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無色のパラノイア第18幕〜What color is your soul?〜その9

生徒会室を出てから数分後、私に一件のメールが届く。

可愛らしい猫の鳴き声が通知音なのは置いといて……確認すると、さっきの取引報酬である一部の参加者の情報が記載されていた。

真っ先に確認したのはストーカー野郎こと中山定道と言う男。



高校三年 三年B組 出席番号三一番

血液型AB

家族構成 両親のみの3人家族

成績 あまり良いとは言えない。凡ミスが目立つ

性格 孤立しやすく、それによって他人を蔑むような態度になっている

趣味 …………



と言った具合でなかなかの情報量だった。

(一体どんだけ調べたんだよ……)


工藤が持つ情報網の一つに良いものを見つけた。

まだ中山の能力は分からないが、布石はちゃんと用意してある。

(これで、もし失敗したら……まあそれは仕方ないのかもしれないな~)

そう思うとなぜか笑えてきて、相変わらず自分でも変な性格してるなと再確認した。

時間は16時25分。

そろそろあれも終わる時間なので、私は職員室のすぐ側を通る形で向かっていった。



──────

16時30分。殆ど丁度に職員室横を通り抜けようとした時、案の定中山とすれ違った。

私は何も知らないふりをしてそのまま歩き続け、放課後殆ど人がこないガーデニング広場に向う。

一度階を降り、昇降口で外履きに履き替えて外へ出る。

ふとガラスから後ろを見ると、やはりと言うべきか中山の姿が見えた。

こちらに気付かれないようにしているのだろう。

決してこちらを見ようともせず、俯き加減で靴を脱いでいた。


(よし、やはり餌に食い付いたか。ここまで隙を見せてるんだ。

引っ掛からないようならよほど用心深い奴か、準備が整っていないくらいだ)


今日の朝の行動……準備が足りないのにバレる可能性。もしくは戦闘になる可能性があるのにあそこまで近づく理由が分からない。

だからこそ、念の為情報を手に入れた。

本命はそいつじゃないがな……。


昇降口から歩いておよそ十分。

ただでさえ広い学校の端にあるため、委員会や関係者でない限り寄ることはまず無いだろう。

その途中にはいくつか部活用の倉庫なり、弓道場などがありそれらを通り過ぎていく。

なるべく弱々しく、それを悟らせずに振る舞う。

歩き方や手の仕草までを私の本質から完全に乖離させる。

……これは私からしたら皮肉なのだが、きっとあの演劇部の部長。

もしかしたら私の本質を見抜いていたのかも……だから私に「演劇の才能がある」

だなんて言ったのかもしれない。

まあ、この際関係は無いけどな。


ガーデニング広場に着くと、側にあった蛇口から如雨露を持ち水を入れて花壇に水をやる。

ごくごく自然に。当たり前のように水をやって回る。

(そろそろ中山が来る頃か……)

水をあげ始めてから数分後、少し後ろの方から殺気のような威圧感を感じた。

その時、何かが私の右足首を掴んだのだ。

急なことで反応することが出来なかった私は、立ち止まり下を見る。

そこには私の影から手のようなものが伸びており、私の右足首を掴んでいたのだ。


「にひひひ、ようやく捕まえたぁ」


校舎の影から顔を出したのは、やはり中山だった。

右手を豊満な腹ではち切れそうなブレザーのポケットに入れ、ゲスい笑顔でこちらを見ながら歩いてくる。


「な、何なのこれっ?! 」

「ほらほら、動いちゃダメだよ。君はそのまま大人しくしてればいいんだよ」


中山の能力は多分、自分の手を転移させることが出来るのだろう。

現に私の右足首を掴んでいるのは右手。

中山がポケットへと手を入れているのも右手だ。

手ごときどうってことないと思ったが、能力のせいか掴む力がとても強い。

足首が少し赤くなっていた。


「あなたはいったい誰なんですか……?

何でこんなことするんですか! 」


私は演技で声を少し震わせながら言葉をぶつける。

中山はその言葉で更に顔を笑顔で歪ませながら言った。


「僕の名前は中山博貴なかやまひろき

花崎ちゃん。唐突だけど……」


中山は少し顔を赤らめ、モジモジしだした。

いや、女子かよ。とツッコミたくもなるが我慢する。

唾を飲み込み、中山は大きな声で叫んだ。


「僕と結婚してくださいっ!!!!! 」

「……え? ええええ?! 」


お久しぶりです!

ご精読ありがとうございます( *˙ω˙*)و グッ!

今日からなるべく毎日更新していくので宜しくお願い致します!

また、1幕から改稿しております(現在3幕まで完了)

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