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37.何故だかモヤモヤした気持ちになりました

仮販売用にと用意した、化粧水やお茶やクッキーなど全て完売したのだ。


マリリン、リード、ルカ、カミラは片付けをしていた。


マリリンは、ルカにアリスの分の化粧水とお茶を用意して来ていたのでそれを渡しておこうと思い、ルカに声をかけようとした時だった…


「あの…すみません…」


と、ルカに一人の女性が声をかけてきた。


「何か?」


ルカが、その女性へと言った。


「あの…よろしければ、その片付けが終わった後にでもうちのお店へ飲みに来られませんか?」


女性が、上目遣いをしながらルカの腕に手を添えて尋ねた。

どうやら、女性は王都にある酒場で働いているようだった。


「はい……?」


ルカは、一瞬で声のトーンを低くして女性に言った。


「ですから…そちらの片付けが終わったら、うちのお店に…」


女性が、もう一度言おうとしたところでリードが女性に気づき割って入ってきた。


「すまないが…この後は彼と予定があるから無理だ…」


リードは、その女性へ苦笑いをしながら言った。


「あらっ…あなたの方がいい男じゃない…どうせなら二人で飲みにこないかしら?」


女性は、リードを見て更に上機嫌で上目遣いしリードの腕へと手を添えたのだった。


マリリンは、その行動を見てモヤモヤしたものを感じた…


(ちょっと…あの方あの様にリード様にベタベタと触って…)


そしてマリリンは、その光景を見ながら自分でも気づかぬうちに少し表情を曇らせ思っていた。


マリリンが、そんな事をモヤモヤしながら考えていると…

突然、子供がマリリンにぶつかって来た。


ぶつかった拍子に、子供が持っていた飲み物がマリリンの洋服へとかかってしまっていた。

子供がぶつかった事で、マリリンはハッとなり子供へ声をかけた。


「大丈夫?怪我はない?」


マリリンは、子供へ優しく尋ねた。

子供は、頷いた。


「そう…それなら良かった。」


マリリンは、そう言うとニコリと微笑み子供へ言った。


そこへ、子供の母親らしき人物が急いでマリリン達の元へ駆けつけた。


「あの…大丈夫ですか?うちの子が何かしましたでしょうか?」


その子供の母親は、焦った様子でマリリンへ尋ねた。


「大丈夫ですよ。お子さんが立っていた私に走った勢いでぶつかってしまったのですが…私もぼーっとしてしまっていたので…お子さんには怪我はない様なので良かったです。」


マリリンは、子供の母親に微笑みながら言った。


「ですが…お嬢さんの服がうちの子の飲み物で汚れてしまってます…本当にごめんなさい…代わりの服をと言いたいところなんですけど…」


母親は、申し訳なさそうな表情でマリリンへ言った。


「いえ、本当に大丈夫ですよ。汚れた洋服も洗えば済むことですから。それに、着替えもありますので心配しないでください。」


マリリンは、母親へ優しく言った。


「ですが…」


母親が、申し訳なさそうに言いかけると…


「本当に気にしないでください。ね?…あっ、そうだわ。良かったらこれお子さんにどうぞ。」


マリリンは、笑顔で言うと鞄からクッキーを取出して子供へと渡した。


「おほしさま?」


クッキーを見た子供が言った。


「そうよ。お星さまの形をしたクッキーなの。可愛いでしょう?」


マリリンは、笑顔で言った。


「うん。おほしさまの形をしたクッキーなんて初めて見た。ありがとう。お姉ちゃん。そして…ぶつかって服を汚しちゃってごめんなさい…」


子供は、嬉しそうな顔でお礼を言ったが…思い出したかの様にしょんぼりしてマリリンへ謝った。


「ふふ…いいのよ。本当に気にしないでね。さぁ、早くお家へ帰ってお母さんと仲良くクッキーを食べてね。」


マリリンは、優しく笑顔で子供へ言った。


「うん。ありがとう。お姉ちゃん。バイバイ!」


子供は、また笑顔に戻るとマリリンへお礼を言い母親と帰って行った。


(子供は、どこの世界も元気があって可愛いわね。前世でも、よく研究所に先輩の子供が遊びに来ていて走り回って、研究所の物を壊してしまってよく先輩に怒られてましたわね…ふふ…その度にわたくしが作ったクッキーあげていたわね。懐かしですわ…)


マリリンは、そんな事を思い出しながらクスっと笑っていた。


そこへ、リードがマリリンを心配してやって来た。


「マリリン…大丈夫だっかい?」


リードは、心配そうにマリリンに駆け寄り手を差し伸べようとした。

しかし…マリリンはそれを反射的に避けてしまった…


「大丈夫ですわ…着替えを持ってきておりますので…カミラに手伝って貰い帰るまでに着替えてまいりますね…」


マリリンは、リードの顔を見ることなくそう言うと着替えの入った荷物を手に取った。


「あっ…そうですわ…ルカ様、これをアリス様にお渡し下さいませ。アリス様の分は、ルカ様が摘まれた薬草を使い作ってありますので是非、アリス様にも伝えてあげて下さいませ。」


マリリンは、着替えに向かう途中でルカへとぎこちない笑顔で言った。


「あっ…あぁ…ありがとう。それより…マリリン嬢……いや…何でもない。早く着替えてくるといい…」


ルカは、お礼を言った後マリリンへ何か言おうとしたが止めてマリリンを行かせたのだった。


そして、マリリンは馬車の中でカミラに手伝って貰い着替えに着替えたのだった。


マリリンが、着替え終わり荷物の片付けを済ませ四人は馬車へ乗り込みストラム公爵邸へと向かった。


公爵邸へ到着すると、マリリンとカミラはリードとルカにお礼を言い馬車を見送ると邸の中へと入っていったのだった。


こうして、マリリンの王都での初めての仮販売は終了したのだった………

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