47 話
2章で出てきたメインキャラの【魔導書の店長×お姉さん系ヴァンパイア(シェーンさん)】の番外編です 前話でお久しぶりに再登場したので調子に乗って載せてみることにしました!
明日はこのが最も賑やかになる祭りがある。この日のために農家や商業組合は日程を調整しあい大判振るまいをする。
ひとびとの会話の中には、笑顔とともにこの言葉が添えられている。『フォルツナの祭り』が今年もやってきた、と....。昔は魔國で開催されていたが、今となっては仮装したりなんやかんやで楽しいというわけで人族にも人気が出てきている。
まだ秋だと言うのに、通りを吹き抜ける北風からは冬の気配を感じる。コートを突き抜ける冷気はまるで生き物のように全身を駆け抜け体温を奪っていく。
くしゅん、とくしゃみが2つ。買い出しに来ていた2人組がほぼ同時にし、なんだか気まずさを感じながらお互いに顔を見合せ笑いあった。
「どうぞ。」
これまたどういう訳かこの2人組は狙ってる訳でも無さそうなのにハンカチを渡し合う。
「ありがとう。」
『いいえこちらこそ。』
そう言えばと、2人は何かに気付いたようにいそいそと今来た道を戻って行った。
「薄手のカジュアルなマフラーじゃまだ冷えるわね。」
「そうだね。あっごめんついでにポストに便箋を出しに行こうと思っていたんだった。ちょっと取ってくるから悪いけど待ってて。」
コクりと頷き了承した彼女の口もとには笑顔とそしてほんのり尖った牙が白く光る。
少しだけと赤いラベルの【栄養ドリンク】を飲み喉を潤した。ふぅやはり新鮮な血は身体に良い。朝から少し乾燥肌気味なのが気になっていたが、憂いが晴れてようで思いの外スッキリする。
「ごめん待たせた。」
彼が内ポケットに便箋をしまう時にチラリと宛名が見えてしまった。魔術時キティへと書いてある。キティということは私の知らない女性当てである。心なしかつさむっとした感情が沸き起こりモヤモヤしてきてしまう。
これを解消するには彼を問い詰めることになりそうで、独りよがりで罪悪感を感じるので今聞くのはやめようと思う。でも…。1度頭をかすめてしまえば、どうしても気になってしまうのが吸血鬼の性で。
最近流行りの恋愛小説の壁DOOWOONそしてそれからの顎くいっとやらを試してみたい。だが嫉妬で震えるこの爪先は喉を間違って切り裂いてしまいそうでやはりこの考えはボツにしなければ!
「シェーンさん。いつものお姉さんムーヴがほどけて何やら難しい表情ですね。おれで良ければ話をお聞きしますよ。」
「お前は私のことが好きなんだよな。」
「もちろんですとも。」
「どうせ魔導書の次にって思ってるんだろう。」
「な、そんなこと!」
「いいさ。分かってる。でも...。」
ちょっと今は顔を覗きこまないでくれと言い出す始末である。私は一体どうしてしまったんだ。本当は魔導士キティへの嫉妬だと言うのに!年はとりたくないものだ。素直にただ聞くだけで良いのに!
じゃあそのまま前を向いていて下さいねと耳元でささやかれ、私は妙に間延びした返事をしてしまう。
そっと後ろからハグをされた。北風の冷たさが恋しくなるほど、急激な体温上昇を感じる。
どうしよう。もう少しこのままでいさせてくれって言いたい。でもそんな可愛いことを言うキャラではないということくらい自分でもわかる。
「シェーン(仮)は明日楽しみにしてる出店とかありますか?」
「うーん。そうだな私は君が楽しむ姿をみるのが好きだからな。なにしても楽しめると思うよ。」
くっと背中で何か込み上げてきたものを噛み締める音が聴こえた気がした。
「今年はですね。例年に比べてより珍しいワインが入ってくると知人からお墨付きをもらえてまして。おしゃれな感じのテイスティングBARの屋台が来るそうなんです。」
ほうほう、それはそれはと年甲斐もなくとてつもなく明日が楽しみになってきてしまった。
一般的にはヴァンパイアは祭りなどの人混みが苦手とされている。それでも...私が楽しそうにしている姿を背後の男は知っているのだ。無理に楽しんでいるわけでもけっしてないことも。
「あの。すまない。1口だけ良いだろうか。」
はいはい。家に帰ってからですからねとなぜかおあずけを食らうことになってしまった。
気付けばあまりのんびりしてるとマーケットが閉まってしまう時刻がせまっていた。
読んで下さりありがとうございます♪ 凄い短めですが少しでも楽しんで頂けましたら作者冥利につきます。




