51.リード様との出会いの話を聞きました
マリリンは、リードに連れられて王宮の庭の奥の一角にある場所へと来ていた。
「ここは…」
マリリンは、その場所へ来るとその場を見回した。
「さぁ…一先ずあそこへ座ろうか。」
リードが、回りを見ているマリリンへと声をかけた。
「あっ…はい。」
マリリンが返事をすると、二人は近くにあった木のそばへと行き腰を下ろした。
「王宮のお庭にこの様な場所があったのですね…何だか初めて来た気がしない様なところですわね…静かで穏やかな場所ですので、ふふ…ついお昼寝してしまいそうになりますわね。」
マリリンは、クスっと微笑みながら言った。
「ハハ…マリリンは昔も今も変わらないね…」
リードは、クスっと笑いながらマリリンへ言った。
「昔もと…いいますと?」
マリリンは、リードが言った事を不思議に思い尋ねた。
「マリリンは、覚えていないかもしれないが…私とマリリンはずっと昔にこの場所で会っているんだよ。」
リードは、昔を思い出すかの様に少し遠くを見つめながらマリリンへ言った。
「リード様とわたくしがここでですか?」
マリリンは、リードの言葉に驚き言った。
「あぁ…私が九歳で、マリリンが六歳の時にね…その日は…王宮でお茶会が開催されていたんだ。私は、媚を売ってくる者達に疲れてしまって私はここへ一人で来たんだよ。ここは…私のお気に入りの場所だったからね…ここに私が着いた時に、マリリン…君がちょうど今座っている場所で眠ってしまっていたんだよ…もう食べられない…と寝言を呟きながらね…」
リードは、その時の事を鮮明に思い出すかの様な表情でマリリンへと話した。
リードの話を聞き、マリリンは何かを思い出したかの様に口を開いた。
「あっ…思い出しましたわ…確かあの時、わたくし初めてお茶会に参加したのですがどうもつまらないと感じてしまい、こっそりその場から抜け出して歩いていたらここを見つけて小さな入口から入り込んだのです…確かその時…わたくしは、ポカポカして気持ちがよくつい寝てしまいましたの…そして…何か声が聞こえて目を覚ますと目の前に男の子が居ましたの。確か…その男の子はわたくしと同じ様にお茶会に参加していた子で、手に怪我をしていて…わたくしがハンカチで応急手当をしてあげたのですが…まさか…あの時の男の子がリード様だったのですか?」
マリリンは、昔のことを思い出して驚いた様にリードへ尋ねた。
「あぁ…そうだよ…あれは私だ。マリリンは、私を王太子だと気づいていない様だったからな…だが、マリリンは何も躊躇する事なく何の見返りも求める事なく私の傷を手当てしてくれた…私はそれまで自分には家族とルカ以外は、王太子でなく私として見てくれた者など居なかった…それは、同じくらいの子供とて同じだった。子供ながらに私に媚びてくる者、色目を使う者がほとんどであった。しかし…マリリンは違ったのだ。私はマリリンの何の汚れもない素直な反応が嬉しかったのだ。私は、そんなマリリンの屈託のない笑顔を見た瞬間…恋に落ちてしまったのだよ…」
リードは、蕩ける様な微笑みを浮かべてマリリンへと言った…
「まさか…リード様だったなんて…」
マリリンは、とても驚いた表情で呟いた…
「その様な出会いがあったから、マリリンと共に薬草を採りに行った日に…私が手を擦りむいてしまった際にマリリンが咄嗟に手当をしてくれた時は…心からマリリンに運命を感じてとても嬉しくなったんだよ。」
リードは、満面の笑みでマリリンへと言った。
「わたくしも、あの時はどこかで同じ様な事があったな…などと思っていたのです…思い出せないままでしが…ですが…リード様のお陰で思い出す事が出来ました。出会った時と同じ様な事が何年後かに起きるなんて本当に本の中の世界の様なお話ですわね…ふふ…あっ…わたくしにとっては本の世界なのですが…ふふ…」
マリリンは、幸せそうに微笑みながらリードへ言った。
「そして…リード様…その様に昔からわたくしの事を想い続けて下さりありがとうございます…わたくしを諦めないでいてくれてありがとうございます…変わらず好きでいてくれてありがとうございます…わたくし…今とても…幸せな気持ちでいっぱいです…」
マリリンは、ポロリとまた嬉し涙を流して微笑みながらリードへと伝えた…
そんなマリリンを見て、リードは胸がグっと締めつけられいたたまれなくなった…
「私の方こそ…私と元に現れてくれてありがとう…マリリンに出会わなければきっと…今も恋をする事などなかっただろう…私の方こそ…私を好きになってくれてありがとう…。私も今…とても幸せな気持ちでいっぱいだよ…」
リードは、優しく微笑みながらマリリンへ言うとマリリンを優しく引き寄せ抱きしめた…
そして…抱きしめた体を少しだけ離して、マリリンの唇にそっと優しく甘いキスを落としたのであった………
※本編は、あと何話かで完結予定です。
番外編なども書けたらなと思っております。
よろしければ最後までお付き合い頂けると幸いです(๑♡⌓♡๑)
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