9.彼女を手に入れる為に…〜side王太子リード〜
私は、その後すぐにルカにも手伝ってもらいその少女について調べた。
少女の名前は【マリリン】。
ストラム公爵家のご令嬢であった。
ストラム公爵といえば、王太子の私にも媚を売ることない貴族の一人だ。
ストラム公爵家は、マリリンの事をとても可愛がっている様であった。
確かに、まだ少女でありながらプラチナブロンドヘアに、薄いパープルのくりっとした大きな瞳に、スーっときれいに伸びた鼻と思わずキスしたくなるような唇………
きっと、マリリンは成長するにつれて更に美しさを増す事だろう…
ストラム公爵家が、マリリンを可愛がっているのも分かる。
それに…恐らくだがマリリンを私を含めた令息達の目にあまり触れさせたくないとも思っている事だろう…
実際、先日のお茶会でストラム公爵家の挨拶時にマリリンはいなかった。
だが、確かに他の令息達の目にマリリンの美しい姿や花の様な笑顔を見られるのは、いい気はしないな…
他の令息に、マリリンの事を気に入られては困るからだ。
私は、早速行動に出た。
ストラム公爵とマリリンの兄であるキースを王宮へと呼んだのだ。
「わざわざ、お呼び立てしてご足労頂き感謝する。」
私は、王宮へと訪れたのストラム公爵とキースへ言った。
「とんでもございません。して、本日は私共にどのようなご要件があるのでしょう?」
急に、王宮に呼び出されたのでストラム公爵は呼び出され理由が全くわからなく不思議に思い尋ねてきた。
「あぁ…それなのだが、ストラム公爵家のご令嬢・マリリンの事なのだが…実は…私はマリリン嬢を将来王太子妃に迎えたいと考えているのだ。」
私は、まずはマリリンの身内からかためていこうと考えストラム公爵へと単刀直入に言った。
「「はい……?」」
私の言ったことに、よほど驚いたのかストラム公爵とキースは同時に声を出した。
「聞こえなかったかな?もう一度言おう。私は、そなたの娘のマリリン嬢を将来王太子妃に迎えたいと思っているのだ。今度は聞こえたかな?」
私は、満面の笑みで二人へ言った。
「あの…話がよく見えないのですが…何故、急に我が家のマリリンを王太子妃に迎えたいなどと…殿下はマリリンとはお会いになった事がないはずですが…」
ストラム公爵は、気まずそうに笑顔を引きつらせながら尋ねてきた。
「あぁ…ストラム公爵が娘が可愛い故に…私や他の令息達にもなるべく晒さない様にしていたからか…?だが…私は偶然にもマリリン嬢に会っているのだよ…」
私は、ニヤリと笑いながら二人に言った。
二人は、私の事にギクリとしたように驚いていた。
やはり…ストラム公爵はマリリンをあまり晒させたくなかったのだな…
「そして、私はマリリン嬢に一目惚れをしてしまったのだよ…それが分かった瞬間から、王太子妃はマリリン嬢以外は考えられなくなってしまってね……どうだろう…これで私の気持ちを理解してもらえたかな?」
私は、少し圧をかけるような笑顔でストラム公爵へと言った。
「恐れながら…殿下のお気持ちはよく分かりましたが、急にそう仰られましてもこちらとしても『はい、そうですか』とは言いかねるところです…それに…娘のマリリンは、まだ七歳にございます。急に婚約となり王太子妃になり王妃教育を受けるなどあまりにも酷でございます。」
ストラム公爵は、なかなか一筋縄ではいかない返答してきたのだった。
それに…ストラム公爵の言い分も一理あると思った。
まだ、七歳のマリリンに急に婚約や王太子妃になるなど幼い少女には酷な事だろう…
私も、マリリンが辛そうにしてる姿は見たくないからな…
そして…私は少し考えて口を開いた。
「確かに、ストラム公爵の言う事も一理あるな…それなら…マリリン嬢が十五歳になる歳にこちらから正式に婚約の話を持ちかけるというのはどうかな?十五歳であれば婚約し、王太子妃として王妃教育も受けることができるだろう?」
私は、本当であればすぐにでもマリリンとの婚約を結び私のものとしたいが、百歩譲ってその様な条件を提案した。
「………十五歳でございますか…では…その時までに殿下のお気持ちが変わらずマリリンとの婚約を望んでおられましたらその時は、正式に王宮からの通達をして下さい。お受け致しますので
…」
ストラム公爵は、渋い表情で応えた。
「そうか?ありがとう。そう言ってもらえると助かるよ…では…その様な条件で決定としよう。」
私は、ニコリと微笑み言った。
きっと、ストラム公爵は私がその時までには心境が変わっているとでもたかをくくっているのだろう…
甘いな…私は、今まで何にも執着しなかったのに初めて自分のものにしたいと心から強く思ったのだ。
「はい…畏まりました…」
ストラム公爵は、渋々返事をした。
「あっ…そうだ…それとこれは直ぐにでもやって欲しいことなのだが、マリリンの見た目は成長するにつれて、更に美しくなるだろ…だが…その様な姿を晒すと変な虫がついては困るだろう?だから…マリリンの見た目がなるべくバレない様にして欲しいのだ…地味に見えるようにな…やって貰えるだろうか?」
私は、有無を言わさない様な笑顔でストラム公爵に言った。
私の、笑顔で察したのかストラム公爵は小さなため息をつき口を開いた。
「畏まりました…殿下の仰せのままに…」
ストラム公爵は応えた。
「ありがとう。そう言って貰えると助かるよ…」
私が、そう言うとストラム公爵もキースも笑顔を引きつらせながら笑っていたのだった。
こうして、私がマリリンを手に入れる為の計画が進み始めたのだった。
次話も、リード目線のお話が続きますが読んで頂けると幸いです☆
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