第20話 ギルドに刻む、兄妹の足跡
今週は、2話の配信です。
未熟な点も多く、文章や設定に至らないところがあるかもしれませんが、温かい目で見守っていただけると幸いです。
薬草採取を終え、三人と一匹はギルドへ戻った。
扉を開けると、人々のざわめきと温かな灯りが迎えてくれる。
カウンターで書類を整理していたエミリアが、顔を上げて微笑んだ。
「おかえりなさい。……採取依頼はどうだった?」
「いっぱい採れましたっ!」
ミナが胸を張る。
ルーナも小さく鳴き、尻尾をふわりと揺らした。
「じゃあ……見ててね」
ミナはそっと両手を組み、目を閉じる。
「《マジックボックス・オープン》」
淡い光がふわりと広がり、光の中から薬草、野ウサギ、イノシシ、小鳥が次々と形を持って現れ、きれいに並んでいく。
「……全部……あなたたちが?」
「うん。ルーナがたくさん捕まえてくれたの。それで……気がついたら、収納魔法もできてて……」
ミナは少しだけ不安そうに微笑む。
リオはその様子を、複雑な気持ちのまま見つめていた。
(……僕は、薬草を一束集めるのに一週間もかかったのに……
……それに、収納魔法なんて、冒険者でも滅多に扱えないのに)
エミリアは周囲を素早く見回し、誰も気づいていないのを確認して小さく息をついた。
「ミナちゃん。《マジックボックス》は……人前では使わないほうがいいわ。
すごすぎる力は、ときに人を呼び寄せるから」
ミナは真剣な顔で、こくりと頷く。
「さて――成果の評価だけれど」
エミリアは並んだ薬草と獲物を見て、静かに目を丸くした。
「……本来なら、Gランクの子が数週間かけてようやく達成できる成果よ。
だから――ミナちゃんもルーナちゃんも、Fランクに昇格できるわ。
これでダンジョン探索試験も受けられるわね」
「ほんとっ⁈ やったぁ!!」
ミナとルーナは手を取り合い、嬉しそうに回る。
周囲の冒険者たちも、その光景に優しい笑みを向けていた。
その中で、リオは小さく肩を落とす。
「……僕がFランクになるまで一年かかったのに……
二人は一日で……」
ぽつりと漏れた呟きを、エミリアがそっと受け止める。
「リオくん。
あなたが今まで積み重ねてきた時間は、決して無駄なんかじゃないわ。
それはちゃんと――二人を支える力になっているもの」
「……そうだよ、お兄ちゃん!」
ミナが振り返り、まっすぐに言葉を重ねる。
「これからはね……私とルーナがお兄ちゃんを引っ張る番!
一緒に、もっと強くなろう!」
「キュルルル!!」
ルーナも胸を張り、翼をぱたぱた揺らした。
その屈託のない笑顔に、リオは思わず吹き出し、そして小さく笑った。
「……うん。でも、僕だって負けないから。
二人に置いていかれないように――僕ももっと強くなるよ」
「うんっ!」
「キュルルルッ!」
三人と一匹の笑い声が、木造の天井へとあたたかく響いた。
こうして、新しい冒険の一歩が刻まれる。
少しずつ、でも確かに――力を積み重ねながら。
この物語は、まだ始まったばかりだった。




