53.親の心、子知らずが幸せな時もある様です
応接室へと到着した四人は、部屋へと入りソファー席へ腰を下ろした。
「早速だが……私とマリリンの婚約の件についてだが…」
リードが、ニコリと微笑みながらストラム公爵夫婦へと言った。
ストラム公爵のケインは、ゴクリと息を飲んだ………
「はい…殿下とマリリンの婚約の件でございますね…大変残念に思いますが婚約取り消しの目処がついたのでございますよね?」
ケインは、そうであってくと願わんばかりの表情でリードへと尋ねた。
「……。いや…この度、私とマリリンは仮婚約を経て正式に婚約する事が決まったのだ…」
リードは、ニヤりと微笑みケインへと誇らしげに言ったのだった。
「あぁ…そうですか…正式に婚約が………はい?」
ケインは、リード言葉を聞き一瞬理解出来ない様な表情で言った。
「もう一度言おう。この度私とマリリンは、仮婚約を解消し正式に婚約する運びとなった。今度はきちんと聞こえたかな?ストラム公爵…」
リードは、自信満々に満面の笑みでケインへと言った。
ケインは、リードの言葉を聞き…まさかに開いた口が塞がらないという表情をしていた。
「マッ…マリリン…殿下の仰っている事は、ほっ…本当なのか?この婚約を取り消しにしたいと申したのはマリリンだったはずだが?」
ケインは、訳がわからなくなり慌ててマリリンと尋ねた。
「はい…お父様、お母様…何度も意見をコロコロと変えてしまい申し訳なく思っているのですが…お父様とお母様をわたくしのせいで色々と振り回してしまってごめんなさい…」
マリリンは、申し訳なさそうにケインとアイリーンへと言った。
「マリリンが謝らなくてもいいのよ…最終的にあなたが決めて出した答えなのだから…マリリンはその出した答えに後悔はしないのでしょう?」
ケインが、口を開く前にケインの横にいたアイリーンがマリリンへと尋ねた。
「はい…お母様。婚約が決まってから本当に色々ありたしたがその中でも考えて考えて…出した結論がリード様との婚約は取り消しではなく結ぶという事でした。わたくしは…リード様をお慕い致しておりますの…」
マリリンは、自分の思いをしっかりと少し照れながらもアイリーンへと伝えた。
そんなマリリンの言葉を聞き、マリリンの横にいたリードは幸せそうに満足そうにニコニコと微笑んでいた。
「ふふ…そう…殿下をお慕いしてるのね…将来、夫婦になるものお互いが慕い合っている方がいいのは間違いありませんものね…マリリンが出した結論ならば、わたくしは応援しますわ。殿下…何分ふつつかな娘ではありますが、マリリンの事をよろしくお願い致します。」
アイリーンは、優しい笑みを浮かべながらマリリンへ言うと体をリードの方に向けて一礼をしながら言った。
「はい。この先もずっと…一生マリリンの事は愛し幸せにしたいと思ってますので…」
リードは、幸せそうな優しい笑みを浮かべながらアイリーンへと言った。
「そう言って頂けるのでしたら安心ですわね…ねぇ?ケイン…」
アイリーンは、微笑みながらリードへ言うとまだ固まったままのケインにも尋ねた。
「なっ…私か?いや…そうだな…はぁ…そうだね。アイリーンの言う通りだね。マリリンが後悔しなかったり、悲しまなかったり、苦しまなかったり、辛くないのであれば…私も応援するよ…殿下…くれぐれも…くれぐれも…本当にくれぐれも…マリリンが辛い思いや、悲しい思いなどさせない様にお願い致します。本当に絶対ですよ?」
ケインは、マリリンをとてと心配する様な表情で見ていた…そして、リードの方へ体を向かせいつになく真剣な表情で言った。
「ありがとうございます…お父様…こんなにお父様やお母様を振り回してばかりでごめんなさいね…」
マリリンは、ケインの話に思わず少しウルっとしてしまったのだ。
「いいんだよ…私達の可愛い娘なのだから…私達はいつもマリリンの味方だからね…辛い事や、殿下に嫌気がさしたりしたら構わずすぐに邸に帰ってくるといいからね…」
ケインも、少し目をウルっとさせならがら優しい父親の目をしてマリリンへ言った。
アイリーンもマリリンを見て優しく微笑み頷いた。
「はい…お父様…お母様…」
マリリンは、とても嬉しそうな笑みをこぼしながら言った。
「私に嫌気がさしたらなど…ストラム公爵も言ってくるな…だが…心配するな。その様な事などないからな。マリリンが私に嫌気がさしたとて逃がすつもりもないかしな…マリリンは…この国で一番幸せな花嫁となるだろう…」
リードは、凛とした表情に笑みを浮かべてケインへと堂々と言った。
「逃すつもりはないと…殿下なら本当にマリリンが逃げ出す事があれば…どんな手を使ってでも逃さない様にしそうで私は逆に不安になりますが…」
ケインは、苦笑いしながらリードへと言った。
「まぁ…お父様ったら…リード様が本当にそんな事をするはずがありませんわ…ふふ…お父様ったら…それに、わたくしはリード様から逃げたりなどしませんわ。」
マリリンは、クスクスと笑いながらケインとリードへ言った。
リードは、マリリンと優しく微笑み返した…
しかし…ケインは…
「はぁ…マリリンは何も知らないならな…まぁ…知らない方が幸せな事もあるか…」
ぼそりと呟いた。
「ん?お父様、何かおっしゃいましたか?」
マリリンは、ケインが何かを呟いたので尋ねた。
「え?いや…何でもないよ…マリリン…殿下に幸せにして貰いなさい…」
ケインは、どこか少し寂しそうな笑みでマリリンへ言った。
「はい…お父様…」
マリリンは、優しく笑みを浮かべてケインへと言った。
こうして、リードとマリリンは仮婚約の件を知っていたストラム公爵夫婦へと正式婚約の話をしたのであった…
後日、国王と王妃にも改めて話をして婚約後の正式な話などが進められたのであった…




