41.恋とは楽しいことばかりではありません
自分が、リードに恋心を抱いている事に気づいたマリリンは内心動揺したのを隠して、平然を装いその後もリードに接していた。
「マリリン…今日は本当に父上と母上と話をしてくれてありがとう。父上も母上もマリリンの事をとても褒めていたよ。」
リードは、笑顔でマリリンへと話をした。
「そんな…わたくしの方こそ陛下と王妃様…それにリード様にもとても感謝しております。御三方のお陰で、わたくしはこれからも悩んでいる方や困っている方のお力になれる事が少しでも出来ますので。」
マリリンは、笑顔でリードへ言った。
「マリリンの行動で、王都に住む平民の者たちも救われる者が増えていくだろう。貴族の者でも、既にアリスがその一人となっているからな。」
リードは、マリリンへ言った。
「本当に、アリス様含め皆さんの嬉しそうなお顔が見れると頑張って作った甲斐がありますわ。」
マリリンは、嬉しそうに笑いながらリードへ応えた。
「私は、そんなマリリンの嬉しそうな顔を見れることが嬉しいよ。」
リードは、優しく微笑みながらマリリンへ言った。
(どうして、リード様はその様に嬉しくなる様な事をさらっと言われるのかしら…自分の気持ちに気づいてしまうと、リード様の言動や行動一つ一つが推しに対して萌えていた気持ちと全く違うものだから混乱してしまいますわ…)
マリリンは、内心物凄く混乱していたのだった。
「あっ…そうですわ…お話しは変わりますが陛下や王妃様には、リード様とわたくしの婚約について解消を一旦保留中という事はご存知ないのですか?」
マリリンは、国王と王妃の話を思い出しふと不思議に思いリードへ尋ねた。
「………。そうだね…父上と母上も公務で忙しい日々が続いていたからね…折を見てまた話をしようとは思っているよ…」
リードは、どことなく表情が曇った様にマリリンへ言った。
(リード様は、婚約のお話をされると何だか表情が曇ってしまわれる様な気がしますわ…やはり…ルカ様の事を思うとそうなってしまうのかしら…)
マリリンは、そんな事を思いながら胸の奥のチクリとしたのを感じたのだった…
「はい……。」
マリリンは、どことなくリードの顔を見ないまま応えた。
どことなく、微妙な空気が流れたところで…
「リード様、そろそろ王宮へお戻りになられた方がよろしいのでは?」
マリリンは、いつの間にか時が経っている事に気づきリードへ尋ねた。
「え?あぁ…そうだね。いつの間にか時間が過ぎてしまっていたね…そろそろ王宮へ戻ろうか。」
リードは、マリリンに言われハッとなった様に応えた。
「はい…」
マリリンは、リードへ応えた。
そして、二人は馬車に乗り込み王宮へと向かった。
馬車の中では、先程の微妙な空気は流れる事がなくマリリンの作った白詰草の花冠の話などをしていた。
馬車が王宮へと到着した。
二人が、馬車から降りるとそこにルカが立っていた。
ルカが、リードの元へと近づき話をしていた。
二人が、何を話しているかはわからなかったがリードはルカに何かを言われると、とても愛おしい者に微笑みかける様なとろける様な笑顔で微笑んでルカを見ていたのだった。
それをマリリンがとても複雑そうな表情で見ていた…
(あぁ…リード様は、あんなにもルカ様に対して愛おしそうなお顔をされるのね…今まで彼秘♡でしか見たことのなかった、あの様にルカ様に対して愛おしそうに微笑むリード様の笑顔。リード様への恋心を気づいた上で見るの辛いものね…あんなにあの笑顔を見るのが好きだったのに…皮肉な事ね…やはり、リード様とルカ様…お二人の為にもわたくしとリード様の婚約取り消しは出来るだけ早くした方が良さそうですわね…なるべく早い方がわたくしの恋心も諦めがつくってものよね…)
マリリンは、リードとルカの二人を見ながら胸が痛むのを感じながら思っていたのだった…
そして…マリリンは、リードとの婚約を少しでも早く解消する為にはどうしたらいいのかを考えていたのだった…
マリリンは、この日恋をするという事は楽しく嬉しい事ばかりではなく、辛い思いもすると言うことを初めて知ったのであった…




