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33.心臓を射抜かれる様な事態が起きました

早速、薬草を摘み始めた三人は薬草が生えている場所を手分けして摘んでいた。


(ふふ…何だかリード様達まで薬草を摘むという不思議な展開になってしまったけど、お手伝いして頂けるのは助かりますわ。ですが、お二人共初めての事ですし無理なされない程度でやって頂けるといいのだけど…それにしても王太子殿下と騎士様が薬草を摘むだなんて、彼秘♡にはなかった場面だったから何だか凄く得した気分になりますわ。リード様とルカ様の共同作業か…作業をしているお二人はまさに目の保養になりますわ…)


マリリンは、薬草を摘みながら一人脳内でこの状況に浸っていた。


マリリンが浸っていると、ルカが声をかけてきた。


「マリリン嬢…この様な感じでいいのか?」


ルカが、マリリンへ自分の採った薬草を見せながら言った。


「素晴らしいですわ。とてもお上手に根元から取られておられますわ。」


マリリンは、ルカが見せてきた薬草を見て笑顔で応えた。


「そうか…それは良かった。それで…その、この薬草で作る化粧水はアリスも使用する事が出来るのだろうか?」


ルカは、マリリンに言われホッとした後マリリンへ尋ねた。


「はい。アリス様のお肌にも問題なく使って頂けると思います。この薬草で作ったものをアリス様にもお渡しする予定でしたの。あっ…そうですわ。アリス様へお渡しするものはルカ様が摘まれた薬草を使いましよう。アリス様も、ルカ様が摘まれた薬草で作った化粧水であればとてもお喜びになると思いますわ。ねぇ?そうしませんか?」


マリリンは、いい案を思いつき笑顔でルカへと言った。


「そうか…では、そうして貰おうかな…」


ルカは、少し照れたような微笑みを浮かべマリリンへと言った。

そして、また薬草を摘み始めたのだった。


(あっ…ルカ様、今微かに微笑まれたわね。やはり…アリス様のお話をされている時に微笑まれるのだわ…アリス様はわたくしにと言っておられたけどやはり違ったようね…ふふ…ルカ様もやはり妹が可愛いのですわね…)


マリリンは、ルカの微笑みを見てそんな事を思っていた。


そんな事を思いながらマリリンは微笑みを浮かべて自分のも薬草を摘み始めた。


すると…


「ルカととても…楽しそうに話をしていたね。何を話していたの?」


後ろから、リードがマリリンへ声をかけた。


「リード様…ルカ様とはルカ様が摘まれた薬草の摘み方は大丈夫かの確認と、この摘んだ薬草を使った化粧水はアリス様にお使い出来るかの確認でした。アリス様には完成しましたらお渡しする予定でしたので、どうせ作るのであれば兄であるルカ様の摘んだ薬草を使ったものをお渡ししましょうと話しておりました。」


マリリンは、リードから聞かれたのでルカと何を話していたのかを説明した。


「そうなのか…私はてっきり、私だけ仲間外れにされて二人だけで楽しく話していたのかと思ったよ…」


リードは、少し不貞腐れた様な表情で言った。


(はっ……リード様は、きっとルカ様がわたくしとお話をしていた事に焼きもちをお焼きになって、仲間外れにされた様に感じられたのだわ…わたくしの馬鹿馬鹿馬鹿。リード様にこんな表情をさせてしまうなんて…アリス様の話をしていたとはいえ何なる失態かしら…)


「申し訳ございません…リード様…決してリード様を仲間外れにしようなどとは思ってません…それに…ルカ様がリード様ではなくわたくしと話されていたから嫌なお気持ちになられたのですよね…リード様にその様なお顔をさせてしまうなんて…」


マリリンは、とても申し訳なさそうにリードへ言った。


「えっ?私がルカを…えっと…どういう…」


リードは、マリリンが言ったことによく意味がわからないと言った表情をしてマリリンに応えようとした時…

マリリンが何かに気づいたようだった…


「あら…ここ、お怪我なさってますわ。手の甲が切れてますわ…薬草の周りの枝か葉っぱなどで擦ってしまわれたのかしら…あっ、そうだわ。」


マリリンは、どうやらリードの手が擦れて切れているのに気づいたようで、リードへ言った。


「今日は、たまたまハンカチを二枚持っていて良かったですわ。こちらは使用していないきれいなハンカチですので。こうしてハンカチで押えておけば傷口に汚れが入り込んだりしませんわ。後で、きちんと消毒しますので今はこれで我慢して下さいませ…わたくしが薬草のお手伝いをお願いしたばかりお怪我をさせてしまい申し訳ありません…」


マリリンは、リードの傷口に応急処置をしながら申し訳なさそうに言った。


「どうして、マリリンが謝るの?私が自ら薬草を摘みたいと言ったのだからマリリンは何も悪くないだろ?」


リードは、しょんぼりとしているマリリンへ優しく言った。


「ですが…」


マリリンが、話しかけると…


「それより…マリリン…傷の手当をしてくれて…ありがとう…」


リードは、愛おしい者を見つめるような瞳でマリリンを見つめ、愛おしい者に笑いかける様なとびきりの優しい微笑みを見せて言った。


マリリンは、リードのその瞳にと微笑みを向けられた瞬間…

心臓が大きな音を立てて…射抜かれた様な感覚に襲われたのだった………


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