2話『あの世か 夢か 現実か』
名前は京極 大和
27歳、独身。
好きな食べ物は美味いもの
嫌いな食べ物は特になし。強いて言うなら食わず嫌い。
趣味は漫画、アニメ、ゲーム。
アウトドアも行けるが基本インドア派。
ヘビーとまではいかない喫煙者で酒は弱いが嫌いではない。
仕事が終わってバイクで帰っている時に横から信号無視のトラックに強烈なタックルを食らって…
死んだ?いやでもこれはァ…夢か?
もしかするとここが天国?それとも地獄?
…しかしこの姿、SAN値チェックもんだぞ
湖の水面に映る自身の変わり果てた姿を見つめながら頬や手の甲を思いっきりつねってみる。
痛くない。て事はやっぱ夢?
今度は手で水をすくい上げて顔を洗ったり飲んでみる。
湖の水は冷たくちゃんと濡れる感覚もあり、喉も多少潤った気がした。
地面の草をむしり、匂いを嗅ぐと微かだが青臭さを感じることも出来る。
不意に吹く風に若干の肌寒さを感じる。
色々試して見て分かったことは自身の体をどれだけつねっても、地面に思いっきり叩きつけても全くの痛みは感じない。
痛覚が無い。
だがそれ以外は多少鈍い感覚もあるが感じ取ることは出来る。
つまりーーー
わからんッ!
何コレ?今どういう状況?
マジでわからないんだけど。
月も赤いのと青いの二つあって…うん、ファンタスティックな光景だ。
…とりあえず、これからどうしよう
俺の体もだが…ここが何処なのか、俺以外の人はいるのか、全く何も分からない。
謎現象が起きていること以外分からない。
…異世界転生系だとステータスって思い浮かべるか口に出せば出てくるけど
ーーー 魂と世界の定着を確認 ーーー
ーーー ステータス開示を承認 ーーー
あ、この声
その奇妙な声がそんなことを言った瞬間、彼の目にはRPGの様な簡素なステータス画面が映っていた。
ホログラム映像の様になっているそれに手を伸ばしてみるが触れる事は出来ずに突き抜ける。
おぉ、すげぇ
ホントに出たよステータス。
ただまぁ、なんと言うか…質素というか簡素というか…シンプルだな。
つーかあの声はなんだ?
頭に直接響くみたいに聞こえるし、気持ち悪ぃな
…にしても俺のステータス?空白なんだが、何故?
大和の目に映ったそのステータスは彼が言ったように名前、種族、性別、年齢、属性、称号、権能、異能、スキル、九つの項目は全てが空白になっていた。
ーーー ステータスの更新を開始 ーーー
奇妙な声がそう告げると目の前にあるステータス画面はバグでも起きたかのように全面砂嵐になり、徐々に落ち着いていくといくつかの項目が埋まっていた。
…急に何かなったと思ったら…
色々記入?されたけどよ…それでもよく分からんぞ…
新しくなったステータスを見てそんなことを思っていた時、背後から茂みを掻き分ける音を聞いて反射的に振り向いた。
大和が振り向いたと同時に、四人の男女が茂みの奥から姿を現す。
彼らは大和の異形と言える姿を見て硬直し、
大和は彼らのコスプレの様な格好を見て硬直した。
何あの格好…
みんな剣持ってるし…異世界(仮)だとしてテンプレ的に考えると冒険者ってやつ?
バランス悪くない?
フードの女は弓持ってるみたいだけども、後衛一人って。
魔法使いとか居ないのか?
そもそもこの世界に魔法とか魔力ってーーー
それは一瞬の出来事だった。
目の前にいた四人組の赤髪の少女が大和の目と鼻の先で炎を纏った剣を手にしていた。
考える間もなく、少女の剣は大和の首を正確に捉え薙ぎ払う。
首元に鋭い痛みと鈍器で殴られた衝撃に耐える事が出来ずに湖へ頭から落ちた。
ーーーは?
大和の視界は既に薄暗い水中。
ようやく思考が動き始めた事で慌てて湖から上半身を出して四人組に目を向ける。
斬りかかってきた少女を含め後ろのフードの女以外は剣を手に取って構えていた。
「ーーー!?」
「ーーー!ーーー!!」
「ーーー!ーーー、」
「…」
男二人は赤髪の少女に何かを言っているようだが、大和の耳にはその声が物凄く籠ったように聞こえ何を言っているのか理解できない。
ただそんな事よりも、大和は首元に走る鋭く鈍い痛みに耐えかねーーー
いッッッてぇぇえええ!
大声で叫んだ。