第17話 小さな命の誕生
今週も2話掲載です。
文章や設定に至らないところがあるかもしれませんが、温かい目で見守っていただけると幸いです。
――ピシッ、ピシッ!
静かな朝の空気の中、タマゴの殻に細かなひびが広がっていく。
その音はどこか神聖で、胸の奥に小さな緊張が満ちていくようだった。
リオとミナは息を呑み、目を見開いたまま、その瞬間を見守っていた。
「……生まれるの……?」
ミナが小さくつぶやく。
リオは頷き、震える指でそっとミナの手を握った。
パキッ――!
今度ははっきりと殻が割れる音が響き、タマゴの上部がゆっくりと持ち上がった。
ひびの隙間から、小さな鼻先がのぞく。
透き通るような白銀の鱗に覆われたその鼻先は、わずかに淡い青い光を帯びていた。
その光は、どこか懐かしい温かさを湛えているようにも見えた。
殻が次々に割れ、やがて小さな生き物が体を起こし、ゆっくりと這い出してきた。
「……ドラゴン……だ……」
リオが思わず声を漏らす。
まだ生まれたばかりのその体は、ふわふわと柔らかな産毛に覆われ、つぶらな瞳がきらきらと揺れている。
その瞳もまた、淡い青色にきらめいていた。
「……かわいい……!」
ミナが目を輝かせて、そっと手を伸ばす。
その声に、小さなドラゴンは耳をぴくりと動かすと、よちよちと歩み寄り、ミナの指先に鼻先を触れさせた。
「わぁ……私のこと、わかるのかな……?」
そっと頭を撫でると、ドラゴンはうれしそうに小さく鳴き、瞳を細めた。
「きっと……わかるんだよ」
リオが微笑む。
「このタマゴ、ずっとミナの魔力を感じていたんだ。だから……生まれる前から、もう心がつながっていたんだと思う」
「……そっか……」
ミナは小さく呟き、もう一度そっとドラゴンの頭を撫でた。
ドラゴンはそのまま小さな翼をばたつかせ、ミナの腕を器用によじ登り、ちょこんと肩の上に落ち着いた。
「お兄ちゃん、見て! この子、私の肩の上が好きみたい!」
ミナがくすぐったそうに笑うと、ドラゴンも満足げに喉を鳴らした。
その瞳は、まるで何かを語りかけるように優しく揺れていた。
「うん。もうすっかり仲良しだね」
リオは心の底から安堵し、その小さな命に目を細めた。
そのとき、ドラゴンがミナの頬をぺろりと舐める。
「きゃ……!」
ミナが驚きながらも楽しそうに笑った。
その笑顔を見て、リオの胸にも穏やかな光が満ちていく。
「この子も一緒に……冒険できるかな⁈」
ミナが肩の上の小さな命を見つめながら言った。
その声には、不安も痛みも混じっていなかった。
「うん。三人で……たくさん思い出を作ろう」
リオは力強く頷く。
窓の外から差し込む朝日が、ミナとドラゴン、そしてリオを優しく包んだ。
タマゴのときから紡がれていた、ひとつの絆――小さな命の誕生に、部屋の中は温かな幸福感で満たされていた。




