二日目 景品のたわしの主張
鳥の声が部屋の中に流れ込んでくる。あくびをしながら、起き、時計を見てみる。8;30。いつもより、遅く起きたが、問題ない。今日は、春休みだからね。
あれ?そういえば、今日何日だっけ?カレンダーを見てみると、5月8日。あっ、、、。春休みじゃねーじゃん!何日前の話だよ!ヤバイ。完璧に遅刻だ。急いで制服に着替えて、階段を降りて、キッチンへ向かう扉をあける。テーブルの上には朝食と、置き手紙があった。
(ぐっすり眠っているようなので、そのままにしておきます。今日は休日だけど、用事ができたので、出掛けます。お昼ごはん、さやとで食べてね。昼から雨降るみたいなので、洗濯物とりこんでおいてねー。もう、受験生なんだから、しっかり勉強してね。もし、それでも暇だったら、さやに宿題教えてあげてください。母より)
何だ、これだけか。そう思いつつ、何かが気になった。あら?何かおかしい。手紙を読み返してみると、今日は休日と書かれていた。うそ、、、。驚いて、テレビをつけてみると、お天気キャスターが天気予報をしていた。
(今日は、せっかくの土曜日なのに、昼から雨。残念ですー。)
そうか、休日か。よかったー。安心しながら、トーストを食べていると、1つ下の妹、さやが起きてきた。さやは、中学校2年生で、ロングヘアー、しかも学校中で噂になり、先輩・後輩も教室に見に来るほどの美少女だ。性格はとても、優しく、ひっこみじあんなところも、もてる理由だろう。学校では、みんなが憧れるほど、器が大きい。兄であるあれにも普段は優しい。機嫌が悪いときと言えば、今みたいに寝癖がついているときだ。何で機嫌が悪くなるのかは、本人にも分からず、避けることの出来ない大きな壁だ。
(おはよー。さや。)
と、言ってみるが、返事がない。よく見てみると、さやは、泣いていた。さやの泣き顔は、俺も萌えるほど可愛いのだが、今回はガチ泣きだったので、近づいた。すると、
(おにーちゃん、とって。)
と、だけ言った。何をとればいいのか分からないが、とりあえず探してみると、1ヶ所怪しいところがあった。胸が膨らんでいたのだ。ここに何かあるのかと思って、触ってみると、プニプニした感触が伝わってきた。と、同時に
(ひゃん、、、、。)
え、と思って何回も触ってみると、再び
(あん、、、、、やん、、、。)
やばい、これは、妹の本物の胸だった。なにか、風船のようなものが入っていると思ったのだが、成長していただけのようだ。
(、、、、、、、。)
(、、、、、、、。)
沈黙が続いた。と、妹が口を開いた。
(、、、おにーちゃん。なにか言うことあるんじゃない?)
明らかに怒っている。そりゃ、おこるよな。
(、、すいませんでした。)
俺は謝った。すると、妹は、
(しょーがない、許してあげる。)
さすが、俺の妹だ!
(その代わり、ちゃんととってよ。)
もう一度よく見てみると、頭に何か絡まっていた。これは、たわしだ。しかも、俺が昨日商店街の福引でもらった、ハズレの景品だ。なくしたと思ったら、さやの部屋にあったのか。眺めていたら、
(はやくとってよ。もー。)
さやの言うことに逆らうなんてことは、基本しない。たわしに絡んでいる髪をゆっくりと、はなしていく。どうしたら、こんなにも絡まるのかと思うぐらいに絡まっていた。10分くらいかかって、ようやく外れた。すると、妹が笑顔で、
(ありがと、おにーちゃん。ところで、何で制服なんか来てるの?今日は、土曜日だよ?)
あっ、しまった。休日って、ことをさっき知ったなんて、言ったら、からかわれるに決まってる。と、思っていたら、
(あっ、しまった。休日って、ことをさっき知ったなんて、言ったら、からかわれるに決まってる。って、考えてたでしょ?)
(ひゃっ!え、、え?何でわかった?)
驚きながら聞くと、満面の笑みで、
(にひひー。だって、おにーちゃんの妹だもん。)
さや、まじでいいね。ありえないくらいの兄おもいで、親とも、ケンカした試しがない。とは、いえ、たわしがさやの部屋にあるなんて、おかしい。
午前中は、自分の宿題を終えて、昼からはさやに勉強を教えた。俺は理数系だが、さやはまったくの逆で文系だ。俺にとっては得意で、さやにとっては苦手な、数学を教えた。最初は頭から湯気が出ていたが、しばらくするとすぐに解けるようになった。さやはもともと、学習能力は高いので、すぐになれた。18;00ごろに母が帰ってきたときには、俺もさやも、机に座りながら寝ていた。
気がついて起きると、すでに19;00を過ぎていた。夕食を食べて、風呂にはいり、自分の部屋にいき、椅子に座った。そして、たわしについて考えてみた。もしかすると、これは、白い紙を変化させるための、道具ではないかと思った。だが、非現実的すぎるため、その考えは、抹消された。すると、
(あーあ、せっかくあってたのにー。)
なに?幻聴?いや、違う。一瞬だが、確かに聞こえた。何が正解なんだ?と考え直すが、記憶から消されたため、思い出すことなく、眠った。