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双翼の精霊騎士王  作者: 星丸
冒険家になりました
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知らなかった事実

「いよし、ついた」


ここはエインツの港。一応、エインツの港と呼ばれているが正確には今いるここは港町だ。

そしてここはこの国、リベリアウト王国における最重要拠点といっても過言ではないほど巨大な港だ。それが故に老若男女問わず多くの人々が住んでおり、全員いきいきとしている


「地図的には......この辺りか?」


クエストを受けた際にもらった地図を眺める。

なんでも、冒険者として一流になればなるほど未知の洞窟などを調べるクエストを受けるため魔法の地図が支給されるらしい。まあオレには今のところ関係ない話だけどね!あのお姉さんまじで人の心をナチュラルに抉ってくる......

で、今持っている地図は普通の地図なため、くしゃくしゃにならないよう丁寧に扱っている


「にしても本当に人が多いな......来るのは初めてじゃないけど、来るたびに見た目が変わってるなあ」


まあ、前来たのが5年前に親父と一緒にだったからな。それに、都会だとこういうのが当たり前なのかな?


「あ、あの!」


「はい?」


そう考えていると、いきなり声をかけられた。

声から察していたが、振り返ると珍しい緑色の髪の毛をした自分と同い年くらいの美少女がいた。

もう一度言う、美少女だ


「もしかして......私のクエストを受けてくれた冒険者さんですか?」


「はい!?え、えーっと、エレイン・二アムさんですか?」


いかんいかん、つい美少女を前にすると緊張が......


「はい!」


ともかく、オレが名前を聞くと、その少女はまるで太陽のような笑顔をして元気よく頷いてくれた。

そしてこう続けた


「良かったです、真面目そうな冒険者さんで」


「いえ、自分なんてまだまだ新米ですよ」


「それでも良いんです。あの、立ち話もなんですので、良かったら私の家に来ませんか?」


「はい。お願いします」


では案内します。そういう彼女の横を並んで歩く。もちろん自分が大通り側だ。オレは騎士志望だったからレディを大切にするための気配りは一通り学んだ


「あ、そう言えば名前を聞いていませんでしたね。お名前は?」


「エルシア・ロード、15歳です」


「ロード......あの、失礼ですがご実家は貴族階級でしたか?」


「?いえ、ただの農家です。本来は家を継ぐ予定だったんですが、母を楽させてあげたいって思って騎士を目指してました。まあ、結果は冒険者にジョブチェンジですけどね」


面目無いと続けると、彼女はそんなことないと反論する


「私の知っている冒険者は、お金にしか目がない人ばかりでした!剣を探すクエストも、今までは売られている剣を加工して出してきた冒険者もいました。でも、エルシアさんは違います」


そこで彼女は足を止め、オレの目を見てこう言った


「冒険者なのに、クエストを受けた時にもらえる地図があんなに綺麗なのはエルシアさんが立派な人だからです」


「エレイン、さん......」


初めてそんなことを言われた。オレの生まれた地域は大半が貴族階級の家系だったため、農家のロード家は人間扱いすらされないことも多々あった


「さんも敬語もいりません。同い年ですから」


彼女はまた、そう言って微笑んだ。

......いよおおお!心までお美しいぃぃ!!



ーーーーーー



「ここが私の家です」


「......まさに武器職人の家、って感じだな」


あれから彼女とは色々話し、ニアム家に着いた。

なんでも、武器を作っているのは母親であり彼女は助手らしい。

ところがある日、工房に誰もいないところを家に伝わる剣、つまり伝家の宝剣を奪われたという。


「どうぞ」


ドアを開け、エレインは手招きをする。

お邪魔します。と言いながら足を踏み入れると、工房なのになぜかフローラルな香りがした


「この匂い......」


「驚きましたか?実はお母さんはただの職人ではなく、魔法も使える特殊な職人なんです。なので作っている剣は魔法の武具ばっかりで、工房独特の匂いもしないんです」


「すごいな。どこか神聖な感じもする」


「あらエレイン。彼氏?」


エレインと話していると、工房の奥からこれまた緑色の髪をした女性がやってきた


「お、お母さん!?違うよ、エルシアさんは剣を探すのを手伝ってくれる人で!」


「なにムキになってるの?まったく.....エルシアくん?私はエレインの母、ヴィヴィアム。以後お見知り置きを」


エレインとは逆の美人、と言う言葉が似合う女性はヴィヴィアムと名乗った。

彼女はお辞儀をしたため、それを返して自分も自己紹介をする


「エルシア・ロードです。よろしくお願いします」


「ロード......なるほどね。貴方の父上の名前を教えてくれるかしら?」


「父の名前、ですか?アルトリウスです」


「あ、アルトリウスさんなんですか!!あの、今アルトリウスさんは!?」


「ん?」


いきなりエレインが驚いた表情でがっついてくる


「実は......父さんは行方不明なんだ。2年くらい前かな?それ以来家に帰ってきてなくてさ」


「そんな...」


「ふむ。驚いたわ、まさか貴方がアルの子供だなんて。実は貴方に探してもらう剣は貴方の父親が使っていた剣なの。その格好からして冒険者のようだし、見つけられたら貴方にあげるわ」


「ええ!?で、でも良いんですか?エレインは家に伝わる剣って......それに、農家の父がなぜそんな剣を?」


「農家?」


ヴィヴィアムさんは驚いた顔をする。

それと同時にエレインははっとした顔をする。

ありゃ、なんかタブーだった?


「あの、エルシアさん?アルトリウスさんはこの辺りではものすごく名の知れた騎士なんですよ?」


「はえ?」


そんなの一度も聞いた覚えが......でも、たしかに家に帰ってこない時もあった。

それに、5年くらい前に一緒にここに来た時もサービスしてもらったり、そもそも作物を売れていない農家のロード家は割と大きい......

ん?考えれば考えるほどわからんな


「......なるほど、アルは言っていなかったようね。まったく......まあいいわ。とにかく、剣を探すのは非常に困難になるでしょう。今日はもう休みなさい、剣が見つかるまではここで生活すること」


「え、でも」


「でもじゃないの。剣はどこにあるのかわからないのだから、それまで生活させるのは当たり前よ」


「そうですエルシアさん!家は私が案内しますから!!」


「......じゃあ、お願いします」


はい!というエレインの笑顔はやっぱり綺麗だった。

ラブリーマイエンジェルだった



ーーーーー



「エルシアくん......なるほどね、アル。貴方は彼にそうなって欲しくなかったのかしら」


机の上にある、彼の写真を見る。彼はここのお得意様であり誉れ高き王国騎士団のリーダーてき存在だった。それが数年前、突然敵国の兵を切れなくなったと言い残し、どこかへ消えた。おそらく敵を切れなくなった理由はひとつ


「人としての......心の弱さ」


通常、彼のように重役になればなるほど戦場から遠のくが彼は戦うことを選んだ。それは彼が仲間の命を大切にする人だったから。だからこそ、敵兵にも人生があることを思い出し、戦えなくなった。よくある話だ


「にしても、アイツに子供が居たとはね。まあ、きっと騎士になれば優秀になれるでしょうけど......あの剣を扱えるかは別か」


無くしたアルの使っていた剣を思い出す。何千年も前にこの世界を救った伝説の騎士が使っていた聖剣、エストール。それはこの世界を統治する資格者しか使用できないと言われている...そして本来ならばそれを作り出した妖精族であるわたし達ニアム家が、何十代もかけて適合者を探さなければならない。しかしアルはそれを力づくで使用した。だがアルはその力を100使えず、このリベリアウト王国統治者にはなれなかった。まあ、なるか気はなかったでしょうけれど


「世界崩落の時に、突如現れ人々を救った伝説の騎士様が使っていた聖剣。彼は扱えるかしらね」


楽しみが増えたかもしれない、そう思いながら私は眠りについた

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