アザ
かず美は木本と特にすることも無いので、二人椅子に座り、読書をしていた。
「なんで文芸部に入ってくれたんですか?」
「先生に頼まれて入りました」
「そうですか。文芸部に入ってきてくれたこと、ありがとうございます」
ペコッ、と木本が頭を下げる。
可愛い。まるで小動物みたいだ。
しばらく二人で楽しい会話を続けていたら、文芸部の扉が開いた。
文芸部に入ってきたのは、ゆめ子だった。
「ゆめ子どうしたの?」
ゆめ子はかず美の方など見ず、木本を睨みつけた。
木本は怯えている。
ゆめ子は口を開いた。
「私達付き合ってるのでなので変なことはしないでください」
木本が動揺した。
そりゃそうなよな。だって百合だもん。
ゆめ子はかず美の袖を引っ張り文芸部を出ていった。
「文芸部に入ったの?」
「うん。そうだよ」
「浮気とかしないでよ」
「しないよ!するわけないじゃん!」
ゆめ子はかず美を睨みつけたが、かず美のことを信じたらしく、安堵の息を漏らした。
ゆめ子はかず美の手を指し言った。
「そのアザどうしたの?」
「このアザか、小学一年生のときについてたんだよ」
「大丈夫?」
「大丈夫だよ」
かず美はそう言い、ゆめ子と一期一会へ向かって、勉強をした。