3.第一関門突破?!
マリリンの話を聞き、ケインとキースはお互いの顔を見合わせて頷いた。
(お父様もお兄様も、顔を見合わせて何を頷いているのかしら…)
マリリンは、二人の行動を見て不思議に思っていた。
「では…今回の殿下との婚約の件については、マリリンの意思で断るということだね…?」
ケインが、真剣な表情をしてマリリンへ尋ねた。
「はい…わたくしの意思でございます…王宮からの申し入れを一旦は受けたにも関わらず、わたくし個人の意見でお断りする事になりますので何なりと処分はお受けする覚悟は出来ております…」
マリリンは、申し訳なさそうにケインとキースに言った。
(お父様にもお兄様にもご迷惑をおかけする事になるわね…ですが、どんな処分を受けたとしてもこの婚約は阻止しなくてはいけませんわ。リード様とルカ様の真実の愛の為ですわ…それを応援するわたくしの楽しみの為でもありますが…)
マリリンは、覚悟を決め考えていた。
「それは…構わないよ。可愛い可愛い私の娘がお断りすると言うのであれば、父がきちんと陛下へお話するから安心しなさい…」
ケインは、優しく微笑みながらマリリンに言った。
「父上の言うとおりだよ。マリリンは何も心配する事はないんだからね…私達に任せておきなさい。」
キースも、優しく微笑みマリリンの頭を撫でながら言った。
(何て優しい二人なの…本当にわたくしの家族はいつだって、わたくしの味方をしてくれますわ…彼秘♡では、マリリンの家族の事は細かく描かれていなかったからな…わたくし、この家族の元に生まれ変われて本当に良かったですわ)
マリリンは、そんな事を思いながら心がジーンとしていた。
「ありがとうございます。お父様、お兄様…」
マリリンは、優しく微笑みながらケインとキースにお礼を言った。
『父上…これで、あのペテン師王太子殿下に我らの可愛いマリリンを渡さなくて済みそうですね…』
『そうだな…昨日の婚約話を半ば強引に押し付けられた時は、断る隙さえ与えられなかったがマリリン本人が断るとなると殿下とてそれを受け入れるしかないだろうからな…』
ケインとキースは、コソコソと話をしていた。
「?お父様、お兄様どうかなさいましたか?」
マリリンが、二人がコソコソしているのを見て不思議に思い尋ねた。
「え?いっ…いや…何でもないんだよ。」
ケインは、誤魔化す様に微笑みながら応えた。
「そうですか…?この度の婚約のお話、お父様は大層お喜びされていたのにこの様な形になってしまい改めてお詫びいたします…」
マリリンは、少し困った様な表情でケインに言った。
「私が、喜んでいた?!あっ…すまない…大きな声を出してしまい…そっ…そうだな……?だが、いいのだよ。その様な事をマリリンが気にしなくても…」
ケインは、マリリンに言われたことにギョッと驚いた表情をしたがすぐに苦笑いだが微笑み応えた。
(あぁ…これで、一先ずは第一段階突破というところでしょうか…後は、お父様が陛下とリード様にお話をして頂いてあちらが納得して下されば、この婚約はなかった事になりますわね…でも、心配しなくてもリード様にとっても好都合なお話ですしね)
マリリンは、一先ずケインとキースがマリリンの話を受け入れてくれた事に安堵してホッとした表情で考えていた。
そんな事を考えていたマリリンは、目の前の二人がコソコソと話をしている事に気づかなかった…
『私が、いつこの婚約話を喜んでいたのだ?』
『さぁ…?マリリンには父上が喜んでいる様に見えたのですかね…とんだ勘違いですが…むしろ今この状況の方が我々にとって喜ばしい事ですね…』
『あぁ…そうだな…後は、殿下があっさり引き下がって下さるのを願うばかりだよ…』
『本当にその通りですね…何事も起きず無事に婚約がなかった事になる事を願うばかりです…』
二人は、切実な思いを口にしながらコソコソと話していたのだった。
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