリアへ手渡した。


「お兄ちゃん、どうかしたの?」


ミナが不安げに声をかける。


「……ううん。大丈夫。ちょっと、気になることがあって……」


震えそうになる声を抑え、リオは小さく首を振る。


(これが本当なら……リズさんも……お母さんも――絶対に助けなきゃダメだ!)


心の奥底で、決意が鋭く芽吹く。


一度深く息を吸い、吐く。

その目に迷いはなかった。


「……みなさんに、どうしてもお話ししたいことがあります」


リオは静かに、けれどはっきりと声を上げた。


「できれば……どこか個室で、お時間をいただけませんか?」


場の空気が一瞬で張り詰める。

息を呑むような沈黙の中、互いに目を合わせる気配が広がる――。


✦✧✦✧✦


ギルドの長室には、深い沈黙が落ちる――。


重苦しい空気の中、リオが少し戸惑いながらも口を開いた。


「……さっきリズさんとすれ違ったとき、急に……頭の中に強いイメージが浮かんだんです。

リズさんのお母さんが、町外れの教会の地下室に……監禁されているような気がして……」


一同の視線がリオに注がれ、驚きと緊張が交じった表情が広がる。


それまで下を向き、誰とも目を合わせようとしなかったリズが――

その言葉にハッとしたように顔を上げ、驚愕の色を浮かべてリオを見つめた。


深く腕を組み、低い声で言うバルド。


「リオ……その感覚は、いつもの“やけに当たる勘”か?」


「そうです。……ですが、最近はこの感覚に何度も助けられてきていて――だから……たぶん、今回も間違いないと思います」


しばしの沈黙の後、エミリアが優しくうなずく。


「リオくんの勘は、これまで何度も私たちを救ってくれました。私は信じます」


「オレもだ。ダンジョン探索のときも、あれは運や偶然じゃ説明できない。ただ……」


ダリルが、ふと何かを思い出したように、苦い声を絞り出す。


「町外れの教会って……噂じゃ、異端教《深紅の使徒》の根城だって話だ。下手に手を出せば、命を落とすことになるぞ!」


「異端教《深紅の使徒》だと⁈」


バルドの顔が険しくなる。


「帝国と裏で繋がっていると噂される危険な団体だぞ! お前たちだけで行くなんて無茶だ!」


重い空気が部屋を支配する。

息をのむ中、ミナがぽつりと呟いた。


「でも……教会って、みんながお祈りする場所だよね? 本当にそんな怖い人たちがいるの……?」


ルーナも「キュルル……」と心細げに鳴いた。


「はあ……」


バルドが疲れたようにため息を吐き、ダリルも渋い顔をした。


しかし、リオの目は真剣だった。

迷いを振り払うように、強い声で告げる。


「監禁されている場所も、救出の方法も……頭の中で、全部見えたんです!

きっと……みんなで力を合わせれば、救えるはずです。なぜか、そう確信できるんです」


一瞬、バルドとダリルが顔を見合わせる。

「……本当に大丈夫か?」と目で問いかけるように。


だが、エミリアはまっすぐリオを見つめ、静かに微笑んだ。


「……やっぱり、リオ君です。誰にでも一生懸命ですね。」


その言葉に、部屋の空気が少しだけ和らぐ。


小さく震える声を、必死に押し出すようにリズが口を開いた。


「バルドさん……ダリルさん……みなさん……本当に、すみませんでした……」


俯いたまま、握った拳がかすかに震えている。

言葉を続けようとするたび、喉が痛むように詰まる。


「……実は……ずっと……教団に監視されているんです。

“誰かに助けを求めたら──その瞬間に母親の命はない”って……。

毎日、どこからか見張られているはずなんです……」


リズの声は、途切れ途切れになっていた。


「だから……従うしか……なかったんです……。

私が逆らったら……お母さんが……」


胸の奥に押し殺していた恐怖が溢れ出す――


そして、リズはゆっくり顔を上げた。

その瞳は涙でゆらぎながらも、覚悟だけは固く光っている。


「……もし……お母さんを助けられるなら……私……犯罪奴隷になってもかまいません……」


その言葉は、あまりにも重く、残酷だった。


バルドもダリルも、息を呑む。


一瞬、空気が凍りついた。


「やめてください!」


リオが椅子を鳴らして立ち上がり、食い気味に叫んだ。


「そんなこと、絶対にさせません!

リズさんが犠牲になるなんて……そんなやり方で救いたくない!」


リズは目を見開き、視線を彷徨わせたまま何も言えない。


エミリアが静かに立ち上がり、リズの隣へそっと歩み寄る。


「リズさん……あなたがどれほど恐ろしかったか、痛いほどわかるわ。

けれどね――私たちは、あなたを犠牲にして助けるなんて選ばない」


その瞳には、揺るぎない優しさと決意が宿っていた。


「リオくんだけじゃない。ここにいる全員が同じ気持ちよ。

一緒に……お母さんを取り戻しましょう?」


熟練冒険者の顔に戻ったダリルが、口元を引き締めて言った。


「オレの情報網を総動員する。

教会の中の様子も探っておくから、少しだけ時間をくれ」


リズは顔を上げ、涙をぬぐってから言った。


「……みなさん、ありがとうございます。私も、()()()()()()()()()()があります。少しは、役に立つといいけど……」


そのとき、ミナがそっとリオの手を取る。


「お兄ちゃん、手を出して」


言われるままに手を差し出すと、ルーナが「キュルッ」と鳴いて、ちょこんと手を添える。

ミナはリズの手も取って、みんなの手を重ね合わせた。


「お母さん救出大作戦……みんなでがんばろう――!」


その無邪気な笑顔に、リズの瞳が大きく揺れる。


唇を震わせ、肩を落とし――


「……ありがとう……」


かすかな声が、静まり返った部屋に落ちた。


確かにそれは、仲間としての絆が結ばれた瞬間だった。


こうして、リズの母を救うための作戦が――静かに、だが力強く動き始めた。


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