15話
アップ間違えた作者。すみませんでしたm(__)m
コイツ最悪だと私は思った。今から遺跡巡りに行くんだぞ? なんでそんなに魔導書を持っているんだ?
「ここは私に任せて下さい。(キリッ)」
飛んで来た小さなモンスターを魔導書でタコ殴りをしていた。
私は今コイツを人生最後の相棒に選んだのを激しく後悔していた。まあ落ちついてくれ。これから詳しく話すから少し待って欲しい。
事のはったんは2人で魔國最大のパピーの塔に行くことから始まった。
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そしてその10分後、おれたちは落とし罠ならぬ打ち上げ閃光罠に2人ともかかってしまっていた。
念のためにみんなにもお知らせしておこうか。急激なめまいと爆発効果により上空へ打ち上げられた冒険者は飛ぶ手段もしくは相当な防御力か超再生能力が無ければ生き残れない。
さらに・・・と目をこらしてみると、あのシェーンさんが涙目である。いつにもなく似合わないその姿につい動揺してしまった。
あ、吸血鬼って翼出して飛べなかったっけ? うーん。サキュバスと混同してしまっていたのかもしれない。おれシェーンさんに会うまでは吸血鬼と親しくなかったからなあ。
「シェーンさんって飛べましたっけ? ノオオオオオ。目が・・・。目があああああ!」
「私はもうダメ・・・かもしれない。地面に打ち付けられる瞬間に君だけでもどうにか・・・。」
「それだと、シェーンさんがけがしてしまいますよね? そんなのはダメです。」
「だ、大丈夫だ。私なら瀕死になっても再生するから。」
徐々に視力が戻りつつあったおれはおれの数メートル先に落ちていく彼女を見た。顔をしかめ耳に手をあて大変苦しそうにみえた。彼女はこんなに苦しんでいるのにおれを助けようとしてくれるのか。
そんな無理はさせたくない。きっと彼女は人間のおれよりも感覚器官が鋭敏でよりダメージを受けたのかもしれない。
だとするなら。おれはまた彼女の足を引っ張ってしまうことになる。夜行馬車で移動中に野党に出くわしたときに助けてくれたのは誰だった? 血を対価にされるものの魔國でいつも親切にしてくれているのは?
シェーンさん彼女だ。きっとおれの中で彼女の存在は少しずつ大きくなっていたのかもしれない。
きっとこの場を切り抜けられるのは超一流の魔術師か歴戦の戦士だけの可能性はあった。本来ならおれたちはここで死ぬ運命だったのかもしれない。
そうはさせない。おれはそっと魔導書を開き呪文を唱え始めた。心臓の鼓動が指先まで震わせる。
<<第一級魔術師の術 無重力>> 風に吹き消されるような微かな声だが精確に魔術を唱えた。
空気が少し冷え始め、耳鳴りがする。大量の魔力の消費を感じ脱力感に襲われる。超一流の魔術師の魔獣の封じられた魔術がほころび始めた。(おれの保存魔法解除である)青い光のくさりがおれとシェーンさんを包み込んだ。
シェーンさんがおれをかばおうと地面に激突する瞬間今まで感じていた重力に引っ張られる加速が一気にやんだ。
まるで時間が止まったように、次の瞬間ポサリと2人は落ちた。
カタカタ震えているシェーンさんが突然ふきだした。
「ハハッ。なんだ今のは・・・。君はそんな上級魔法も使えたのか。わ、悪い・・・。少しこのままでいさせてくれないだろうか。」
「ええ。構わないですよ。」
そう言っておれの上着を下に敷いき、彼女を寝らせた。今朝パラパラと雨が降っていたが、地面はほとんど乾いていたのが救いだ。
「ううっ・・・。」
シェーンさんのうめき声が微かに響いた。涙がわずかにこぼれ落ちていく。
どうしてこうなった!? ここはそれほど危険な観光地ではなかったはずだ。
本当に申し訳ない。危ない目に合わせて。吸血鬼にとっては最悪の事故だったはずだ。
おれはそっとシェーンさんの頭をなで、肩をさすった。まだ小刻みに震えている。
「もう大丈夫ですよ。おれたちは助かりました。怪我も幸いなさそうですし。もう心配することないですよ。」
出来るだけ穏やかな声で励ましてあげた。おれの心からの感謝の言葉だ。
いつも本当に助かってるんだ。おれの体調とか(血のためもあるかもしれない)気付かってくれているし、優しい言葉で話しかけてくれる。
それって当たり前ではないと人間関係で傷付いたことがある人なら分かるはずだ。
「スースー…」
穏やかな寝息が聞こえてきた。
額の汗をぬぐっていたが、だんだん収まってきたようだ。なんとかおれも気が落ち着いて来たので、ふと思った。
シェーンさんの寝顔可愛い。尊すぎるって。
いかんいかん。自省するのだおれ。こんな弱っているときに色ボケしているのはなんか吸血鬼にとって失礼だろうが!
目をつぶって頭を左右にふった。ふう。邪念よされ!?
いつの間にか目を覚ましてたのだろうか。
「何をしているんですか?」
シェーンさんの意識が戻ったのだろうか。こちらを見上げていた。ちなみに誰得かは分からないが、地面が硬く冷たくおれの上着1枚では心もとなかったので膝まくらを提供している。
さてそんな膝元からの可愛いらしい視線を受け止めてしまった。
ヤバい。どこから見られていたのだろうか。先ほどまで熟睡してたでしょ!?あなた?
スウっと頬を冷や汗が走りぬけた。
おれここは男としてビシっと決めたい所だと思う。いや今後の旅の行方はこのひと言にかかっているのではないだろうか?
「いえ。少し気持ちを切り替えていたところです。まだ旅が始まった序盤で私の切り札を使ってしまったことで心が弱くなってしまってました。」
無難な答えではなかろうか。
「す、すまない。私も過信をしていた。君は私が守ると言っていたのにね。全く穴があったら入りたいよ。」
あ、なんかこれで良かったみたいである。おれグッジョブ♪
「少し旅路を急ぎ過ぎたな。明日から温泉街のプランナインでゆっくりしていこう。どうだろうか。」
「いいですね! 賛成です。」
おれたちの冒険はまずは休憩から。なるほど。大変参考になるな。何故かおれたちらしいなと思って笑い出してしまい、つられてシェーンさんも笑う。
2人の軽やかな笑い声が青空へ吸い込まれていった。
読んでくれてありがとう♪ ダメダメな作者ですみません。




