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【コミックス1巻発売中!】ど底辺令嬢に憑依した800年前の悪女はひっそり青春を楽しんでいる。  作者: ゆいレギナ
8章 決死のインターン

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第68話 悪女、洗濯物をひっくり返す。


 王宮メイドのインターン生ができることなんて、ただの雑用だけである。


 掃除に洗濯、調理の下準備を数日頃にローテーションしていく。

 メイド長のありがたいお話によれば、二人一組で各仕事をこなしていくことになるらしい。


 なので当然、ずーっとお姉ちゃんにひっついていた私の相手は決まっている。


「わーい、お姉ちゃんとペアだ。嬉しいなぁ♡」

「あんまりだわ……。わたくし、ここから新しい人生を始めようかと思ったのに……」


 正直、この場所にお姉ちゃんがいることは思っていなかった。

 だから。私はじゃぶじゃぶとお洗濯をしながら聞いてみる。


「どういう心境の変化?」

「やっぱりわたくし、勉強苦手なんだもの。だけど、どのみち誰かと結婚するしか生きる手立てがないのよ。だから、王宮で働きながら出入りする有力貴族とお近づきになろうかと……」


 二学期に入ってから、シシリーの部屋にこっそり勉強を教わりに来ていたお姉ちゃんである。たしかに、私の見立てでも今から学問の道に進むのは難しいだろうと思う。卒業試験も危ういんじゃないかな。だから……ネリアの腹黒い算段も崖っぷちの手段なのだろう。


「このまま、爪をかじってトラバスタ家が没落していくなんて嫌だもの」


 学のないネリアでは自分が領主になるのは絶望的。ならばイイ跡取り男を捕まえるために狩りに出るというのは……それはそれでたくましいのかもしれない。


 ただ結婚して、相手の財力とステータスに乗らないと夢が叶えられないってのが辛いね。

 しかし、なんか既視感があるような?


(ノーラが私の結婚相手を探しているのと似ているね)

(ほっといて)


 それはそうと、今や私もメイドさんである。

 おしとやかに、シシリーの長い髪を二つのみつあみにしてみた。白と黒のメイド服に、そんな緑の三つ編みがとてもよく似合っている。元から清楚な顔つきだからね。より献身さが引き立って、男性ウケをするのではなかろうか。


 大ダライに映るそんなシシリーの顔。もとい、シシリー本人とは少しだけ違う表情。

 あれ……なんか、誰かに似ているような?


「ぼんやりしてどうしたのよ?」

「あ、別になんでもないかな」


 隣で同じ作業をしているネリアの動きはちゃぷちゃぷと控えめだ。

 そんなでは汚れが落ちないだろうと私はじゃぶじゃぶしていると、お姉ちゃんがボソリと呟いた。


「でも、あんたも似たようなこと考えているとは思わなかった」

「えっ?」

「てっきり、もう家を捨てるつもりなんじゃないかと思っていたから」


 そこのところ、実際シシリーはどうなんだろう。

 心の中のシシリーは、何も答えない。

 だけど、ネリアはどこか嬉しそうにしていて。


 またすれ違っちゃうのかな。でもそんなことにはならないと思うんだよね。


(だってシシリーは将来マーク君と結婚して王妃様になるんだから、生家の名前が残らないはずがないし!)

(ノーラっ⁉)


 やっぱり私の計画には隙がない。完璧だね。

 だからこの姉妹の将来のためにも……。


「よし、お洗濯もこんな感じかな!」


 すすぎ終えた水をジャーッと捨てて、私は押し付けるように絞ってから桶を持つ。


「ちょっとシシリー、待ちなさいよ!」


 相変わらず口調が偉そうだけど、『わたくしの分も持ちなさい』と言わないだけだいぶマシになったのだろう。だからこそ「お姉ちゃんおそーい!」と振り返りながら意地悪く笑ってみせた時だった。


「あら?」


 私は石かなにかに躓いて転んでしまう。当然だが、桶の中の洗濯物はひっくり返っていた。


 ……当然、真っ白になったはずのシーツが土で汚れているよね。うん。


「何してるの! 怪我はない⁉」

「あー、少し膝を擦りむいたっぽいけど、大したことは……」


 どうせ魔法ですぐに治せるし。

 だけど覗き込んできたネリアに「あーあ、バカねぇ」と目視されてしまうから。これはすぐに治したら怪しまれてしまうかも。治療魔術は学生には禁止されている高位魔術だからね。運動会の時に人前でやらかしているけど……一応ね。


 まぁ、こんなにシシリーの心配をするお姉ちゃんの顔が見られたなら良しとしようか。

 実際、心の中のシシリーも満更じゃないみたいだし。


 その中で、唯一の問題は――


「それじゃあお姉ちゃん、汚れちゃった洗濯物を洗い直すの、一緒に手伝ってくれる?」

「え、嫌よ。なんでわたくしが」


 いや、ここは断るんだ? と思わないでもないけれど。

 残念ながら、今のシシリーには稀代の悪女が憑依している。


「でも私たちペアだから、連帯責任になるんじゃないの?」


 その事実をにっこにっこと告げると、お姉ちゃんが頭を抱えた。


「も~~、だからあなたはわたくしがいないとダメなんだから~~っ‼」

「あはは~、お姉ちゃんは頼りになるな~」


 そして、私たちは洗い場に戻るべく立ち上がる。

 私が転んだ場所でひっそり光っていた魔法陣は、しっかりなりを潜めていた。



つい先日、短期連載していた7万字くらいの作品が完結しました。

『アイドル聖女の幸せなウソつき新婚生活~義妹に婚約者をとられた腹いせにアイドル始めたら、実は熱狂的ファンだった氷炎の貴公子と契約結婚することになりました~』https://ncode.syosetu.com/n0145ih/

(↓にタイトルピンク文字がリンクになっています)


600人以上から評価を受けまして、☆4.7(最高5.0)の高評価を受けております。

ぜひ週末の暇つぶしに読んでみてください!


また、肝心な本作の書籍化&コミックスの作業もゆっくりながら進行しております。

今年のうちにはお披露目できるかな(たぶん)、という感じですので、お待ちくださいませ。もう早くいろいろと公開したい!!


あと、私の他シリーズ「3分聖女の幸せぐーたら生活」小説2巻も7/3に発売です!

(こちらも↓に公式サイトへのリンクを貼ってあります)

コミカライズも7/6からコミックアース・スターにて連載開始。

挿絵(By みてみん)


合わせてよろしくお願いします!



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