ライバル県擬人化バトル 県境(ホライゾン)伝説 ブッコミの九州 『境目(ピリオド)の向こう側へ…』
【プロローグ】
『県境』というものがある。
県と県を区切るために、山、川、湖、海峡などの自然地形によって『こちらの県とあちらの県』を区別するもの。
それが県境である。
県境は『道路上の石碑や路面標識』という具体的な形を持って現れる。
しかし、実際には県境というものは時にあやふやで、『ほぼ東京』や『ほぼ埼玉』という言葉もこの日本には存在する。
また、『境界未定地域』と呼ばれる危険な緩衝地帯すら、この日本には存在するのだ。……人はいるけど。
はたして、「ここから先は他の県ですよ?」などと為政者側の都合で一方的に区切られて、納得する『県』などいるのだろうか?
否!断じて否だ!
「県の境目は、県が決める!!『為政者』がイチイチ指図すんじゃねぇ!!」
これは、県と県との間のあやふやな境目『県境』で繰り広げられる“擬人化されたライバル県”、
すなわち『県漢』同士による熱き戦いの物語である……
【海峡伝説】
夜の埠頭。
県漢は、暗い海をにらんで静かに佇んでいた。
県漢の名は『福岡』。
地区『九州』の実質的リーダー……
それは、エリア九州に属するすべての県漢達(熊本、佐賀、長崎、大分、宮崎、鹿児島、沖縄)が、その内心では認めているところだ。
この県漢には敵わない。
経済的にも、人口的にも、観光的にも。
それに。
屋台ラーメン大好き、炙り明太子大好き、モツ鍋大好き、フ○ヤ大好き、森○博子大好き、スピ○ツ大好き。
……それが、九州の県漢達の偽らざる本心である。
しかし、九州の県漢達の熱き魂は。
『他人に黙って従う』ということに耐えられない。
それは、九州の県漢達の血の中に流れる『業』だ。
『呪い』と言い換えてもいい。
決して『九州』は一枚岩ではない。
……だから、
『福岡』は独り、暗い海をにらんでいる。
そして、県漢は鉄のナックルが嵌められた右拳を、己の左手のひらに叩きつけた。ぱんっ!という軽い音とともに、夜気に冷えたナックルが県漢の左の手のひらに赤い痕を残した。
(……いてぇ)
声に出さずに県漢は独りごちた。
自分で自分の手のひらを叩いたら、痛いに決まっている。
(『コレ』と同じことを『やる』つもりなのか?)
県漢は、相変わらずなにも言わずに、黙ったまま己の左手のひらを見た。
右手に嵌めた二〇加煎餅型のナックルが残した左手のひらの赤い痕を抱きしめるように、県漢は自分の左手首を右手のひらの中に包み込んだ。
県漢は独り、暗い海をにらんでいる。
関門海峡の向こう側、『中国地方』を。
豊後水道の向こう側、『四国』を。
……そして、遥か彼方。
日本の中心部に蠢く『首都圏近畿圏中京圏』を。
(『こんなこと』してる場合じゃないんだぜ。なぁ『おまえら』よぅ……)
県漢は、冷たくなった自分の両の手のひらに白い息をはきかけた。しかし、いくら息をはきかけても、冷たい夜気は県漢の手指の皮膚から容赦なく熱を奪い去っていった。
修羅の国…『九州』。
その内側では、境を接する県同士による様々な『争い』が絶えず続いている。
『交通網(アクセス)戦争』、『農産物(アグリ)戦争』、『温泉地(レジャー)戦争』、『銘菓争奪(スーベニア)戦争』。
そして、『人口流出流入(ポピュレーション)戦争』。
……いま、
日本の西の果て、地区『九州』の覇権を巡って、県漢達の仁義なき戦いが始まろうとしていた。
続く…
、かどうかは未定…
プロローグと銘打っておりますが、
別の小説を書いてる時にたまたま思いついたネタなので、
続きを書くかどうかは、分かりません。
たこす先生にリスペクトが伝わればいいな…
たこす先生の【都道府県娘バトル選手権~各都道府県を女の子に擬人化させて戦わせてみた・実況編~】(Nコード:N6645ID)も、もし未読なら読んでみてください(^^)